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ドラマに?

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随分、昔のことなのですが、母の友人で、植物が好きな人がいて、こんな話をしてくれたのです。

「生前の牧野富太郎先生に会ったことがある。
自分は、子どもだったが、当時はご高齢で長い距離を歩けないので、リヤカーに乗せられてやってきて、植物の勉強会をしていた」
その友人のご家族が、植物が好きで、牧野先生を招いて、勉強会を開いていたのだそうです。
そして、牧野先生は、俳句などもよく作る人で、道具や家具などに直接、文字を書いたりして、そういうものが、うちに残っていたのだそうです。

私も植物は好きだし、牧野先生は尊敬する研究者でしたが、生前の牧野先生に会ったという人は、始めてだったので、ちょっと興味をひかれました。
そういう牧野先生ゆかりの品物は、高知県立牧野植物園に全部送った、と言っていました。
それは、博物館などに寄贈したほうが、きちんと残るので、良かったなあと思いました。
しかし、それだけで、話は終わりませんでした。

テレビ局の人がやってきて「生前の牧野博士は、どうだったか、教えてほしい」と、取材が来たと、彼女は言ったのです。
「牧野富太郎をモチーフにしたドラマを作りたいので、いろいろ調べている」と。
私は、それを聞いて思いました。
植物学の研究者が、ドラマになるだろうか。

確かに、変わったエピソードがある人だけど(天才過ぎて小学校を中退したけど、今度は、小学校の先生をやってみたり)、ドラマになるかなと感じていました。
彼女も「子どもの時だったし、ちらっと見ただけなので」と、情報を提供できなかった様子でした。
そのテレビ局の方は言ったそうです。
「時間はかかるかもしれませんが、ドラマにします。でも、このことは、くれぐれもご内密に」
聞いたのは、10年以上前だったでしょうか。

そしてNHKで「らんまん」という朝ドラで、神木隆之介さんと、浜辺美波さんが、マキノ先生ご夫婦を演じて、史実とは違う部分もあるけれど、史実も巧みにつなぎ合わせた素晴らしいドラマが放送されて、私も、何十年ぶりかに、録画なんかもつかって、ドラマをほぼ全部の回見るほど、感動しながら聞いていました。

こんなに長い年月をかけて、企画されているドラマがあるんだなと思いました。

江戸時代の身分に囚われた生き方ではなく、自分のやりたい道に進むという生き方を、坂本龍馬とか、ジョン・万次郎まで登場させたり、植物学研究室に出入りを許してくれた教授が、ジョン・万次郎に英語を教えてもらっていて、「土佐の人間には、恩義がある」と言っていたり。
(牧野も、ジョン・万次郎も高知土佐の出身)
田舎の造り酒屋の跡取り息子だったので、牧野先生も、植物学というものに進んでいく上では、いろんなしがらみに悩んだに違いありません。
そして、それを江戸から明治に代わっていく時代の人の生き方に繋げて描いている。

それ以外に、本当に、よく当時のことを調べて丁寧に作られていて、人々と植物学へのリスペクトのある作品でした。

牧野博士と奥さまのスエ様、作品に関われたすべての方に感謝します。
素晴らしいドラマでした。

そして、研究者でもない者でも、日本全国のこんな膨大な植物に触れられる図鑑を作ってくださった。牧野植物図鑑の改訂版大切に読ませていただいてます。


史実と植物学も組み込んだ、ドラマ作り、凄いなあと思った所は、ちょっと書ききれないので、
スタンドFMの方で、話ました。
まとまらない話ですが、お時間がありましたら。
https://stand.fm/episodes/651696a73cba20df5fce83c3

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