ラブレターを回し読みされた時の話

昔の事をよく覚えている体質な為、私が経験したことを少しづつ記録にしたいと思う。

今34歳。
生きてきて今思い出すと緊急事態と感じた事上位にあがる 「ラブレターを回し読みされた時」

中学一年生だった私は中学校に慣れてきた頃に恋をした。

同じ小学校出身の人しか居ない中学校だけど、同じクラスになった事のない子で顔見知りばかりの中まだ知らない男の子に転校生のような新鮮な感情もあったのかな。明るくてふざけてばかりだけど、勉強もできて、笑いにセンスを感じて大好きになった。

好きになるとまず友達に相談する。
そして話が盛り上がる。
友達も所詮他人事、告白してフラれようがなんだろうが楽しい気分。
「告白したらいいやん。」
フラれてしまったらこの楽しい日々が終わってしまうかもしれない。
告白しなければ相手に気持ちも知られずに友達として仲良くいれる。
けれど、もう好きから一気に大好きになっていると苦しくてこちらも告白したくなってしまう。

一昔前は連絡網や卒業アルバムに名前や住所、電話番号が書いてあったので、聞き出す必要もなく連絡ができた。自宅に。

男子の家に電話をかけるとだいたい…いや、まあまあ絶対に母親が出る。
なんだか気不味い。
電話を代わってもらうと頑張って本題へ。
もちろん女友達も横でニヤニヤ聞いている。
言うしかないのだ。
返事は少し待ってほしいと言われる。
フラれたわけではないので。まあまあ。
きっと男子も悪い気はしないが今現在好きでもない子から告白されて、有りか無しか男の友達に相談したり色々あるのだろう。仕方ない。

有りか無しかは男の友達にかかっている。
周りを固めてからの告白も大切だなと思う。

なかなか返事がもらえない夏の日に友達といつもの本屋にいると好きな男子も友達と本屋に来て気不味くて帰ろうとしたら呼び止められた。
「◯◯(私)は俺の事好きなんやろ?俺も好き。」って言われた。
今思うと死ぬほど青春を感じる。
ああ、戻れるなら戻りたい。
だから付き合おう!とならないのが可愛らしい。
「両思い」の確認である。


「両思い」を確認できて死ぬほど浮かれていた私は女友達に渡すようなキャピキャピっとウキウキっとした手紙を書いてしまう。
あまり覚えていないが、きっと君とあんな事したいやこんなところに行きたいとかかな。下ネタじゃないですよ。
覚えているのは最後に「うるさい手紙でごめんね!」と書いた事。
なんだか浮かれながらも、さむい締めくくりの手紙だなと感じたけど、全然冷静じゃないのでそのまま封をしてしまう。
その手紙は渡せずに学校の鞄の内ポケットにずっと入っていた。一週間くらい。
やっぱりうるさい手紙に恥ずかしくなって渡せなかったのだ。
毎日お弁当の時間になると鞄をあけ内ポケットに手紙がまだ入ったままだな…と無意識に確認していた。
ある日お弁当の時間に見ると無いのに気づく。
「あれ?家に置いてきたんかなぁ…?まあ大丈夫かな?」
昼休みになると私の周りで男子がクスクス笑っているが気のせいだと思いたい気づかないようにして女友達と話していると、先生が教卓横にある机で何かしていた。それを見て女友達が私に言った。

「ねぇ、あの便箋って◯◯(私)のじゃない?」と言われ先生を見ると、先生が私の浮かれまくったラブレターを読んでいた。
状況が飲み込めずにパニックになり女友達にも何も言えなくなった。
油汗が止まらない中チャイムがなり、先生が話始めた。私のラブレターを握りながら。
「この手紙読んだ人立ちなさい。」と言うと私の席は前の方で私より後ろに居た男子達が一斉に立った気がした。体が固まって後ろを確認する事もできない。

「人の手紙を読んではいけない。こうして封しているのはその為だ。」と叱ってくれた先生。でも先生も思いっきり読んでいた。
油汗が止まらず、体が固まっていたのが今度は震えが止まらなくなった。しかし何も知らない女子生徒にバレてしまうかもしれないので必死に震えないように食いしばった。
後にも先にも経験のない事だった。
どう言う現象だったのか今でも知りたい。

そんな事を経験した私でもその後22年くらい生きている。

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