死とは、医療とは。
G20に参加中の河野太郎外務大臣がこんなツイートを投稿した。
G20の会場には最先端技術の展示コーナーもあります。これはiPS細胞から作った心筋シート。脈をうってます。 pic.twitter.com/43aVEC43wT
— 河野太郎 (@konotarogomame) June 27, 2019
iPS細胞から作り出された心筋シート。ベンチャー企業「クオリプス」が開発したもので、既存の投薬治療が難しい重度の心臓病患者への治療法として2022年までに実用化が目指される。科学によって不可能が可能となるブレイクスルーには常々驚かされる。特に医学においてのそれは一際である。神の領域と思われていた生死の天秤に人間の叡智がという指先が触れた、そんな風に考えれば然もありなんと言ったところだ。
ギリシャ神話にアスクレーピオスという名医が登場する。死者ですらも蘇らせる技術を持ち、それゆえに地獄との均衡を崩したことでハデスの怒りを買い、ゼウスに殺された男である。最近では人気アプリゲームのFGOに登場キャラクターとして実装され、界隈では最も熱い存在だ。心筋シートのニュースを見た時、このアスクレーピオスの話が思い浮かんだ。
心筋シートは不幸にも難病に見舞われた子供や、守るべき家族がいるような本来死ぬべきではない未来ある人間に恩恵があるように思う。一方で本来死ぬべき寝たきりの高齢者の鼻にチューブを突き刺して寿命を引き延ばす延命治療は医療という同じ分野においても真逆の技術だ。もう思い出せないがアスクレーピオスの技術はどちらであったか。
昨日は祖母の一周忌だった。あの世の祖母に手を合わせ、柄にもなく生と死に想いを馳せる。
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