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懐かしくなるという寂しさと美しさについて
年末、一年ぶりの個展を開催するにあたり、
自分の絵と、自分自身、世界を見るときの感覚について、改めて考え直す機会がありました。
私にとって人生とは、
大切な人との別れを忘れず
背負って生きていくということです。
自らも短い命の中で、同じく短い命を持った大切な人たちとの別れを何度も経験し、その記憶を背負って生きていく。
その連鎖が生きる意味であるようにも感じます。
全てのものは変化しています。
自分の身体、身につけた能力、大切な人との関係性、忘れないと思っていた記憶。
全てが進化と後退を続けています。
止まらないものは何一つありません。
今あなたの生活の中にある当たり前の何かが、
変わらずにずっとそこにあるのは奇跡です。
だからこそわたしは変わらない何かを、
懐かしくならない何かをいつも求めています。
とてつもなく長い年月繰り返されてきた空の変化は、変わり続けることで円環の中に入り、
永久性を手にしている気がします。
何もかも変わってゆく中で、
変わらない一瞬、変わることで繰り返すことの出来てきた一瞬を、
人の目を通して感じる暖かさや美しさを乗せて、
鮮やかに描き出したい。
そう願っています。
絵の前に立った方々が、それぞれの気持ちを風景に乗せて、「懐かしい」というどこか寂しく、美しく、希望にも似た体験をしてくれますように。
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