元ヤクルト飯田哲也ばりに守備範囲の広い音楽レビュー①

学生時代、皆さんのクラスに1人か2人はいなかったでしょうか?流行りのJ-POPを素直に聴いて楽しんでいる周囲を見下し、一丁前に洋楽なんか聴いちゃったりして、感性の鋭さをアピールしてはマウントを取った気でいるいけすかねぇ男子中学生。

すみません、それ、俺です。

ただ単純に格好つけたいという虚栄心を発端とした思い上がり行為であったことを懺悔し、そのようにこじらせていた結果、良かったことなんて何一つなかったことをこの場でご報告させていただきます。

しかし、舌の根の乾かぬうちにこんなことを言うのもなんですが、少々弁明させてもらってもよかでしょうか?

俺の音楽嗜好に偏りが生じたのは致し方ない面もあるんです。

というのも筆者の学生時代ってのは女性アイドルグループが音楽チャート上位を席巻していた頃で、男臭いバンドに憧れていた身としては一定の距離を置かざるを得なかったっていう如何ともしがたい事情があるんです(それでもモー娘。の『I WISH』はマイ・フェイバリット・ソング!!)

そんな中でも、流行している音楽が己の肌に合う時代と合わない時代とあって、ちなみに2020年のミュージックシーンはどうなんだと問われると…ばっちし俺好みです。

ここ数年、新たにバンド音楽が見直されるようになり、しかもKing GnuやRADWIMPS、Official髭男dismなど一定のポップ性を誇りながら斬新さも追求するアーティストが評価を得ていて、その高いレベルで争っている感じがソフトバンクホークスのレギュラー争いみたいで良いなって。

バンド以外にも米津玄師や星野源もその類で、もし今の時代に多感な時期を過ごせていたら素直にJ-POPのメインストリームに寄り添うことができ、性格面でここまでこじれることはなかったのではないかと枕を濡らす今日このごろです。

兎にも角にも、世間や時代とコミットしてこなかった賜物をかように『元ヤクルト飯田哲也ばりに守備範囲の広い音楽レビュー』と題してシリーズ化し、今後不定期で紹介していく所存です。

1.『LACK OF REASON』/ L⇔R(1994)

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疾走感溢れるM1「SOCIETY'S LOVE」で幕を開け、跳ねたリズムが心地良いM8「SEVENTEEN」などの良質ポップにサイケロック、ビートルズ志向も盛り込んだレーベル移籍後初リリースの7thアルバム。

シティ派で何かとシャレオツなL⇔Rだが、マニアックで洗練された音楽性やこだわりのアレンジメントなり“圧倒的音楽センスを見せつけてやる感”が漂う職人気質なところが、敢えてしょこたん語を使わせてもらうとするならばギザかっこよすです。

元々優れたメロディーメーカーとして名高い黒沢健一氏であるが、歌モノとして見たときに最もキャッチーさを備えているのは今作ではないかとの判断からこの度紹介に至りました。

自分、日本酒も音楽もスッと入ってくるのが好きなんで(うるせぇ!)

全作聴いてるわけではないが、当方これがL⇔R史上最高傑作アルバムとの認識をもたせてもらってます。


2.『Splash!』/ The Trampolines(1996)

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ダンスミュージックの要素を持ち込んだTKサウンドがJ-POPシーンを変革する前の1990年代半ば、国内でスウェディッシュ・ポップが受けていた時期があって、その流れに乗じて日本でもそこそこの売上枚数を誇った2人組ポップバンド、トランポリンズの1stアルバム。

ガキんちょと金魚のジャケットで可愛く誤魔化してるけど、メンバー2人ともイカつい容姿してらっしゃいます。ちなみに輸入盤はこちらです。

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しかしきっと誠実な人柄なんだろう。至極美しいメロディ&ハーモニーの王道パワーポップに真正面から向き合われているなんざ、子供の習い事の送り迎えとか絶対にしてくれるはず。

青空のもと横浜ベイブリッジとか走行中にドライブミュージックとして流すと結構心地いいです。

サブスク配信はしていないみたいで、取り敢えずシングルカットもされている一押しナンバーの動画を貼っておきます。勝手にアップロードされたもんだが、やむなし。


3.『ボクらのエキス』/ ブリーフ&トランクス(1999)

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コミックソングをチープな打ち込みサウンドと陽気なハーモニーで異質なポップに仕立て上げることに成功した男性フォークデュオ『ブリーフ&トランクス』の3rdアルバム。

ブリトラファンから特別評価の高いアルバムではないようだが、全体の構成であったり一つ一つの楽曲のクオリティ(特にわかりやすさという面で)最も完成度の高い作品ではないかと。とりわけ曲順の良さが光っています。

ちなみに大学時代、研究室で卒業される先輩にプレゼントを贈ろうということになり、俺はこのアルバムを贈呈しました。

お礼のメールは当然もらいましたが、今作に関するリアクション等は今のところありません。


4.『終わらない夏に』/ TUBE(1994)

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当方、夏が好きなわけでもなんでもないんだが(そもそもこれといって好きな季節はない)TUBEの楽曲は太陽光を目一杯受けているような錯覚を起こしてくれるので、心を活動的にさせたいときなどに拝聴させてもらってます。

と言ってもTUBEのアルバムってジャケットはどれも青を基調としたものが多くて判別がつかず、元々所有はしていたものの長らくこのアルバム単体での印象は薄かったのが正直なところ。

しかし、某つけ麺屋でたまたまM1「もう負けないよ」が流れていて、帰宅後全曲通してじっくり聴いてみたらば、揺さぶってくるししんみりさせてくるしドラマチックで贅沢な内容…何だが良い人生を送れている気分にさせてくれるアルバムでした。

圧巻はM11「夏よありがとう」。ここまで力強いボーカリゼーションで謝辞を述べられたら“夏”も太陽を照らした甲斐あったよね。

90年代のTUBEは毎年夏に合わせてオリジナルアルバムをリリースし、コンサートツアーで全国を回るなど多忙を極めており普通なら精神が病みそうなもんだが、それでもM2「夏を抱きしめて」やM3「終わらない夢に」などといった底抜けに明るい名曲を作れちゃうあたり、熱中症の恐れや紫外線の有害性はあれどやっぱ“夏”っていいんだろうね。


5.『Christ Illusion』/ SLAYER(2006)

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ここまで紹介してきて「こいつはハイトーン系男性ボーカルのAORアーティストしか聴かんのか?」と思われるのも何なので(別に構わんのだが)スラッシュメタルも嗜んでるんだぜってとこを見せつけときます。

それでもスラッシュに対しては頚椎に負担掛けたくないのでヘドバンはしない程度の情熱と知識しか持ち合わせていないのだが、昨年活動休止したスラッシャー界の帝王SLAYERの9thアルバムで、オリジナルドラマーであるデイヴ・ロンバード復帰作の『Christ Illusion』を一度でいいのでご賞味して欲しい。

前任のポール・ボスタフも素晴らしかったが、デイヴの超高速ドラミングプレイで疾走感マシマシ。これぞスラッシュ。待ち望んでいた初期の路線。しかしまたこの7年後にデイヴは脱退し、今度はポールがドラマーに復帰。高校時分、日本史選択だった俺からしてみれば桂太郎と西園寺公望が交互に政権担当をしていたやつ(いわゆる桂園時代)を彷彿とさせます。

邦楽の愛だの夢だの歌っている音楽を聴いてすっかり澄み切ってしまった心に、SLAYER等から邪悪なエッセンスを注入してもらうことで、社会や人生のあらゆる理不尽への抵抗力増強が図れるはずです。


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