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国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧する過去の新聞(《抜粋縮刷版》による)

目次


はじめに

海外の国立図書館には、過去の歴史的な新聞をオンラインで閲覧できるサービスを展開しているところもあるようです。

それでは日本は?というと、あいにくそういうサービスは今のところ始まっていないようですが。

擬似的になら、すでにある程度それらしいことが出来るようになっています。

⚠️少し下のカコミ「中間補足」に説明を書きましたが、本記事で紹介する新聞資料を閲覧するには「国会図書館」のアカウントを事前に作っておく必要があります(無料。オンラインで登録可能)。ないと見られません。
ただし「京城日報」などは例外で、これは条件なしで見られる上に、全ページ分の紙面の閲覧が可能です。詳細は当該の項目にて。

説明を続けますと。
「過去の重要紙面」だけ抄録した一種の縮刷版的な書物が新聞社から刊行されることがあり(本記事では「抜粋縮刷版」と呼ぶことにします)。
「国立国会図書館デジタルコレクション」で公開されている資料の中にはそうした「抜粋縮刷版」の書籍も含まれています。
なので、家にいながらにして昔の新聞を読むというようなことも、ある程度は可能なわけです。

本記事は、私が見つけた限りのそうした資料を、自分の心覚えも兼ねて、まとめてみたものです。
(年代的には概ね明治時代から1980年代くらいまで。それ以降の記事も若干。)

(注意)
これらはあくまでも、重要事件があった日の、大抵は関連する1ページ分だけの掲載ですから、あまり深堀りする感じではありません。
その後の歴史研究によって、誤りと判明している記事も多いことでしょう。

また、とりわけ(いわゆる)「戦前」「戦中」の新聞記事は日本側に都合のよいように書かれていることが多いというのも、よく知られた話です。

なので、あくまで当時の人達の「ファーストインプレッション」を追体験するためのものぐらいに、一歩引いて読み解くのが無難かと思います。

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追記:本記事の姉妹編的記事も別に書きました(海外の新聞、最初期の日本の新聞、新聞集成、その他)。よろしければ、そちらもあわせてご覧ください。


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(国会図書館のアカウントを既にお持ちで、新聞資料を直ちに読みたい方は、下のカコミは飛ばしてください。)

《中間補足/備考》
※国会図書館デジタルコレクションには、誰でも見られる資料の他に、『送信サービスで閲覧可能』な資料が多くあります。
送信サービス』=『個人向けデジタル化資料送信サービス(個人送信)』というのは、登録者が国会図書館から書籍のデジタル貸出を受けられる(家のパソコンやスマホなどで書籍を読める)サービスといったところです。この「書籍」とは、国会図書館が画像スキャンしてデジタルデータにした過去の書物です。サービスの利用方法は、ネットに多くある各種の電子書籍配信サイトと大差ないと思って良いでしょう。登録や「送信サービス」の利用はもちろん(?)無料です。

※以下にリストアップしている資料は、ほとんどが『送信サービス』の利用によって閲覧可能という区分のものです(つまり、要登録)。
その点、あらかじめご承知おきください。

(注意)
国立国会図書館の利用者登録(個人)について:本登録」によると、《満18歳以上の方ならどなたでも登録することができます》。言い換えると、18歳未満の方は、残念ながら「個人送信」サービスは使えないようです。
ただし、公共図書館などで閲覧する「図書館向けデジタル化資料送信サービス(図書館送信)」という方法があります。
こちらであれば、年齢を問わず利用できるようです(少なくとも、横浜市の図書館からは、図書館カードを持っているなら年齢を問わず利用できる旨、回答をいただいています)。
もし図書館が近くにあるなら、一度試してみると良いと思います。……もっとも、その図書館自体の蔵書・新聞データベースで用が足りてしまうかもしれませんけれど。

※アカウント作成などの詳細については、多摩美術大学図書館の次のnote記事をご覧になるのが良いかと(一番下にも再掲しておきます)。
https://note.com/tamabi_library/n/n27716a26feac
もっとも、東京都心、あるいは京都・奈良間(関西館の近辺)によく足を運ぶというような方は、オンラインで登録するより、図書館で直接手続きするほうが却って手っ取り早いかもしれません。

※なお、もっと本格的に過去の新聞を閲覧したくなった場合、一番揃っているのは、やはり国会図書館でしょう。海外の主要な新聞も大概は揃っていて、この点は大きな強みです(ただし、今では各国の国立図書館のサイトなどでオンライン閲覧できることも多いのは上に書いたとおりです)。
また、県や市の中央図書館、大学図書館には多くの場合、主要な新聞の縮刷版、マイクロフィルムなどが備わっているはずです。過去の新聞記事を閲覧できるデータベースと契約している場合もあるでしょう。

※この記事は、適宜、資料の追加や、見た目のリファインなどを行うかもしれません。

朝日新聞社関連

※現時点では朝日新聞社発行の資料が圧倒的に多く、かつまとまっているので、まずはそちらをまとめます。


朝日新聞の創刊から(発行当時の)現在時点までの重要紙面をまとめたもの


朝日新聞重要紙面の七十五年 : 1879-1954

朝日新聞社会面で見る世相75年 : 1879-1954

元旦号でみる朝日新聞80年

新聞広告で見る世相85年

重要紙面でみる朝日新聞90年 : 1879-1969

朝日新聞100年の重要紙面 : 1879~1979

「事件と報道100年」展 : 朝日新聞創刊百周年


『朝日新聞に見る日本の歩み』シリーズ

(1912年7月〜1972年)

朝日新聞に見る日本の歩み 大正元年-4年(屈折のデモクラシー1)

朝日新聞に見る日本の歩み 大正5年-7年(屈折のデモクラシー2)

朝日新聞に見る日本の歩み 大正8年-10年(屈折のデモクラシー3)

朝日新聞に見る日本の歩み 大正11年-12年(屈折のデモクラシー4)

朝日新聞に見る日本の歩み 大正13年-15年(屈折のデモクラシー5)
(なぜかこれのみ公開なし)

朝日新聞に見る日本の歩み 昭和元年-5年(暗い谷間の恐慌・侵略1)

朝日新聞に見る日本の歩み 昭和6年-8年(暗い谷間の恐慌・侵略2)

朝日新聞に見る日本の歩み 昭和9年-11年(暗い谷間の恐慌・侵略3)

朝日新聞に見る日本の歩み 昭和12年-14年(破滅への軍国主義1)

朝日新聞に見る日本の歩み 昭和15年-16年(破滅への軍国主義2)

朝日新聞に見る日本の歩み 昭和17年-19年(破滅への軍国主義3)

朝日新聞に見る日本の歩み 昭和20年-21年(焦土に築く民主主義1)

朝日新聞に見る日本の歩み 昭和22年-23年(焦土に築く民主主義2)

朝日新聞に見る日本の歩み 昭和24年-25年(焦土に築く民主主義3)

朝日新聞に見る日本の歩み 昭和26年-27年(安保体制下の国造り1)

朝日新聞に見る日本の歩み 昭和28年-29年(安保体制下の国造り2)

朝日新聞に見る日本の歩み 昭和30年-31年(安保体制下の国造り3)

朝日新聞に見る日本の歩み 昭和32年-33年(安保体制下の国造り4)

朝日新聞に見る日本の歩み 昭和34年-35年(安保体制下の国造り5)

朝日新聞に見る日本の歩み 昭和36年-37年(高度成長への信仰 1)

朝日新聞に見る日本の歩み 昭和38年-39年(高度成長への信仰2)

朝日新聞に見る日本の歩み 昭和40年-41年(高度成長への信仰3)

朝日新聞に見る日本の歩み 昭和42-43年(経済大国のジレンマ 1)

朝日新聞に見る日本の歩み 昭和44年-45年(経済大国のジレンマ 2)

朝日新聞に見る日本の歩み 昭和46年-47年(経済大国のジレンマ 3)


『朝日新聞の重要紙面でみる』シリーズ

(1972年〜1984年)

朝日新聞の重要紙面でみる1972年(昭和47年)

朝日新聞の重要紙面でみる1973年(昭和48年)

朝日新聞の重要紙面でみる1974年(昭和49年)

朝日新聞の重要紙面でみる1975年(昭和50年)

朝日新聞の重要紙面でみる1976年(昭和51年)

朝日新聞の重要紙面でみる1977年(昭和52年)

朝日新聞の重要紙面でみる1978年(昭和53年)

朝日新聞の重要紙面でみる1979年(昭和54年)

朝日新聞の重要紙面でみる1980年(昭和55年)

朝日新聞の重要紙面でみる1981年(昭和56年)

朝日新聞の重要紙面でみる1982年(昭和57年)

朝日新聞の重要紙面でみる1983年(昭和58年)

朝日新聞の重要紙面でみる1984年(昭和59年)

※このシリーズは少なくとも1998年版までは出ているようですが、デジタルコレクションで見られるのは今のところ1984年版までとなっています。

他に

十年の逆算 : 戦後重要記事切抜集 1945-55

新聞広告選集 第2輯(昭和2年版)
(第1輯にあたるものはデジタルコレクションに見つけられず。)

新聞広告一〇〇年 上

新聞広告一〇〇年 下

新聞に見る政治広告の歴史

海外の新聞に見る政治・意見広告事例集

[大阪朝日新聞関東大震災記事集] 第14989至15018号(大正12年9月)
(これは縮刷版ではなく実際の紙面のコレクションっぽいです。)

朝日新聞100年の記事にみる 1 (恋愛と結婚)
(テーマ別・全10巻の企画モノのようで、全てデジタルコレクションで見られます。ただ今回記事とは別の方向性なので、リンクを貼るのは1巻のみにします。なお8巻には私が別記事で取り扱ったトルストイの日露戦争論(杉村楚人冠による訳)が抜粋で載っています。)


Google Play Books にフルの縮刷版が(なぜか)2つだけ入っています。どちらも無料です。あいにく、画質はイマイチですが。

リンクの貼り方がよく分かっていないので、「多分これ」というのを下に書きます。仮にダメでもタイトルで検索すれば出てくると思います。

「朝日新聞縮刷版: 第 501 号」
https://play.google.com/store/books/details?id=6xUbAAAAMAAJ
……1963年(昭和38年)3月号

「朝日新聞縮刷版: 第 641~642 号」
https://play.google.com/store/books/details?id=31kHZ1dJ1AcC
……1974年(昭和49年)11〜12月号

これは海外の大学がデジタル化したもののよう。
ひょっとしたら、既にどこかのデジタルライブラリで過去の縮刷版が完全な揃いで見れたりするのかも?と思わないでもありません。いずれにせよ、古い新聞記事の完全な閲覧環境がネット上に整うのもそう遠い先のことではないでしょう。
──直観的には、海外の機関のほうがそれを先にやってくれそうという気はします(^_^;)。


その他の新聞社によるもの


京城日報


次にご紹介したいのは「京城日報」。これは「Internet Archive」などで閲覧できます。京城=今日の韓国・ソウルで発行していた日本語の新聞。
例として、下のリンクは1910年(明治43年)1月1日の紙面です(なお、「日韓併合」がなされるのがこの年の8月)。
https://archive.org/details/kjnp-1910-01-01/

URLを手で打ち変えるだけで、他の任意の日の紙面を見られることは、容易に見てとれるのではないでしょうか。

同紙は「外地の新聞」ですが、「内地」の新聞とそこまで内容的に異なるわけではなく、一種の「地方紙」として読むことも可能だと思います(時期にもよるかもですが)。
何より全ページ読めるのが大きく、ネットで読める戦前の新聞としては、現状ベストかもしれません。

(戦前・戦中の朝鮮においては、むしろ朝鮮語の新聞の発行が、弾圧のため困難を伴っていました──「毎日新報」の Wikipedia記事などを参照。そんないきさつを思うに、これも一種の「歴史の皮肉」かもしれません。)

次の紹介記事によると、同サイトで見られるのは1905年〜44年まで。ただし、抜けている期間もあり……といった感じのよう。


割と穏やかな1936年7月1日の紙面を参考までに。

1936年7月1日づけ「京城日報」(第3面)


《さらに補足》
同紙は韓国国立中央図書館のサイトでも閲覧でき、画質的にはそちらのほうがずっとよいです(上のサンプル画像もそちらからダウンロードしたものに差し替えました)。また、「Internet Archive」から漏れている時期の号が入っていたりもします。ただ、検索方法に独特のクセがあります。ついては、検索方法の手引のようなものを別途書きました。ご参考まで。

※韓国国立中央図書館のサイトは、戦前の日本語の新聞を、「京城日報」以外にも各種揃えているようです。私が気付いた範囲では「釜山日報」「朝鮮時報」「朝鮮新聞」「皇民日報」(他にもあるかも)。また、英字紙も複数。中国語の新聞も入っているようです。


以下はまた「デジコレ」に戻って……

他の新聞社


北国新聞社『新聞で見る75年史』

新聞で見る75年史 明治編

新聞で見る75年史 大正編

新聞で見る75年史 昭和前編

新聞で見る75年史 昭和後編


北日本新聞社

新聞に見る90年 : 北日本新聞創刊90周年記念 上

新聞に見る90年 : 北日本新聞創刊90周年記念 下

新聞に見る20世紀の富山 第1巻

新聞に見る20世紀の富山 第2巻

新聞に見る20世紀の富山 第3巻


毎日新聞社

新聞紙面で見る百年の歩み : 明治29年→平成7年 最新版(毎日新聞提供紙面による資料)

新聞紙面で見る百年の歩み : 明治・大正・昭和・平成 : 明治30年→平成8年 : 最新版 : 永久保存版(毎日新聞提供紙面による資料)

毎日新聞九十年 : その歩みの中から

毎日新聞120年の記録 : 1872年~1992年

毎日新聞重要紙面 1977


中日新聞社

中日新聞に見る昭和の追憶 上巻 (元年から20年まで)

中日新聞に見る昭和の追憶 下巻 (21年から55年8月まで)

中日新聞中部圏版縮刷版 : 1968年1月-1971年12月(昭和43年1月-昭和46年12月)

他に次のような記事がありました。



信濃毎日新聞に見る110年 明治・大正編

信濃毎日新聞に見る110年 昭和編


日本経済新聞80年の重要紙面 : 明治9年-昭和31年

広告三代史 : 日本経済新聞にみる

サンニチ紙面で見る山梨の百年

愛媛の新聞100年

高知新聞に見る戦後30年

読売新聞にみる昭和の40年

読売新聞から見た日本文化の80年

京都新聞の紙面に見る120年

日経流通新聞 重要紙面に見る流通の変貌 : 創刊号から1000号まで

「昭和」逝く : 特別縮刷版(産経新聞社)

昭和から平成 : 激動の記録 山陽新聞特別縮刷版

阪神大震災 : 毎日新聞(大阪本社発行)は何を伝えたか 発生から1週間完全収録号外1/17~1/24 特別縮刷版


大学新聞系


専修百年 : 縮刷版ニュース専修で見る

日歯大新聞にみる日本歯科大学の戦後20年 : 縮刷版 昭和23年~昭和41年

全共闘機関紙合同縮刷版

(次の3つは「大学」新聞ではありませんが、便宜上ここに。)

東京私立中学高校私学新聞フォーラム縮刷版 1982

東京私立中学高校私学新聞フォーラム縮刷版 1983

東京私立中高校私学新聞フォーラム縮刷版 8(1986)


大学新聞は、バックナンバーをネット公開しているところが結構あるようです。以下はネットでざっと見つけた範囲のもの。リンクは基本、ポータル的なページへ。ここ数年分しか置いていないようなところはパスしました。

なお、大学からある程度独立した「◯◯大学新聞社」が発行しているのか、大学自体が発行しているのかについては、閲覧にあたって意識した方が良いかも。
(前者なら、時として大学当局を批判するような記事も載るかもですが、後者ではそれはまずないでしょう。)

学習院大学新聞

関西学院大学新聞

筑波大学新聞

京都大学新聞(紙面のスキャンではない)


その他

特定のテーマによる新聞など


号外百年史

号外大事件集成

明治社会主義史料集 別冊(3) 週刊平民新聞(I)

明治社会主義史料集 別冊(4) 週刊平民新聞(II)
(有名な「週刊平民新聞」。これには別タイプの復刻資料=文字起こししたものもありますので、それについては次回記事の方に置いておきます。)

日本警察新聞【全号まとめ】
(ほとんど目を通していないのですが。「いかにも」な記事もある一方で、なかなかに「大正デモクラシー」を感じさせるようなものもあります。目にした中では1931年843号「警察と労働問題」など。また、新渡戸稲造が時々寄稿しているようです。)

阪神タイガースの歩み : 新聞紙面でみる猛虎の挑戦 チーム誕生(昭和10年)から平成6年まで

栄光の足跡 : 報知新聞にみる長島茂雄 第4巻 (比類なき円熟 昭和43年-昭和46年)
(他の巻は見当たらず)

「新潟市合併町村の歴史 基礎史料集」
次回の記事で取り上げる「新聞集成」的な紙面。シリーズもので1〜10までありますが、ここではとりあえず第6集のリンクのみ。)
新潟新聞・新潟毎日新聞 昭和編 1

新聞月鑑 = News mirror【全号まとめ】
(これも「新聞集成」的な紙面。1949年〜1956年分。)


東京大学・明治新聞雑誌文庫所蔵の「新聞号外コレクション」が公開されています。

下は読売新聞による紹介記事




この他、忘れてはならないのが「外国語新聞」「外地の新聞」といったところでしょう。

外国語新聞


The Nagasaki Shipping List and Advertiser

本紙は日本初の近代的新聞として名高いもの。見方としては、左方の一覧で号を選び、上方の〘 < Page > 〙のところでページ遷移。また、記事の図像をクリックすると、その箇所のテキストが表示される模様。
次の紹介記事によると、残念ながら第一号、第二号は見つかっていないようです。


次回記事でも紹介する「日本欧字新聞雑誌史」(蛯原八郎著、大誠堂、昭和9年)には、上記新聞の解説があります。また、「序説」(p8〜9)には、次のような含蓄深い言葉も。

明治文化は外人文化であるとさえ云われているほどであるから、当時の外人が其機関紙としていたところの欧字新聞を無視しては、到底明治文化を完全に理解することなど出来ぬ筈である。(中略)単にニュースとしての点だけから見ても、当時我国の邦字新聞紙は、新聞條例という痛い筆枷を嵌められていて手も足も出なかったのに反して、外人経営の欧字新聞は、例の治外法権で何でも勝手なことが云えたので、征韓論、台湾征伐、西南戦争、竹橋事件、大坂事件、大津事件、日清戦争、其他数ある国内事件や国際問題等の場合、偽りなき報道や赤裸々な彼等の意見を其紙上に容易く見ることが出来るのである。

なお、この少し前のところで「明治以前にも既に欧字新聞の論説は施政者の政治的意見を左右していた」というような記述があり、その実例が語られます(池田長発ら第二回遣欧使節のその後に関する、一種の「秘話」。p5〜7)。
その引用元である「"Japan gazette" Yokohama semi-centennial」(明治42年)は、これもデジコレに入っているので、原文を直接に読むことができます(37ページ)。興味のある方はご覧になると良いかも(次回の記事でも紹介しています)。

その後に記述のあるアーネスト・サトウ「英国策論」に関連する文章(p7〜8)についても、同様に引用元の原本をデジコレにみることができます(下記リンクの49ページ〜)。
https://dl.ndl.go.jp/pid/1543797/

以上は基本的に日本における欧字紙に関しての話ですが、中国語の新聞なども、調べればきっと興味深い知見が得られるのではないかと思います。

ただ、あいにく、ここに記されているような古い外国語新聞をネットで閲覧することは、現状では難しいようです。

「外地の新聞(邦字新聞デジタルコレクション)」


「外地の新聞」については、既述の朝鮮半島の各紙のほか、次のようなサイトがあります。

これはスタンフォード大学フーヴァー研究所の運営になるものらしいです。
したがって、蒐集されている新聞も、やはり北米を中心とした新聞に強みがあるようです。

Web上での閲覧画面の画質はさっぱりな感じですが、pdfをダウンロードして閲覧することで、画質的な不満はかなり除かれると思います(ダウンロードの方法は一目瞭然かと)。基本的にはpdfで閲覧すべきコレクションでしょう。

なお、本コレクションは、紙名の記載があっても、数日分の紙面がサンプル的に見られる程度のエントリーも多いので、その点は注意が必要です。

以下、
「データエントリー上、概ね5年分相当以上の収録がある」「日刊紙」
……に絞ると、次のような感じです(見落とし等もあるかもしれません)。

個人的にはハワイで発行された日英バイリンガル(?)紙、
「やまと」→「やまと新聞」→「日布時事」→「布哇タイムス(Hawaii Times)
……に特に注目したくなるのですが、これはいささか恣意的にすぎるかもしれません。
知名度と、収録ボリュームの兼ね合いでは「満洲日日新聞」も見逃せないかも。
なお、上記の基準からは漏れますが、戦後、ソ連統治下のサハリン/樺太で作られた「新生命」は、場所的・内容的に極めて異彩を放つもので、私にとっては興味深いものです。

加州毎日新聞
https://hojishinbun.hoover.org/?a=cl&cl=CL1&sp=kam

日米新聞
https://hojishinbun.hoover.org/?a=cl&cl=CL1&sp=jan

央州日報
https://hojishinbun.hoover.org/?a=cl&cl=CL1&sp=osn

新世界
https://hojishinbun.hoover.org/?a=cl&cl=CL1&sp=tnw

新世界朝日新聞
https://hojishinbun.hoover.org/?a=cl&cl=CL1&sp=nws

大北日報
https://hojishinbun.hoover.org/?a=cl&cl=CL1&sp=gnd

ユタ日報
https://hojishinbun.hoover.org/?a=cl&cl=CL1&sp=ytn

布哇植民新聞
https://hojishinbun.hoover.org/?a=cl&cl=CL1&sp=hss

やまと新聞
https://hojishinbun.hoover.org/?a=cl&cl=CL1&sp=yms

日布時事
https://hojishinbun.hoover.org/?a=cl&cl=CL1&sp=tnj

布哇タイムス(Hawaii Times)
https://hojishinbun.hoover.org/?a=cl&cl=CL1&sp=tht

伯剌西爾時報
https://hojishinbun.hoover.org/?a=cl&cl=CL1&sp=buj

日伯新聞
https://hojishinbun.hoover.org/?a=cl&cl=CL1&sp=nis

満洲日日新聞
https://hojishinbun.hoover.org/?a=cl&cl=CL1&sp=mac

新支那
https://hojishinbun.hoover.org/?a=cl&cl=CL1&sp=ssn

大陸新報
https://hojishinbun.hoover.org/?a=cl&cl=CL1&sp=tas

朝鮮新聞(同紙は韓国国立中央図書館にも入っていますが、収載時期が大きくずれているため、相互補完的になっています。)
https://hojishinbun.hoover.org/?a=cl&cl=CL1&sp=css

南洋日日新聞
https://hojishinbun.hoover.org/?a=cl&cl=CL1&sp=nos

南洋新報
https://hojishinbun.hoover.org/?a=cl&cl=CL1&sp=nao

新嘉坡日報
https://hojishinbun.hoover.org/?a=cl&cl=CL1&sp=sin


もう一つオマケ的に。
満洲の新聞と通信

(↑本稿を書いた時点では見れていたのですが、気づいたら「国立国会図書館内限定」の区分に変更されていました。著作権が問題になるような資料とはとても思えないものだったので、とても不思議です。ただ、これで分かったのは、今「個人送信」で見られる資料でも、区分変更で見られなくなることが起こり得るということです。)


この他にも何かありましたら、コメント欄などでお教えください。
なお、本記事の続きの記事にも、ここで貼れなかった資料(最初期の新聞、その他)を載せていることを申し添えます。

多摩美術大学図書館のnote記事(再掲)


※トップ画像は「いらすとや」のイラストを使用。