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米国株師匠🍅アウトライヤー寄稿129

第128回から続く




FRBパウエル議長の半期に一度の議会証言


日本時間3月8日午前0時から~米3月7日火曜日東部時間午前10時から~上院銀行委員会で(at the Senate Banking Committee)
日本時間3月9日午前0時から~米3月8日水曜日東部時間午前10時から~下院金融サービス委員会で(at the House Financial Services Committee)


パルエル議長の議会証言につきまして、そりゃまあ、売りの立場でいる僕は、どんどんタカ派的な事でも言ってもらってマーケットがそれを嫌気して下げるとか、大歓迎なのですが。まあ、僕の思いは、それはそれとして。

前述記事から「パウエルFRB議長、タカ派メッセージ発信か―追加利上げの地ならし」~他のFRB当局者らと調和したメッセージを発信する。もちろん、メッセージはそうだと思います。それが必要とされていると思います。たとえば、前述記事からも「SF連銀総裁、追加利上げおそらく必要―ディスインフレ不明確」という。

パウエル議長の届けるメッセージの内容とパウエル議長のトーンについて触れてみます。

(FOMC)委員会後の議長の記者会見と議会証言は、これは異なります。

議会証言における実際の議長のトーンとしては、仮にですが、昨年8月末のジャクソンホールの議長会見で聞かれたような強烈かつアグレッシブなトーンという事と比較した場合、それと同じトーンが議会証言で聞かれる可能性は高くはない、可能性は薄いと僕個人は思っています。(ここを予想してもあまり意味はないですし、議会証言を聴いて見てで、良いと思いますが、ふと自分で思った事をノートしています。大意はありません。)

第127回の寄稿で述べました通り「インフレ抑制には堅調な労働市場を幾分冷ます必要があるとするパウエル議長の最近の発言に対し、民主党進歩派は危険で無用と反発。」~こういう方々も議会にはいらっしゃるわけですから。
僕は、ここで、メッセージの内容ではなくて、その表現の仕方であり、まず、トーンについて述べています。この発言を機に、マーケットがどっちにどう動くかについて述べているのではありません。

言い換えますと、議長のトーンではなくて、FRBが今後どうして行くのかというメッセージをマーケットがどう受け取るのかというところがポイントだと思います。

昨年8月末のジャクソンホールで記者会見で8分間のスピーチって、
【家計や企業に痛みをもたらす~
昨年8月の終わりにパウエル議長がワイオミング州ジャクソンホールで8分間スピーチして、直後に、アメリカの大金持ち達(資産家)の資産$78 billion(約10.7兆円) が失われたわけです。
①インフレ抑制のために金利を引き上げ続けて、しばらくの間(for some time)引き上げたその高い金利水準を維持する。
②金利が上がって、成長率が鈍化して、労働市場が軟化すれば、インフレ率を低下させるけど、家計や企業に痛み(pain)をもたらす。
③70年代のFRBの金融政策の失敗を教訓とする。
もう既に1回、この(強烈)トーンでこの時述べていますからね。

トーンはおのずと異なる、抑え目


議会証言ですから、こういう8分間内での紋切り型
というかなんというか、とにかく、こういう強烈トーンではなくて、これからFRBがどうして行くのか、米国民を代表している米議会にメッセージを伝える事が目的なので、トーンはおのずと異なる、抑え目、でしょうという事を僕は申しております。民主党進歩派(プログレッシブ)がいきり立ってしまうようなトーンは避けるのではないかと。そこ(民主党進歩派)を切り捨てて全く無視するというわけにはいかないでしょうから。そこに配慮をするかどうかについてはこれはまた全く別の問題です。ここで、述べているのは、ある程度バランスをうまくとるだろうというニュアンスを述べています。

The Federal Reserve's Dual Mandate FRBの2大責務
・Price stability 「物価の安定」
・Maximum sustainable employment「雇用の最大化」

この寄稿で何度か述べた、パウエル議長の行き届いた弁護士のリスクマネジメントのようなお話かと、僕個人は思っています。その可能性は薄いと思っていますが、強いトーンだったら、僕は、逆にびっくりしてしまいそうです。
ポイントは、そのメッセージの内容ですよね。それをマーケットがどう受け取るか。

過去の寄稿からの引用~パルエル議長談
・さらなる金利の引き上げ必要。
・バランスシートの縮小には、2年以上の歳月がかかる。
・2%のインフレターゲット達成へは、2,3年かかる。
【引用~パウエル議長「仕事は完全には終わっていない」パウエル議長は~「インフレを克服しようとしても、6か月(もしくは)、12か月経って、十分に対処できなかったことに気付くのは、さらに悪い事」】

パウエル議長談~「現在、商品部門でディスインフレが見られ、今後住宅サービス部門でディスインフレが見られると予想している。しかし、コアインフレーションバスケットの残りの56%についてはまだディスインフレは見られず、それには(それが見えて来るには)しばらく時間がかかるだろう。私達は忍耐強くなる必要がある。」~引用終。】~ウォールストリートジャーナル・ニック・ティミラオス氏から。

*ディスインフレ(ディスインフレーション)~”インフレーションが進行する中で”、金融引き締め政策などにより物価上昇ペースが鈍化する経済状態。需要が減退し、それに対して供給が大幅に上回る結果引き起こるデフレーション(デフレ)とは異なります。

余談、脱線ですが。アメリカの超有名コメディアンでレイト・ショーの司会者、セレブリティ、ステファン・コルベア氏ご本人がかつて米議会で証言した後、その感想をおっしゃっておられましたが、「議会って、雰囲気、全然違うよ。あれ、すっごい、緊張するわ~。だって、すごい緊張感がそこにあって、ただ、単にしゃべるのと違う」って、おっしゃっておられた事を、氏をして、思い出します。

この事と、パウエル議長を比較しているわけではありません。パウエル議長はそれも仕事のうち、その事のプロ中のプロですから。

どこの国でも、議会とか国会とか、やっぱ、ちょっと緊張感が違うというか。ステファン・コルベア氏のように、あらゆる場面に慣れている、常日頃から、オバマ大統領、イエレン財務長官、はじめ、著名政治家個人、著名人とは、番組を通して、普通にお話されてこられている、その人でさえ、議会の雰囲気は、そこに実際に行ったらこれは違うというわけですから。金融危機の直後、ウォール街の投資銀行のCEOが議会証言しているのももちろん見ましたし、その他、様々な議会証言をこれまで見ましたが、見るのと、実際に、当事者として、そこに行ってそれをするのとは、なんでもそうですが、これはもう、全く違うだろうと思い、想像もつきません。

相場でも、仕事でも、その場所にしても、なんでもそうですが、見たり聞いたりしたりしたことを話すのと、自分が実際にそこに行ってそれをするという事は、これは全く違いますから。もうその雰囲気からして。

米議会は米国民を代表していますから、いろいろな考え方の議員さんがいらっしゃるわけで。

さて、週末に、いろいろ、アメリカの政治、経済、金融、と言ったところに絡んだコメント読んだり、聴いたり、見たり。僕自身の視点から、見てたんですね。
それで、考察や解説を提示なさる皆さまにはそれぞれの得意分野がおありで、様々な見立てや分析、解説がアメリカに存在しているわけですけど。

これは、何かを際立たせるために、何かを否定したり、端折ったりする類の意見ではありません。これだけ見ておけばいいという主旨でもありません。マーケットを取り囲む様々な要因は大切ですが、その様々な要因、見方が、集約されて行くところって、どこにあるのかという観点で見た場合について述べています。マーケットにとって、これまでこの寄稿で述べてきたようなマーケットに存在する下落要因と流動性の関係は、そのひとつの集約地点ですね。

量的緩和(QE)の時代(ディケード・10年)から量的引き締めの時代(QT)の時代へ。
その中で、実際は、
QT(量的引き締め)とQE(量的緩和)のconflation(合成・融合)。
この寄稿を読んでくださる皆さまからすれば、もう聞き飽きたフレーズだと思います~QT(量的引き締め)とQE(量的緩和)のconflation(合成・融合)。

複数の過去の寄稿でも繰り返し述べました~今回は第115回寄稿からの引用~(①+②:マーケットの懸念、不安要因(この寄稿で述べてきたような))vs.(③:マーケットを支える要因)という構図。

昨秋10月まで、マーケットが下落すれば、流動性が供給されて下落が止まる、ベアマーケット・ラリーが始まった。
その昔、インフレ退治で名を成したボルカー元FRB議長でさえ、局面、局面で、金融政策を緩めよう、緩めようとさえ目論んだ。マーケットがマーケットの思いとしてこれまで思い描いてきたFRBのPIVOT(政策転換)など。マーケットが大好きな、緩める、緩和するという響き。

下記は【・】部分は、過去のこの寄稿で述べ続けてきた中からのいくつかの例の羅列です。

・【定義~流動性=「FRBのバランスシート」マイナス「トレジャリー(米財務省)一般勘定」マイナス「リバースレポ」で定義されています。
前述の通り、流動性、トレジャリー(米財務省)一般勘定(米国家の当座預金口座)がポイントです。

FRBが行う「リバースレポ」~短期金利がFRBの適正と考える水準となるよう市場に出回る総資金量を調節するため、米国債などの保有債券を担保として差し出し、民間金融機関からお金を一時的に借りることを指す~(ウォール・ストリート・ジャーナルから)。リバースレポ(買い戻し条件付き債券売却)。】

米国財務省為替安定化基金は、Ponzi(インチキ)を維持するために懸命


・【第120回寄稿から~「ニューヨーク連銀のトレーディングデスクと米国財務省為替安定化基金は、Ponzi(インチキ)を維持するために懸命に取り組んでいます。(はるかに効果的ではありませんね)-QE(量的緩和)スタイル―イエレンって、元FRB議長・元中央銀行家であり、”政治的な匂い”がしますね。(こうした)明らかな介入は、「自由市場」がないことの証です。インフレを長引かせている要因でもあります」このチャートって、2月23日木曜日の日中(イントラ・デイ)のS&P500のチャートなんですけど、赤くマル印がついたところで、$10 billion 流動性、資金注入ですね。で、そのビッド(買い値)が入った時間とともに、それまで売られて下落していたS&P500が買い戻されて上昇に転じていますよという日中の動きを示しているチャートです。Ponzi Financeさんいわく、「株式に直接、流動性が注入されているわけですね。」】

・【Gordon Johnsonさん~引用~【米国の大規模な金融刺激策】です
「2023 年 1 月 11 日現在の過去 1 週間で、米国株市場 流動性の3 つの主要なドライバーを見ると (すなわち、FRB バランスシート + トレジャリー(米財務省)一般勘定 ["TGA"] + リバース レポバランス(残高) ["RRP"])、FRB はそのバランスシートを12億ドル増やしたわけです。イエレン財務長官は、トレジャリー(米財務省)一般勘定 ["TGA"] バランス(残高)を513億ドルも大幅に縮小しました(つまり、トレジャリー(米財務省)一般勘定 ["TGA"] バランス(残高)が下がるとイエレン財務長官はオープンマーケット で債券を購入しているという事です。(それゆえ、システムに新規に資金が注入されているわけです)、そして、リバース レポバランス(残高) ["RRP"}が 2,112 億ドル大幅に下落しました。 (これはオープンマーケット [つまり、株式/住宅] に直接注入された流動性です)、正味流動性注入金額は、+2,636 億ドルでした。2020 年 4 月 8 日の無謀とも言えたCOVIDパンデミック刺激週間以来、FRB が保有する銀行準備金の週ごとの変化を見ると、2023 年 1 月 11 日の週の時点で、+2511 億ドルという 7 日間で最大の増加が見られました」】

・【昨年10月以降、流動性は安定しており、引き締めはリバースレポ (RRP) とトレジャリー(米財務省)一般勘定 (TGA) からの流動性の流入によって相殺されています。株式市場の下落は、その時点で止まりました。「債務上限問題が解決を見ないことが景気刺激的であり、QT(量的引き締め・FRBバランスシートの縮小)を通じて流動性を枯渇させようとするFRBの取り組みを、引き続き相殺するかたちになるでしょうね」。(ジュリエン・ティマーさんのご説明から、部分抜粋、引用です。)】

・【「投資家が期待する、いわゆる、ノーランディングについては、去年の10月以来、世界経済に、別途、総額6兆ドルのフレッシュな流動性が供給されたことによってのみ持続している”誤った楽観論”として、ウィルソン氏は切り捨てた」~モルガンスタンレーのチーフ・ストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏のご発言から。】

・【第112回寄稿~ジュリエン・ティマーさん引用~「最近の株価の上昇は、安定してはいるものの、この改善されていない流動性の状態からは、逸脱していますね(ここのところ、流動性は低下したままなのに、株価は上昇している。株価の動きが流動性から乖離して逸脱しているというニュアンス)。新しい強気相場というものを支えるに”十分な基盤があるかどうか疑問視する理由”の一つにすぎませんが」これは、第52回寄稿でも述べ、過去の寄稿やスペースでも述べさせて頂きましたチャートの、今の状況を示した、アップデートされたチャート・バージョンです。】

・【第115回寄稿~マーケットは、マーケットをサポートしてくれる要因が必要なわけです。その大きなひとつが、「(米債務上限問題が解決を見ない事は)米財務省が 5,690 億ドルの TGA(トレジャリー(米財務省)一般勘定)残高を引き出すことを余儀なくさせるでしょう。それは景気刺激的であり、QT(量的引き締め・FRBバランスシートの縮小)を通じて流動性を枯渇させようとするFRBの取り組みを、引き続き相殺するかたちになるでしょうね。」(詳しくは過去の寄稿をご参照ください)】

流動性とマーケットの潜在的下落要因の対比


行きつくところ、流動性とマーケットの潜在的下落要因の対比だと思います。ショートを振る、売るにしても、これをある程度理解した上での行動が求められると思います。

以前の寄稿でも述べましたが、直近のチャートとかをチェックしてみても、流動性は以前に比べて低下したままなのに、株価は上昇しているという感じがしてます。株価の動きが流動性から乖離して逸脱しているという具合で、新しい強気相場というものを支えるに”十分な基盤があるかどうか疑問”の状態という認識を現在僕はしています。

これは、Markets & Mayhemさんがシェアしてくださったツィートとチャートです。
Markets & Mayhemさんからの引用~「トレジャリー(米財務省)一般勘定から支出ドローダウン・米国家の当座預金口座からお金を引き出して、それを使って住宅や株式に資金を注入するという~流動性の供給)が、年が進むにつれて減少する可能性が高く、市場の主要な流動性の源が制限されて行きます」
(水色がトレジャリー(米財務省)一般勘定)



過去に、前述、【前述の通り、流動性、トレジャリー(米財務省)一般勘定(米国家の当座預金口座)がポイントです。】と述べてきましたが、TGA(Treasury General Account)トレジャリー(米財務省)一般勘定の推移をチェックしておく事は大切だと思います。

マーケットを支える要因は、今後の時間の経過と伴に、薄れて行く


潜在的な下落要因(高い金利、より高いターミナルレート(金利の最高到達点)、企業業績の不調、バリュエーションの縮小、ハードランディングなど)は、今後の時間の経過と伴にでも存在するのだけれど、マーケットを支える要因は、今後の時間の経過と伴に、薄れて行くのではないかと思いながら、マーケットと対局しています。

前回の寄稿で述べた通りですが、「債務上限問題が解決を見ない事が景気刺激的という事も(詳細は第113回寄稿をご参照ください)この寄稿で述べてきましたが、その特別措置は6月5日までです。業績がどうの、企業利益がどうの、ハードランディングがどうのというのは、それより、もっと先の事、少なくとも2023年、そして2024年にかけての事です。それらを見て、マーケットがそれを事前に織り込まざるを得なくなる、その下げを、戻りもある程度今は頭に入れながら、忍耐強く待っています。この時のこの下げと対局しているという意識でいます。」


ターミナルレートが高いほど、通常、資産価格への圧力が高まる


そして、「ターミナルレートが高いほど、通常、資産価格への圧力が高まるわけです。経済の強さという事でそれを相殺出来はしますが、それを言ってもそれはある程度までの事にすぎません」と考えています。

去年の8月末頃って、前述のパウエル議長の8分間のスピーチもあり、9月からバランスシートの縮小額が、月額最大950億ドルになるとさんざん話題になって。それで、その後9月に8月のCPIの発表もあり、時間の経過と伴に10月の安値へ。そこから、実際には、イエレンQE。QT(量的引き締め)とQE(量的緩和)のconflation(合成・融合)。

同時にその間、さんざん話題になってきたのは、FRBのPIVOT(政策転換)。今年後半、例えば11月頃、25ベーシスポイントの金利の引き下げ、その後来年2024年1月に50ベーシスポイントの金利の引き下げ期待、2024年を通しての金利の引き下げ期待。前述した、マーケットが大好きな、緩める、緩和する。それに対する期待。

これに対して、僕は、第117回寄稿で引用させて頂きました、ブルームバーグ記事・「FRB、計0.75ポイント追加利上げへ-ゴールドマンのハッチウス氏」を読みながら、特に、ハッチウス氏は「ここから計75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)追加され、2024年まで利下げはなしというのが、一段と可能性が高い結論と見受けられると語った。」というところを再読しています。

いつの時代もそうですが、緩める、緩和する。マーケットにある、金利引き上げ停止期待と金利引き下げ期待。今後も、そこ、FRBのPIVOT(政策転換)であり、FRBが緩めてくれるところを楽観的に解釈して行きたいマーケットでありながらも、今度は、そうそう、マーケットが2月15日水曜日までベアマーケット・ラリーしてきた口実通りのようには行かないのではないかと、引き続き、考えております。

過去のこの寄稿で述べてきましたように、かつてフィデリティ・インベスメンツのファンドマネージャーとしてマゼラン・ファンド を運用なさったピーター・リンチ氏の教え、「事実とデータでやりとして」。
僕も、事実とデータからのインプリケーション(示唆・暗示)をよく見てということを大切にしながら、マーケットを出来る範囲で、見ているわけですけど。

それとは別に、ここのところのマーケットを見ていると、こっちかい、と思う事もままあります。~“There are no facts, only interpretations”, according to Nietzsche(フリードリヒ・ニーチェ・実存主義の思想家)~(事実は存在しない。存在するのは解釈だけだ)

いや、よく、「あなたにはあなたの解釈、意見があって、私には私のそれがある」(You have yours. I have mine.)とかってアメリカでよく言いますけど。ここのところ、マーケットを見ていると、こういう感じさえしています。

金融報道から、ブルームバーグ記事を引用させて頂きます。
・「米株の上昇持続も、中期的には一段安へ―モルガンSウィルソン氏」

記事からの引用~「モルガン・スタンレーのストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏は、米国株について短期的に強気に転じた。企業利益悪化の逆風に直面する前にまだしばらく上昇が続く余地があるとの見方を示した。」「同氏はS&P500種株価指数が200日移動平均を下回らなかったことを指摘し、ドル下落と債券利回り低下が今後も続けば、一段の上昇余地があるかもしれないと分析した。ウィルソン氏は、次の上値抵抗線は3日終値を約2.5%上回る4150とみている。現在の上げは短期的な反発にとどまり、中期的には一段と下落すると予想。企業利益を中心にファンダメンタルズの悪化は続いていると指摘した。」

自分がこれまでも今も、目線を合わせて参りましたウォール街のストラテジストのおひとりウィルソン氏ですので、ウィルソン氏の記事を読んで。僕が思っていることを下記に記します。


S&P500で、4150(NYダウで34,445)近辺で売り指値


この記事を読んて、僕が思っているのは、「でしたら、S&P500で、4150(NYダウで34,445)近辺で売り指値をしてお待ち申し上げるというのはどうでしょう」という事です。

前回第128回の寄稿で述べました通り、僕の計算でも、
①$224 x 18.3x(倍)=4,099(S&P500) ダウで、34,021ドル。
(この数字しか出てこないんですよ~)って過去の寄稿で述べました。
②$224 x 18.6x(倍)=4,166(S&P500) ダウで、34,578ドル。
という事ですから。

この件につきましてご説明しますと。
まず、僕は3月2日、下記の【】内なんですね。
【「ちょっと(部分利確)利食っちゃって」という時に頭をよぎった~昨日の寄稿から~「その時、その瞬間、上記のマーケットの動きを受けて一番頭によぎったのは、よくコメントを拝聴させて頂いているGame of Tradesさんが、Game of Tradesさんのご意見として3月1日でしたかね~「3900を本格的に下に切って下落に転じる前に、もう一度、4100まで戻る可能性はある」という事をおっしゃっていて。Game of Tradesさんも、「いずれ3900を下に切って下がるだろうけれど、その本格的下げの前に、4100までの戻りは起こり得ると」~3月1日にこれを読んだ時点では、「あ~、そういう見方もあるのかあ。まあ、それはそれとして」というのが僕の正直な反応だったのですが、3月2日のマーケットの動きを目の当たりにさせらて、その時、その瞬間、このGame of Tradesさんのコメントが頭をよぎった事から~3月2日木曜日「ちょっと利食っちゃった」】

3月2日木曜日の上記時点で、ちょっと利食っちゃった時に、いずれの戻りで、それがあるとすれば、4100(NYダウで34,030)というレベルは(前述から)十分に意識していました。S&P500で、意識していた3943から3939を下に10ドル超割って、そこからさらに下がるかと思いきや、戻りを入れて、それでちょっと利食っちゃった~(これについてはこれまでの寄稿で述べました~ボスティック・アトランタ地区連銀総裁の発言にマーケットが反応して、ですとか、Ponzi Financeさんの引用を用いて~【ボスティック(アトランタ地区連銀総裁)は、インデックスが200日移動平均線をわずかに下回っていた時に、金利についてちょっとした話をしました。これ偶然じゃないでしょ。FRBによる市場「操作」。これ純粋な事実ですね】などなど。

それで、僕の姿勢としては、前回の寄稿で述べました通り、業績の話がマーケットのメインテーマになってくる日を、「鳴かぬなら鳴くまで待とう時鳥(ホトトギス)」という心境で、ひたすら、現在は待っております状態です。

前々回の寄稿で述べました通り、
前々回第127回の寄稿から~【余力を残して、初動のガツ~ンで売る、の後、ちょっと利食っちゃって、そのちょっと利食っちゃた後の初動のガツ~ン部分、を持ったまま、実際には、何もしていません。部分利確で利食った分は、その分、マーケットがある程度戻りを入れた、戻り達成感があるなと考える水準で、また、その分については、売ればいいかという姿勢です。これが現実です。】

マーケットに戻り達成感があるなと考える水準で意識していた地点がS&P500で4100なんですね。(NYダウで、34,030)。それで、3月2日木曜日、3月3日金曜日、3月6日月曜日、S&P500で4100(NYダウで34,030)という値段がついているわけではありませんから、今何かしているわけではありません。何もしていません。

前述のモルガン・スタンレーのチーフ・ストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏の記事を読んで、僕が思うのは~
マーケットに戻り達成感があるなと考える水準を、単にこれまでの4100から4150のレベル(NYダウで34,030から34,445)まで心の中で引き上げて、このレベルが出てきたら、この水準のどこか自分ができるところで、3月2日にちょっと利食っちゃった分を売ればいいかという姿勢です。】この【】内を、無理せず、考えています。

自分が目線を合わせて来たモルガン・スタンレーのチーフ・ストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏が、米国株について短期的に強気に転じたからと言って、それに合わせて、「よし、4150(ダウで34,445)目指して、買いに回ろう、買うぞ~とは思っていませんし、そういう行動をとるつもりは今のところありません。そういう予定もありません。
なぜかというと、ひとつの例としてですが、自分が目線を合わせているストラテジストのおひとり、BofA(バンク・オブ・アメリカ)のストラテジスト、マイケル・ハートネットさんは、以前に、この寄稿でも述べました通り、3月8日までにマーケットは7%下落するとの予想をされておられましたし。

僕の頭の中にあるのは、マーケットが今より戻るなら、4100~4150のレベルかなあ、そのレベルに、現実に、本当に、戻ったら前述の通り、売れれば良し、なんですけど、まず、このレベルまで戻れるのかどうかは今日の時点で僕にはわかりません。まあ、今週、パウエル議長の半期に一度の議会証言、雇用統計、来週のCPI(米消費者物価指数)など、これらのイベントに合わせて重要な週ですから、自分としては、無理せず、前述の通り、自分に実際にできそうなことだけを、このレベルへの戻りを頭に入れて、やって行くつもりです。

話しは変わりますが。
先週、アメリカで、CPAC(Conservative Political Action Conference)(保守政治活動協議会)が開催されていて。なんかもう、空席だらけのところに向かって、陰謀論者がスピーチしてたみたいに見えて、興味も引かれず、どうでもよかったのですが。
ロン・ディサンティス現フロリダ州知事は欠席してました。


ロン・ディサンティス現フロリダ州知事


ただ、ここで、トランプ氏がスピーチして、「もし起訴されても、2024年の大統領選立候補から、降りないだろうと」~ニューヨーク・タイムズのマギー・ヘイバマン氏(かつてこの寄稿でも取り上げて来た)がそれについてレポートされておられました。トランプ氏を知り尽くした、2016年大統領選以前から、密接にレポートしてこられたマギー・ヘイバマン氏。彼女がそう言うなら、そうなんだろうと思いました。民主党系の人は、マギー・ヘイバマン氏は、de facto spokeswoman・事実上のトランプのスポークスウーマンじゃないかと批判するのですが。そうかどうかは僕は分かりませんし知りませんが、彼女のレポートは、いつも極めて精度が高いので、何か出てきた時は、彼女のお話を聞くようにしていています。

この寄稿で過去に述べましたが、法律上は、刑務所からでも、大統領選に立候補するという解釈は出来るわけですね。
ただ、まあ、大統領選挙にそういう前例がないので、uncharted territory(未知の領域)ですけど。現在、その党の中で圧倒的支持を集めている前大統領。その人が、起訴されても立候補を降りない、止めないと。
むしろ、このスピーチでは、起訴されることを前提にこの事を述べていたようなフシさえあるみたいで。なぜかというと、党内で、支持を得て、勝ち切って、大統領選候補者に党を代表してなって、さらなる暴力を煽る(いわゆる議事堂襲撃事件の時に見られたような)のではないかと、このレポートとトランプ氏発言から、米知識人達は危惧していました。ああ、それが、トランプ氏の戦略なのかい、と僕も思っちゃて。

前述の議会とか。例えば裁判所とか。
アメリカ合衆国憲法修正第5条~「Fifth Amendment to the United States Constitution」~部分引用~「なんびとも、刑事事件において自己に不利な証人となることを強制されることはなく、また法の適正な手続きによらずに、生命、自由または財産を奪われることはない」。

たとえば、議会や裁判所から召喚状が届いて、証言する時に、こう、このアメリカ合衆国憲法修正第5条の権利を行使するという形で、結果、質問に答えない、という事が、トランプ氏やその取り巻きに見られるんでね。人によっては、100回以上、すごい回数、この権利を行使するとか。なんか問われたら、「fifth~フィフス」って言うわけですね~これ~「アメリカ合衆国憲法修正第5条」。

Quote " The mob takes the Fifth Amendment. If you're innocent, why are you taking the Fifth Amendment?" - Donald J. Trump~End quote
(マフィアが修正5条の権利を行使するわけであって、もし、無実なら、なんで、修正5条の権利を行使する必要があるの?」ってトランプ氏自ら、スピーチとかで綺麗ごと言っておいて。それで、出るところでたら、自分がこの権利を行使するというような。

議会や裁判所では回答しないんだけど、メディアに対しては、めっちゃ、様々な事、吹聴するみたいな。それ、メディアに向かって言わなくていいから、議会や裁判所で、出るところに出て言ってくれよ~みたいな。結構、これまでもこれ多くて。

なんかあったら、出るとこに出た場合は、この権利を行使しながら、党内で、支持を得て行って、勝ち切って、大統領選候補者に党を代表してなって、さらなる暴力を煽る、もっと国を分断するみたいなこと考えているのかなあと、ちょっと、不穏な感じが、個人的にはした週末でもありました。


第130回へ続く


最後に …
これからもアウトライヤー様からの寄稿🍅を皆さまにお届けするつもりです。
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関連スペース

11月27日 第1回スペース 2時間

12月18日 第2回スペース 2時間20分

12月22日 第3回スペース 12分間

12月24日 第4回スペース 20分間

12月30日 第5回スペース 20分間

2023年1月19日 第6回スペース 8分間

2023年2月22日 第7回スペース 18分間

2023年2月25日 第8回スペース 8分間


関連note

私、アウトライヤーは、OUTLIER とは関係ありませんが、
OUTLIERは素敵な商品です
OUTLIER 「相乗的にパフォーマンスを高める食品と栄養素を集約。」


🍅🍅

弟子のNEOさんへ
アウトライヤー
より。外れ値です。でも異常値ではありません。
笑って許してくださいね。ごゆるりとお時間ある時ご覧になってください。
背景にある経歴:80年代後半から、ペインウェバー証券会社、メリルリンチ証券会社、ベアー・スターンズ証券会社等々の外資系証券会社東京支店法人営業部門に勤務。外資系企業生活で24年の歳月が流れました。
ペインウェバー証券会社ニューヨーク本社にて、2名のメンターのもと、米国株式業務を基礎から習得。なぜ、2名だったかと言いますと、フロントオフィス業務用に1名=MIT出身のトレーダーで数学者、バックオフィス業務用に1名=米国では名の知れたバックオフィスの専門家でした。当時、NY証券取引所にもしばしば、足を運び、入り口から出口まで、叩き込まれました。その後、日本国内の機関投資家向け外国株式営業に携わり、メリルリンチ証券会社とベアー・スターンズ証券会社では、それぞれ東京支店法人営業部門外国株式営業部長として、東京、ニューヨーク(ウォール街)、ロンドン(シティ)を中心に、アジア諸国も含めて、世界中を飛び回りました。グローバル株式・金融業務に従事する上で、メリルリンチ証券会社では、当時のメリルリンチ・グローバル株式営業部門におけるアジア地域2名のグローバル・エクティ・コーディネーターの1人として、米国株式を中心に、グローバルに株式業務推進役の職責も兼務。(この時とっても楽しかったです)
2012年2月に外資系企業生活を終えました。
同2012年年春から、日本企業の顧問に就任。
一貫して、この30年超の期間、何度も何度も現地に足を運び、そこにいた人々と直接仕事をした事を含めて、アメリカの金融政策、アメリカの株式市場を見つめてきました。
🍅注意事項
①不特定多数の者により随時に、誰でも閲覧可能な無料記事です。
投資助言行為に該当するアドバイスは行いません。短期動向や個別の運用相談に関するご質問へのご回答は一切行っておりません
③投資の最終決定はご自身のご判断と責任でおこなってください。

『日刊宝の山』『アウトライヤー寄稿』は利益を保証するものではありません。


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