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侵入思考アレンジノート

 こんにちは。ねこっちと申します。

 今年の夏、祖母の家で仔猫が4匹生まれました。私が近づくとミーミーという声で鳴き、私を見上げてくれます。
 普段は祖母や伯母が面倒を見ているこの4匹ですが、時々、私に抱かせてくれることがあります。私は猫を抱いたことがないので、不慣れでおどおどしながら抱くのですが、そのような時、突然浮かんでくる悪い考えがあります。

 「この猫を投げてしまったらどうなるのだろうか・・・・・」

 ここで注意しておきます。この悪い考えは、思おうとして故意に思っているわけではありません。「絶対にやってはいけない」と思うからこそ、意志に反して強く浮かんでくるものです。

 「かわいいでしょ?」という祖母を傍らに「かわいいね。」と言いながら猫を抱く中で、このような不快な考えによって、私の頭の中はぐちゃぐちゃになっています。自分でも考えたくないこのような考えに悩まされる中、私は長い間困っていました。

 そこで、私はこの「悪い考え」の何が不快なのかを分析してみました。悪い考えには、ある一貫した特徴があります。それは、

「絶対にやってはいけない」ということを決まって想像させ、それが強く浮かんでくることで不快になる

というものです。これをいくつかのパーツに分解します。

①「絶対にやってはいけない」ということを
②決まって想像させ、
③それが強く浮かんでくることで
④不快になる

 このパーツ分けから、①と②と③があることで、④の不快感が出てくるという構造が分かります。

 次に、各要素を検討していきます。まずは①②を考えます。

 ある物事を1つ定めると、それに応じて「絶対にやってはいけないこと」はいくつか決まります。例えば、「猫を抱くこと」という物事には、「猫を投げる」「猫の首を折る」などの「絶対にやってはいけないこと」が定まります。つまり、私のような謎の想像癖がある以上、絶対にやってはいけないことを想像してしまうのは、何か物事をするうえで、避けることはできないように思います。よって①と②には対策のしようがありません。

 次に③を考えます。①と②によって生じた悪い考えが増幅して強調され、頭から離れなくなるのが③です。悪い想像に支配されてしまうときというのは、①と②が生じた後に③に思考が発展していくので、④の不快感が生じるというわけです。

 しかし、このことは逆に考えると、①と②が生じた後に③に思考が向かわなければ、④の不快感を食い止められるということでもあります。つまり、①と②が浮かんだあと、別の思考が入る余地をそこに作ればよいのです。

 そこで再び①に戻ります。「絶対にやってはいけないこと」というのは、別の言い方をすれば「やったらそのようになってしまう、危険なこと」ということです。ではこのとき、「やってもそのようにならない」としたらどうでしょうか。無論、それは現実的にはそうではありませんが、想像の世界であればいくらでも創作できます。

 そこで、次のような方法を使うと悪い想像による不快感を抑えることができます:

<方法>
1.適当な題のノートを一冊用意する。
2.悪い想像が現れた時、それを記録する。
3.あとから悪い想像を面白おかしくアレンジしたストーリーをそのノートに書く。このとき、論理性や完成度はなくてもよい。

 医学的には、この悪い想像のことを「侵入思考」というようです。そこで、このようなノートを「侵入思考アレンジノート」と名付けることにします。

 例えば、侵入思考アレンジノートの記述例として思いつくものを挙げると次のようになります。

・20XX年*月-日
 抱いている仔猫を放り投げたらどうしよう、という想像が発生してしまった。しかし、放り投げてみると、猫は突然ムササビに化け、華麗に滑降して飛び、着地。その後、再び猫に戻り、私の元に駆け寄ってきた。

・20YY年#月&日
 目の前を女性が歩いていた。その女性に「カンチョー」してしまったら、という悪い想像をしてしまった。しかしいざカンチョーすると、不思議なことに、その女性と私は小さい子どもになってしまった。その日はその子と夕方まで遊び、何の変哲もなかった今日が楽しい一日になった。

・20ZZ 年α月β日
 老人が杖をついて目の前を歩いていた。杖を蹴って転ばせてしまう悪い想像が発生。しかし、杖を蹴って転ばせてしまったところ、老人は跳ね起きして起き上がり、私にカンフーの技で襲い掛かってきた。どうやらこの老人はカンフーの師匠で、普段は別の流派との争いを避けるため変装していたらしい。

 絶対にしたくないことに限って頭にこびりついて強く浮かんでくるので、侵入思考は、私にとってつらいものでした。しかし、このようにアレンジすることで、侵入思考が現れた時に「よし、これでまたノートに書くネタが増えるぞ!」と発想を転換できるようになったのは大きなことでした。


 侵入思考について調べてみると、『侵入思考-浦和すずのきクリニック』というサイトに「健常者の84%がこのような思考を体験したことがある」というような内容のことが書かれていました。

 このような悪い想像をしてしまい、苦しんでいる人は私以外にもいらっしゃるのではないでしょうか。

 そのような方々に、今回書いた「侵入思考アレンジノート」の記事が少しでも役立てば幸いです。

 最後に、悪い想像の部分の記述で、一部過激な表現が出てきたことをお詫びします。この点については、侵入思考はそれほど鮮烈で不快であるという認識をしてくださると幸いです。

 侵入思考アレンジノートはこれからも使い続けようと思います。以上です。ねこっちでした。

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