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医師全般+医学生上級生への推薦図書:診断のゲシュタルトとデギュスタシオン①②と薬のデギュスタシオン

ゲシュタルトとは「形」のことである。
デギュスタシオンとはワインなどの「テイスティング」のことである。

【診断のゲシュタルトとデギュスタシオン】

日常よく遭遇する、あるいは、重大・重要な疾患などを取り上げて、その疾患が「どのようなものであるか」つまり「病気のイメージ」が書かれてある。

教科書的な事実やデータの羅列ではなく、ときとして、その疾患に立ち向かうときの「肌感」が伝わってくる。編者は、ダイアモンド・プリンセス号の内情を YouTube で告発し有名となった(もともと有名だが)岩田健太郎先生で、各疾患のエキスパートに分担執筆を依頼している。

病気のイメージ(=ゲシュタルト)をつかんで、しっかり鑑別診断(=デギュスタシオン)をしよう、という主旨である。

<余談>なお、僕が初めてゲシュタルトという言葉に出会ったのは「新世紀エヴァンゲリオン」である。物語の中で「ゲシュタルト崩壊」し、シンジがエントリープラグの中でドロドロに溶けてしまう場面である。要するに、形が保てなくなったということである。もうすぐ「ヱヴァ」第4部ですな。

この本の中には、いわゆる common disease(慢性疾患から救急疾患まで様々)から、稀だが見逃すべきではない病気まで多彩な病気が収録されている。

例えば、パニック障害・うつ病といった頻度が高いが世の中で診断が上手くいっていないことがある病気である。「全てのパニック障害患者は内科を訪れる」「精神を専門とする医師以外にとってうつ病に診断・治療を確実に行うというゴール設定は難しい」など、的確な問題点や限界が指摘された上で、ではどうすれば良いか、ということが記載されている。

また、急性心筋梗塞は、超重要な疾患であるが、循環器疾患であるにも関わらず執筆者は救急医として有名な林寛之先生である。これは、急性心筋梗塞をはじめに診るのが循環器医でないことが多いからである。
多くの場合、急性心筋梗塞は救急の現場で診断され、循環器医にバトンタッチして治療される。医師全般に必要なのは、バトンタッチ前の診療なのである。本書ではバトンタッチ前の診療にフォーカスを当てている。

また、閉鎖孔ヘルニアも非常に重要な疾患だが、頻度が高くなく、かつ見逃されやすいことが問題である。頻度が低いため、「忘れた頃に当たる」が、見逃せば「患者が死ぬ」可能性が高い疾患である。救急現場でメチャメチャ注意すべき疾患である。
ヘルニア、腹膜炎がヤバいというのは医師になれば誰でも知っているが、閉鎖孔ヘルニアは初診時いまいちヤバそうでないことが多く、そのまま帰してしまうと本当にヤバい状態になって戻ってきてしまうのである。

好評であったためだと思うが、「2」も発刊されている。是非研修医レベルには理解して欲しい内容であり、それ以上の医師にも絶対に役に立つ。医学生に必要かは微妙であるが、重要疾患ばかりが掲載されているので、教科書の字面だけではなく、是非、疾患の「肌感」を感じ取ってくれれば、臨床実習の役にも立つだろうし、研修医になって救急現場などに立ったときに絶対に役に立つのは間違いない


【薬のデギュスタシオン】

こちらは、薬の選び方の本である。病理医である僕には日常業務では不要であるが、自分で使う薬などについてよく知るために購入した。類似した効果、同様の効果を有する薬はたくさんある。その中で「いま、この患者に使うのに最適なのは」と考えるのに役に立つと思う。


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