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#愛読書で自己紹介 そんな3冊


素敵な企画なので参加します。
普段はXで音楽の話を取り留めも無く話してるような界隈の人間なんですけれども数年前から突然読書に目覚めました。10年前に突然ギターに目覚めたように。次はたぶんボルダリングとかに突然目覚める予感がします。なんで目覚めたかは自分もよくわからないんですけれど、幼少期から漠然と文学青年的なキャラクターに憧れはあったので成り行きなんですかね。仕事がちょっと安定して余裕が出てきたのもあるかも。なんかこう、読書ってきっかり自分で作りだした時間を贅沢に使ってる感じが良いですね。

紹介するにあたり、読書にハマり始めてから2-3年ぽっちなものでうす~い読書歴からのセレクトとなりますがご容赦ください。愛読書…という程読み込めているかはちょっと不安ですがどれも素晴らしい作品なので、ご興味ありましたら手に取っていただけると幸いです。



①島とクジラと女をめぐる断片 / アントニオ・タブッキ

夏に読んだ本。イタリアの作家、アントニオタブッキの短編集。短編と呼ぶには余りに取り留めのないテキストも収録されているので散文集、と紹介されている所もあります。ポルトガルの海に浮かぶアソーレス諸島を舞台に、バカンスと呼ぶにはちょっと物悲しいようなほろ苦く幻想的な語り口で海の姿が綴られていきます。『島とクジラと女をめぐる断片』というタイトル通りのブツ切りのテキストを読み込むうちに段々とアソーレス諸島の暑気と、クジラの咆哮が体に流れ込んでくるような抜群の異国情緒と没入感を持った作品です。パラパラと断片を楽しんでも良いんですけど、来年の夏はゆっくり1回通しで読もうかな。


②針がとぶ - Goodbye Porkpie Hat / 吉田篤弘

Xのフォロワーさんが紹介されてて、気になって読みました。1冊目と同じく(もう少し明解かな?)断片的な物語が緩やかに連なる連作短編集。現実世界の物語ながらその語り口はまるで穏やかに揺らめくランプの灯りを見つめるように、穏やかで儚い。レコードの針が飛ぶ瞬間やこと切れる電球、ホテルのクロークに残されたコート等物語の起点となるちょっとしたガジェット達がたまらなく愛しいです。これは何となく冬に読みたいかな。


③歩道橋の魔術師 / 呉 明益

単行本の表紙が素晴らしいので画像は単行本で。

ちょっと馴染みの無かった台湾の文学ながら素晴らしい作品。台北に実在した全長約2キロメートル、店舗数千軒以上の商業&居住地帯『中華商場』を舞台としたこれまた連作短編集。ノスタルジア溢れる小説なのですが、思いを馳せたくなる甘く魅力的な郷愁というよりは事故、友の死、家族の崩壊等中華商場出身の登場人物達の現在へ色濃く影を落とす要素としてノスタルジアが扱われています。またほとんどの物語でマジックリアリズム的な手法が駆使されているのが印象的で、苦々しいムードではありますが「突如現れる存在しないはずの99階へ続くエレベーター」や「男子トイレで突然出会うシマウマ」等日常の中にポンと非日常が鮮やかに現れる魅力的なエピソードが目白押し。最後にはホロリと泣かせ本を閉じた後もしばらく中華商場の雑路の憧憬が眼前に浮かんで離れないような、素晴らしい作品です。これも夏に読みたいかも。


以上3冊でした。やっぱりこういう企画は楽しいですね。自己紹介にちゃんとなってたかがちょっとだけ不安ですけれど。上記の3冊が皆様の読書ライフの一助となれば幸いです。


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