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電子は水底へ 14

オリジナルの長編SF小説です。

~あらすじ~
近未来の世界で庭師として生きるアンドロイドが、ある日、巨大で奇妙な白い繭を見つけ、大事件に巻き込まれていく。逃亡中に重大な秘密を知り、苦悩からヒトを開放する手段を見つけるため、旅に出るが……


※少し残酷な描写がございます。苦手な方や、18歳以下の方の閲覧は推奨しません。
※16回ほどで完結する予定です。

電子は水底へ 1 】【電子は水底へ 13 】⇔【電子は水底へ 15 




人がある程度行き交う通りの果てには、複雑に路地が入り組んだエリアがあった。

薄暗く不潔な雰囲気が漂っている。毒々しい落書が散乱している。道を行く人々の眼光は鋭い。暗がりには、やせ細った子供や大人が幾人も横たわっていた。

歩いていると、少し道幅が広い場所で浮遊する巨大なホログラムの看板を見つけた。忙しなく映像を流す看板の前で、立ち止まる。

人工皮膚をまとっていないアンドロイドの手と、人間の手が組み合う映像。上向きの掌の四本の指が重なり、手前の親指の先端同士がぴったりと合った。次に、アンドロイド製造の映像がテンポよく映された。

アンドロイド製造所。最後に画面一杯に表示された文字は、きっとそんな意味だろう。

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