見出し画像

「来週までにゼクシィ買ってきて」私からのプロポーズ

プロポーズの言葉はなんでしたか?
そう聞かれると困る。
特に夫からはなかった。

うーん、強いて言えば私からかな?


私には結婚願望がなかった。
適齢期と呼ばれる頃にお付き合いしていた人はいるが、結婚の話が出ても

それとなくはぐらかしていた。
自分が結婚するイメージが持てなくて。

両親が不仲だった、とか
父親の愛人が家に乗り込んできた、とか
そういったことはない。

ただ、女性は結婚すると苦労が増える気がした。
子育てにしても親戚付き合いにしても女性の負担多くない??
仕事も産休や時短勤務などで自分の希望やキャリアから逸れてしまうこともあるだろう。

協力的な旦那さんももちろんいるだろうけど

子どもを朝夕と保育園へ送迎し、帰宅しごはんを作り、子どもを風呂に入れ寝かしつけ、明日の用意をし。

果てしない。
朝は夫や子どもの弁当作り?
自身も仕事をしていたらその後出勤しなくてはならない。


そんなスーパーウーマンになれる気がこれっぽっちもしなかった。


早々に白旗を上げていた私は幸い1人でいることが寂しくはないし、

むしろ得意だしこのままずっと独身でいるつもりだった。

それなのに、どうしてだろう。
30歳を過ぎた頃、急に結婚したい波がきた。
友達の結婚ラッシュは27歳くらいにあって、その時はビクともしなかったのに。
まんまとその波に乗ってしまった。


結婚生活を経験していないのに否定するのは食わず嫌いだし、全く説得力がない。(一体誰を説得しようとしてたんだいw)

人生で一回くらい結婚してみてもいいんじゃん!?


こういう家庭を築きたい、とか子どもは何人で、とか
そういうビジョンは全くなかったけれど、私の気持ちは急速に結婚に傾いた。


真剣に結婚について考えている人には飛び蹴りされそうな動機だ。
でも決してふざけているわけではなく、その頃の正直な気持ちだった。

もしかしたらすごく結婚っていいものなのかもしれない。
大変なことも多そうだけれど、それでも日々たくさんの夫婦が誕生しているのだから。


当時お付き合いしていた男性に結婚願望がないことは知っていた。
彼には離婚歴がある。
結婚には消極的だった。


なんて言おう?
なんか急に結婚というものをしてみたくなったので、別れてください??

いや待て、まずは彼に打診すべきでしょう。
それでやっぱりその気がないのであれば、別れて他の人を探せば良い。

1人脳内会議は終わった。

かくして私は彼に言い放ったのだ。
私「結婚したいなあと最近思うようになったんだけど…結婚する気あります?」

彼「あるある」

(絶っっ対、嘘やん)

私「本当に?本気で言ってる?本気なら来週までにゼクシィ買ってきて。

もし結婚する気がないのであれば…別れようと思っています」

彼「うん、わかったよ」

ゼクシィ首都圏版は当時かなりの分厚さで定評があった。
6、7センチはあったと思う。
たぶん殴られたら気絶するレベル。

そんな重たいものを買ってくるのであれば、本気だ。


結婚する気がないのであれば本当に別れるつもりでいた。
脅しとか気持ちを試すとかじゃない。
私はいつだって本気の女だ。
「結婚したい」という意思を持ってしまった以上、結婚する気のない人とずるずると一緒にいても仕方ないじゃん?


翌週、少しドキドキしながら彼の家を訪れた。

彼ははじめて私から好きになってお付き合いに至った人である。
別れたいわけではない。



果たしてそこには・・・





分厚いゼクシィが!!!


なんだかわからんけど結婚することになっちまったぜ!!!


でもちゃんとうれしかった。
週刊ジャンプ買ってきて、とは訳が違う。
それなりの気持ちがあってゼクシィを買ってきてくれたのだ。

(ネットで頼んだのかも知らんが。)

自ら言い出したこととは言え、別れるのは悲しいなと思っていた。


それからはトントン拍子で話が進み、翌年結婚した。

特に描いた理想の結婚像などはなかったし、今でも結婚とは、夫婦とは?

正直よくわからない。

結婚してよかったのかどうかは死ぬときにしかわからないと思うけど。

よかったと思える、思ってもらえるよう努力はこれからも続けていきたいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?