電子は水底へ 15
オリジナルの長編SF小説です。
~あらすじ~
近未来の世界で庭師として生きるアンドロイドが、ある日、巨大で奇妙な白い繭を見つけ、大事件に巻き込まれていく。逃亡中に重大な秘密を知り、苦悩からヒトを開放する手段を見つけるため、旅に出るが……
※少し残酷な描写がございます。苦手な方や、18歳以下の方の閲覧は推奨しません。
【電子は水底へ 1 】【電子は水底へ 14 】⇔【電子は水底へ 16 (最終話)】
早くしなければ。己の限界、警備員が来るまでの時間は短い。
巨大な手術室のような部屋に、倒れ込むように入る。吊るされたチューブや電線で繋がった銀色の機械が、規則正しく並んでいた。
狭い機械と機械の間を進む。
ひたすら探す。
このシルバーの海の中で、あの小さい部品が見つかるだろうか。
痛いほどの寒さに、震えが制御できない。左腕と右足が硬直して、巨大な操作盤に倒れ込んだ。ボタンを押してしまった感触がするが、起き上がれなかった。
後ろで、金属同士が擦れる音がする。円筒形の保管容器が、1つ浮き上がってきていた。その容器の中に金色に光る何かを見た気がして、慎重に身体を方向転換させ、保管容器に近づく。
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