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政府肝入りリモートキャンペーンという動きからベトナムの強みが4つもわかる

最近やってた「コロナで生まれたベトナムの新サービス」的なリサーチ、ぽつぽつと記事になりはじめているので、引用しつつプチ解説をしています。ちなみに前回はコーヒーかすでつくられたマスクの話を書きました。

そんでもって次はこれ、オンラインツールのキャンペーンプロジェクト。

詳しくはリンク先を見てほしいんだけど、コロナ感染防止によるステイホームがつづく中、オンラインツール開発提供を主とする若き起業家たちが、自分たちのプロダクトを最大70%引の大盤振る舞いで開放したプロジェクト。最大の特徴は政府のお墨付き。このきっかけそのものは起業家たちによるFacebookグループでしたが、情報通信大臣の「これを機に進めんしゃい」という大号令もありイケイケオセオセで100社以上が提供してるよっていう。

これひとつでベトナムの強みが分かる。4つも分かる。

社会主義国はやっぱり政府のお墨付きがあると強いな(逆に言えば無いと振る舞い次第ではいつ潰されるか分からんなっていう)っていうこと。IT立国を進めてきて他国のオフショア拠点としてエンジニアをガンガン輩出した成果っていうこと。たとえ外資系のツールやアプリがあっても国産をつくりたがるし、国民もまたそれを使いたがるのかなっていうこと(たとえばトークアプリは日本のLINEでもなく韓国のCacaoTalkでもなく、国産のZaloとか)。そしてやっぱりベトナムって、一致団結大大大好きだよな~っていうこと。

とくにこのコロナ対策では政府の動きが優秀で、たしか自国民からの支持も世界一位だったはず。そんなこともあってより、官民一体でがんばるぜ!感が爆発してる印象。このへんの「一致団結したいぜ」なる感覚って、根っこは日本も同じだと思うんですよね。なんだっけ、あぁそうだ、電波少年の土屋元プロデューサーがヒッチハイクの旅企画を思いついた背景には、24時間テレビのマラソンがあったんだって。国民がみんなで応援している様子を見て、日本人はみんなで応援が好きだな~、それならヒッチハイク!となったらしい(そんな瞬じゃないと思うが)。ただ、日本はときの戦争で負けちったので、一致団結に後ろめたさがある、ベトナムは勝った風なので、ない。ちなみに以前、ドイツのサッカー事情について在住ライターの方(久保田由希さん)に書いていただいたんだけど、そこでもこんな記述がありました。

”ところでこれはまったくの私見ですが、ドイツは自国のPRがとても苦手だと感じています。(中略)ドイツという国単位だといきなりおとなしくなる気がします。ドイツは地方分権の連邦国家ですし、第2次世界大戦の歴史から、国を主張することがためらわれるという心境もあるでしょう。でもワールドカップは、国同士が競うもの。(中略)ワールドカップ期間中だからこそ、堂々とドイツ国旗を手にできるのだと思います。”

常連ドイツのW杯、盛り上がりには複雑な歴史と愛国心」より
※太字は私が今つけました。

という訳で、個人的には、この動きはいかにもベトナムらしいと感じたし、また同時にベトナムと日本の似てるようで違うところを痛感したワケです。

歴史っておもしろいですね。それが子孫の国民性に影響を与えるんだから。なお、同じ敗戦国であるドイツと日本の反省の程度の違いもまた興味深いと思っていて、あ、文脈から分かると思うけどドイツの方が反省しまくってるという前提で、これは個人主義とコミュニティ主義に由来すると思っています。たぶんなんだけど、ドイツは前世代のこの人達が悪いと言えるけど、日本は日本人である以上悪いって言えないんじゃないかってね。いちおう言っておくけど、反省が足りないとかどうとかいうことじゃないですよ。私は。

閑話休題。

ま、とはいえ、時勢にのったプロモーションという側面もあると思いますけどね。ただこれによってベトナムのネット活用はますます進むでしょうし、ひいき目なしに(それはむりか)、ベトナムへの期待値は高まっています。

ぜんぶうまい棒につぎこみます