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米国上場企業分析|Cloudflare, Inc.(NET)

 さて、本日は木曜日に決算もあったCloudflare(NET)について調べて見ようと思います。Cloudflareは主にはCDN(Content Delivery Network)というネットワークのパフォーマンスに関するプロダクトを提供している企業です。それ以外にもDNS(Domain Network System)やロードバランサなどのネットワークの安定性に関わるプロダクトや、WAF(Web Application Firewall:ワフと読みます)やSSLサーバなどのセキュリティに関するプロダクトも提供しています。 またパフォーマンス・安定性・セキュリティ関連のプロダクトを下支えるための機能として、クラウドサービスやAnalytics機能、App Storeなども提供しています。

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 よく一緒に話題に上がるCDNベンダーとしてはFastlyがありますが、FastlyはCDNのパフォーマンスにステータスを全振りしているイメージで速度が速かったり全世界のエッジサーバ上のキャッシュを瞬時に更新できたりというのが特徴の様です。TikTokもFastlyを使っており、Fastlyの売上の12%はTikTokだという噂です。TikTokがMicrosoftに買収されるとCDNを全てAzureに切り替えられてしまうのでは?という思惑で株価が下がったりしてるみたいですね。
 他方でCloudflareはセキュリティなどについても包括的に提供している企業で、企業のネットワーク環境全体を包括的にカバーできる事が特徴になります。Fastlyとは異なり金額が比較的安い事もあり気軽に導入ができ利用社(者)数がどんどん増えている様です。

0. サマリ

先ずはざっくりとCloudflareについてのサマリです。Positive・Negativeについてそれぞれ書いてみましたが、総じてPositiveの方が優勢なイメージです。

Positive
・エンジニアファーストのプロダクト設計、包括的ソリューションとしての提供、フリーミアムモデルなどにより差別化されたポジショニングを確立
・売上はCAGR 50%成長と極めて成長性が高い
・市場自体もCAGR 10%成長が望まれ市場の余白も広大に存在する
・人材市場からの人気も高く、売上成長に比例した組織拡大が比較的容易
・営業CFはプラ転しており、Cashも売上2.5年分と潤沢な財務力
・粗利率は75%をキープしており、高水準となっている

Negative
・プロダクトラインが広がりすぎている影響か、営業効率は最高水準とは呼べず、営業利益率の今後の改善可能性は注意して見る必要がある
・Fastlyなどの新興企業、Akamai/AWSなどの古豪(?)との競争環境は要注視。セキュリティベンダーなどとの競合も留意が必要
・PSRは30x前後であり、高水準であることが否めない

1. 会社概要

 Cloudflareは2010年に設立された会社で、従業員数は1,300人を超えています。2019年に上場を果たし、2019年の売上高は$287Mnに達しており、時価総額は$13Bnほどとなっている会社です。

Cloudflareの歴史
 元々Cloudflareは初めからCDNを作ろうとしていた訳ではありませんでした。当初はWebサイトの管理者向けのセキュリティソフトを作っていたのですが、その過程で同社のソフトがWebサイトの遅延を引き起こすのではないかと外部の投資家から言われていたそうです。それを解消する為にある種ヤケクソになってサイトの遅延を無くす開発を積み上げていったらいつの間にか普通のWebサイトよりも早く動作させる事ができ、かつセキュリティ対策もできるソフトウェアが出来上がっていたという事です。これがCloudflareの始まりです。

 この辺りの部分がCloudflareの強みにもなってきます。FastlyはPureなCDNですが、セキュリティなども含めたフルパッケージを一社で提供する事となるとCloudflareに軍配が上がるというイメージの様です。

ちなみにCloudflareの名前の由来は”Firewall in the cloud”だそうです。やはり元々はセキュリティソフトベンダーになる事を企図していたんですね。

ミッション
 Cloudflareのミッションは視座が高くて結構好きです。”Help Build a better Internet”「より良いインターネットを構築する」。中々壮大なミッションではありますが、やはり向いている方向はCDNだけでは無くネット環境全体である事が分かりますね。(Tickerの”NET”にもその意思が表れていますね)

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Network Layer唯一のクラウドサービスとしてのポジショニング
 CrowdStrikeの記事を書いた時も似た様なスライドを載せた気もしますが、CloudflareはネットワークレイヤーのCloud Serviceとして確固たる地位を築こうとしています。(図がやや恣意的な気がしますが)

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 まぁ色々と書きましたが、要はCDN/エッジコンピューティングだけの会社じゃないという事は分かって頂けたかと思います。Fastlyと比較されることも多々ありますが、CDNの領域でAkamaiやFastlyとガチンコ勝負をしているという訳ではなさそうです。

2. プロダクト

CDNとは?
 
まずは肝心のCDN(Content Delivery Network)についてです。CDNとはネット上でデータを高速でダウンロードする為の仕組みであり、元々はAkamaiが開発したものになります。
 CDNとは色々捨象して説明すると、世界中のあらゆる場所にコンテンツを保存しておくエッジサーバを配置しておき、例えば日本のAさんがイギリスのB社のWebサイトに訪問する際に、イギリスに存在するB社のメインサーバにアクセスせず日本のエッジサーバにアクセスする事でWebサイトのコンテンツをダウンロードする事が出来るという物になります。
 Cloudflareは、以下の図の通り世界中の95以上の国、200以上の都市にエッジサーバを配置しており主要先進国のほとんどをカバーしています。

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 普段インターネットをしているとあまり意識しないかもしれませんが、物理的に近い所にあるサーバからデータをダウンロードするというのはグローバルレベルになるとかなり影響が大きくなります。遠くのサーバーにアクセスするときは何個も何個もルーターを経由していくのですが、その数が多くなればなるほど時間が掛かってしまうからです。物理的な距離がある事ももちろん影響しますが。要はWebコンテンツのダウンロードを高速化するためのプロダクトであると個人的には理解しています。

Cloudflareのプロダクトラインナップ
 再掲にはなりますが、CloudflareはCDNだけを取り扱っている訳ではありません。セキュリティやネットワークの安定性に関わる機能などもセットで提供していることは他のCDNベンダーとの差別化要素の一つとなります。

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 これもこれで最初から全ての機能を提供していた訳では無く、創業以来一つ一つ機能を追加していって今のサービスラインナップとなっている訳ですね。機能追加のHistoryも凄いですが、売上高の伸びがキレイだなと本当に思いますね。(以下の図は目論見書から引用しています)

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Cloudflareの特長
 
さてそもそもCloudflareの特徴にはどの様な点があるのか簡単にまとめてみたいと思います。米国のブロガーの方の記事にかなり詳しく書いてありましたので、こちらの記事も参考にしつつ纏めてみたいと思います。(以下の記事は長くて結構読むのがしんどいですが、Chromeブラウザで自動翻訳オンにして読むと概要は何となく把握できるかと思います)

 上記の記事も踏まえ、Cloudflareを理解する上での特徴は以下の3つに整理できるかと考えています。

①エンジニアファーストの設計がなされたプロダクト
②グローバルでネットワーク全体を保護できるセキュリティ
③フリーミアムモデルでのプロダクト提供

①エンジニアファーストの設計がなされたプロダクト
 
エンジニアに使いやすい様、いわゆるSoftware Defined Networkとしてプロダクトを作っていることがCloudflareの特徴の一つです。(Fastlyも同様)
 CloudflareやFastlyはこの設計思想のことをプログラマブルCDNを読んでいる様ですが、要はエンジニアがプログラミングをするだけでネットワーク構成を構築できたり変更できたりするというプロダクトになります。従来のネットワークはハードウェアとセットで構築するものでしたので、プログラミングだけでは設計を変更することはできませんでしたが、それをプログラミングだけで変更できるということになります。
 エンジニアファーストの設計を基本的には行っているということの様ですが、今後はどの会社もより社内のエンジニアが増えていく傾向にあるともいますので、CDNのプロダクトを選定する人と実際に使う人はどんどん一致していく傾向にあるのかなと予想します。そうなってくるとCloudflareやFastlyなどのエンジニアファーストのプロダクトのシェアは拡大してくるのかなと思います。

 また、Cloudflare Workersというエッジコンピューティングプラットフォームも提供しています。これはサーバーを用意しなくとも、エンジニアがコードを書くだけで世界中にエッジサーバーを用意できるというPaaSの様なサービスになっています。これによりエンジニアにとってはより使いやすいプロダクトになっているという訳ですね。

②グローバルでネットワーク全体を保護できるセキュリティ
 
他のCDNベンダーとは異なり、セキュリティも含めた包括的なソリューションとして提供しているというのも特徴の一つです。
 DDoS攻撃のブロックはフリープランでも標準搭載していますし、WAFやSSLなどの機能もオプションで搭載しています。またArgo Tunnelというグローバルのネットワーク全体を外部からの攻撃からブロックするソリューションも提供しています。CDNのみのプロダクトを使う場合、エンジニアはいくつものセキュリティプロダクトを複数活用し統合する必要があり、更にグローバルに同時に展開する場合、展開初期からグローバル全体で同時セキュリティ対策を施す必要がる為、かなりの負荷がかかる事になります。Agro Tunnelを活用することによりサービス展開の最初のタイミングから簡単にグローバルネットワーク全体でセキュリティ対策をすることができ、その辺りも差別化ができるポイントの一つになるかと思います。

③フリーミアムモデルでのプロダクト提供
 
AkamaiやFastlyなどの競合とは異なり、基本的には無料でグローバルCDNを使うことができます。しかも無料プランでもDDoS攻撃のブロックやSSL証明書などの基本的なセキュリティ機能であれば使うことができ、容量制限とかもないというのは大きな特徴です。いわゆるフリーミアムですね。
 その後、ファイヤーウォール機能を設けたり、ビデオストリーミングを使えるようにしたり、などという追加機能を使うタイミングで課金をしたり、24時間サポートがあるエンタープライズプランにアップグレードするタイミングで課金をしたりといったビジネスモデルです。
 一度CloudflareのCDNを使ってサービスを作ってしまうと、中々スイッチするにもコストが掛かりますのでAkamaiやAWSではなくそのままCloudflareのサービスを使い続けることになるということですね。後ほど説明しますがCloudflareは競合と比べて圧倒的に顧客数が多いのが特徴です。

3. 市場・競合

市場
 市場については非常に広大でかつ年々拡大を続けているという非常に優良なマーケットです。2018年時点で$32Bあったマーケットは、2022年には$47Bnに拡大。4年で約1.5倍、年平均成長率は10%増程度のマーケットである事が分かります。ここで対象としているマーケットはCDNやセキュリティ関連になります。

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 この市場は今後更に拡大を続けていくのではないかと個人的には考えています。IoTデバイス/自動運転車の増加や、AR/VRや高画質動画コンテンツの増加、5G化による通信容量の増加、エッジデバイスでのAI/機械学習の増加、などなど、エッジサーバーにコンテンツを貯めておいた方が良い理由というのがどんどん増えてくると思い、その流れはほぼ間違いないと考えています。
 また個人や中小企業でもインターネット上で自社コンテンツを作り発信してく流れもより増えてくると思いますので、特に個人や中小企業向けにフリーミアムモデルで事業が回っているCloudflareにとっては良いトレンドが生まれてくるのではないかと考えています。

 Fastlyは金額があまりにも高く、簡単には導入できないレベルの価格設定だという事らしいです。ちゃんとPricingを見た訳ではありませんが…どうやらそういう事らしいです

競合
 CDNの領域での主な競合としては主にはAWS CloudfrontAkamaiの様です。少なくとも昨年まではCloudflareとこの2社の合計3社で、CDN市場のほとんどを分け合っていた様なイメージの様です。そこに対し、コンテンツ配信のスピードなどに強みを持ったFastlyがグイグイ追い上げてきているといった状況らしいです。

 ただし、先ほども述べた様にCloudflareはCDN領域だけで戦っている訳ではなくネットワークベンダーやセキュリティベンダー、クラウドベンターなども開示資料上では競合としてリストアップしています。
 例えば以下の様にCiscoZscalerGoogle Cloud/Azureなども競合として認識をしている様です。気になる点としては企業規模の割には戦線が広がり過ぎている事でしょうか。戦線を広げすぎて焼け死ぬという事が無いといいなと思います…後ほど述べますが戦線が広がっている事は営業効率の悪さとも関係があるのかもしれません…

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 CDNベンダー同士で比べると、Cloudflareの顧客の特徴としては大手企業が少なく、その代わりに従業員10名以下の小規模企業が多くなっており、その為に顧客数はAkamai/AWS/Fastlyと比べると頭一つ抜きんでている様です。フリーミアムモデルを取っているためですね。

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出典:Intricately

4. 業績

 Cloudflareのこれまでの業績についても見ていきましょう。2016年~2019年までのCAGRは(年平均成長率)は50%とまぁ中々に良い成長率ですね。CloudflareのMetricsで良いなと思ったのは、下図の右側のLarge Customers数の成長率ですね。1,000万円/年以上支払う顧客の数が売上高成長率よりも速く成長していますが、これは売上に占める大口顧客の割合が増え、より解約されにくくなるということに繋がるかと思います。上記で引用させて頂いた資料の通り元々は大口顧客は少なかった訳ですが徐々に大口顧客も増えて来ているというのは良い傾向だと思います。
 Q1の決算発表資料ではFortune 1,000の13%の顧客がCloudflareを使っていると記載がありますが、Q2終了時点では15%に上昇している様です。また欧州最大の金融サービス会社がCloudflare for Teams(Firewall &VPN)を年間5,000万円で3年契約したりとCDN以外のプロダクトも大手向けに売れ始めているという状況の様です。

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 従業員はQ2終了時点では1,400人ほどですが、Cloudflareには年間4.7万人の転職者が応募してくる様で、増やそうと思えばいつでも人数を増やせるという状況の様です。内定受諾率は96~99%と転職マーケットからもかなりの評価を受けている会社ということになります。こういった人材に好かれる会社はこれからも変わらず成長を続けていくと想像ができますね。

 以下のスライドで注目したのは売上成長率と比べた時のNRRの低さですね。NRRは115%ですので、既存顧客からの売上高成長率はNetで15%という事になり、残りの35%は新規顧客から獲得しているということになります。

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 この売上成長の大半を新規顧客から得ているというのはCloudflareのビジネスモデルと関係があります。基本的にはCloudflareはフリーミアムモデルでお試しで使うだけであれば0円で使うことができるので、新規のリード流入は結構活発にあると思われます。その中から有料版を使ってくれそうな顧客を選んで営業すれば良いので新規顧客の獲得割合が多めになるということですかね。なのでNRRが低いのはそこまで気にはならないです。

フリーミアムでない場合は既存顧客に営業をしてアップセルしていった方が効率が良いのでCAGRに対するNRRの比率が高めになる傾向があります。逆にフリーミアムで無く、流入リード数が少ないのにも関わらずNRRが低い企業は長期的な成長性が期待できない傾向がある気がします。Zoominfoとかです、はい。

 これまでの四半期毎の業績は以下の様になっています。YoYの売上高成長率は先に述べた通り50%程ですが、注目すべきは粗利率は78%前後でほぼ一定になっている事ですね。無料枠分のサーバーコスト等は原価計上していないからなのか、ちょっと違和感は残ります。また、営業利益が一貫してかなりのマイナスを掘っていることも気になりますね…

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 営業効率を表すMagic Numberについても見てみましょう。売上は全てリカーリング売上と仮定して計算しています。爆伸びしているSaaSだとMagic Numberは1.0を越えている事も珍しくは無いんですが、直近2四半期は0.75すら下回っており、正直あまり営業効率が良くないことが分かります。
 フリーミアムモデルであるが故に、無料で使用している会社向けのサポートの人件費なども販売費に含まれているんだと思うんですが、それにしても数字が良くないです。Magic Numberは0.75を越えれば及第点という指標なのでちょっと良くない傾向かなと思います。プロダクトの領域をネットワーク全体に広げているが故に営業チームを大きく組んで売りに行く必要があるので営業人員が増えすぎているといった理由もある様な気がしています。

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※GAAPベースです

 将来的なPLのモデルについても見てみましょう。将来的にはNon-GAAPベース(株式報酬控除後)で粗利75%以上、営業利益20%以上に落ち着く計画となっている様です。

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Sales & Marketing Cost(販売費)が27~29%に落ち着くという計画はちょっと正直疑問かなと思います。将来的にどれ位の成長率を維持し続けるかにもよるとは思うんですが、上記の営業効率を考えると、現在の50%から27~29%に(例えば5年とかで)落ち着くというのはちょっと疑問視しておいた方が良いかもしれません。例えば40%くらいとか…?

 尚、GAAPベース(株式報酬コミ)で考えてみると、FY20に入ってからは売上比率15%位の金額を株式報酬で販管費に計上しています。そこから考えると、まぁ長期的には株式報酬の比率は下がっていくと想定し、売上の5~10%位が定常的に株式報酬として計上されると考えて良いのではないかと思います。そこから考えると将来的には以下の程度のPLモデルになる気がします。

【GAAPベース】
・粗利率:75%以上

・営利率:10~15%以上(販売費率が低下しない場合は0~5%くらい)

 という事で、販売費が全体的に重いせいで中々営業利益率が改善しないというシナリオが想定され得るんじゃないか、というのが現時点での見立てです。それで売上高成長率50%をキープし続けられるのであれば問題無いですが、失速したときが怖いなという感覚を持っています。まだまだTAMは大きいですし、AkamaiとかはCloudflareの売上の7倍くらいあるので、成長余地はまだまだあると思っていますが。

5. 財務状況(Cash Position)

 まずCashについてです。現預金+短期投資(国債・社債等)で$1,069Mnほどあり、売上は$400Mnほどですので、2.5年分の売上に該当する規模の余剰資金を保有していることになります。(そのうち$360Mnほどは借入による調達ですが)

 Q2決算から以下のCash Positionに関するページが追加されたことは一つ良い傾向かなと思います。潤沢なCashを持っている事営業キャッシュフローがプラ転した事、がメッセージかと思います。

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 今まであったページを消すとIR上は悪目立ちして逆効果になってしまいますので、継続開示できる項目だけに絞って開示資料に落とすのが基本のIR戦略になります。そこから考えると今後営業キャッシュフローは継続的にプラスを維持できるという自信が経営陣にはあるのではないかと想像することができます。
 既存のプロダクトについては投資フェーズが終了し、投資回収フェーズに入ってきたというメッセージでもありますので、ここからどんどんキャッシュフローが改善してくるのかと思います。
 また、営業キャッシュフローがプラ転したにも関わらず、転換社債で$562Mnを調達していますので今後M&Aなども含めた大胆な成長投資も仕掛けてくるものと思われます。

総じて、財務体力の観点では非常に良い状態です。BSのその他の部分はあまり特筆すべき点も無いので割愛します。

6. 株価

 上場来の株価の推移は以下の様になっています。昨年の上場から3~4月位までは比較的横ばいくらいで推移していたのですが、現在では上場時の2倍くらいになっており、時価総額は$12.165Bnに達しています。

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 コンセンサス予想と8/6に発表されたガイダンスについても見てみましょう。まずはコンセンサス予想です。Yahoo Finance情報だと以下の様になっていますが、Q2の予想は売上$94Mnでしたがしっかりとそれを超えて$100Mnドルでした。

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 また8/6に発表されたガイダンスは以下のようになっています。Q3の売上は$102.5~103.5Mnとコンセンサス予想をかなり上回っています。また通期予想についても$404~408Mnとかなり上に跳ねたガイダンスとなりました。

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 これを受けて8/7のCloudflareの株価は一時+8%くらいの上昇をしたのですが、グロース銘柄総崩れの影響を受けて結局は△3%の着地となってしまいました。

 時価総額としては8/7の終値ベースで$12.165Bnですので、今期の通期ガイダンスをベースとしたPSRは29.8~30.1xとなります。まぁ個人的には高い事は高いなと思います。これを高いと見るか、低いと見るかはその時の相場次第ではありますが、絶対に手出しすべきでないと言い切れるほどの高水準というほどでも無いかなというのが個人的な所感です。

 理由としてはTAMのCAGR10%レベルでの急成長差別化の出来ているプロダクト/ビジネスモデルの存在人材市場からの人気強力な財務体力高い粗利率などを考慮すると、今の成長率を維持し続け2~3年で売上$1,000Mnを超えてくる可能性も想定され、今後一時的に株式相場自体が崩れたとしても中長期的には持ち直してくる可能性が高いと考えられるからです。逆に株式相場が崩れなければこのままどんどん株価が今のマルチプルのまま伸びていくと思われますので、一定のポジションを張る価値はあると思われます。
 一方でやはり気になる点としては営業効率の悪さと、Akamai/AWS/Fastlyなどの競合の存在でしょうか。この辺りの懸念が今後どこまで影響となるかは継続的にウォッチしていきたいと思います。

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