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タイムカプセルを開けたら、6歳の僕から手紙が届いた話



「タイムカプセルに何か入れましたか?返却が始まりました」


昨年12月中旬、実家の母親からLINEが届いた。母親から連絡が来るなんて、月に1度あるかないかのことだ。その1度が「タイムカプセル」を含んだ文章で、ついに厳格な母親もボケたかと思った。LINEは続けて届く。


「清田区が誕生したときに、小学校で手紙をかいて入れた、のかな?」


母親のメッセージをそこまで見ると、不思議なことに僕の記憶が少し蘇った。たしかに僕はかいた。「未来の清田区」をテーマにした手紙か絵か…とにかく何かをかいた記憶があった。


ちなみに、清田区とは現在も札幌に存在する区である。札幌市内にある10の区のうち、清田区の歴史は最も浅く、一番新しい区といえる。そして、僕の実家は清田区の隅っこに、今も存在する。


タイムカプセルと聞くと、どこかワクワクするような気持ちになる。それが6歳の少年の心のど真ん中にぶっ刺さっていたのだろう。だから、断片的な記憶が残っていた、本当にごく僅かだけど。


僕は気になって「清田区 タイムカプセル」と検索した。すぐに区役所のページを見つけることができた。

区内の小中学生が2020年へのメッセージを絵や作文にしタイムカプセルの中に入れました。タイムカプセルは区役所1階ロビーに設置されています。


なんと!Twitterアカウントも見つけた。きよっち…可愛い…!そして、なんか小さい区にしては、頑張って映像作成してる…!いいぞ、清田区!!!


この映像を見て、記憶が少しずつ鮮明になってきた。


そうだ。確かに僕はハガキを書いた。



さらに記憶を掘り起こす。


それをかいたときは…、たしか座席は廊下側で…席の近くには…僕と仲良しトリオを組んでいた高橋と後藤がいて…、なにか楽しいものをかいた…たしか遊園地とか、ゲームセンターとか…、なんかそんなものを…。


さすがに23年近くたっているので、思い出すにはそれが限界だった。僕は母親に返信をする。


「とりあえず、受け取って、届いたら送ってもらえると助かる」


うさぎがぺこりと頭を下げたスタンプが送られてきて、母とのやりとりは終わる。


「ハガキ送りました、なごみますよ」


1ヶ月ぶりに母親からLINEが届いた。どうやらタイムカプセルにあったハガキが実家に届き、それを送ってくれたらしい。


そして、先日、やっとハガキが届いた。

きよたくをジャングルにしたいなー
いつもじゆうにどうぶつたちとあそべたらいいなー
かわがながれてていいとこにしてほしいとおも(も)います。





……


………


ジャングル…?
おももいます…?




てか、遊園地とゲームセンターないやん。





6歳のころの僕は、29歳の僕の予想をはるかに越えていた。


何を考えてジャングルを書いたんだろう。札幌で一番新しい区で、これからの発展を期待していただろうに、ジャングルって、めっちゃ退化してるし。絵みたら、竪穴住居あるし。


動物たちと遊ぶって書いてるけど、絵みたら、動物1匹もいないし、むしろ人類が何人かいて、動物たち根絶やしにしてるし、てかパンツ一丁…いますぐユニクロに行って肌着を買え、肌着を!!!


だけど…最高になごむ。そして、笑える。タイムカプセルは時を越えて、29歳の僕に確かに届いたのだ。


僕も未来の僕に向けて、手紙を残すことにした。アバウトにはなるが、53歳くらいで開封するつもりだ。


最後になりますが、この企画を考えてくれた当時の清田区の職員のみなさん、ありがとう。タイムカプセルを庁舎のロビーで守り続けてくれたみなさん、ありがとう。きよっちも、ツイッターで盛り上げてくれてありがとう。


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