昼休みのひとりごと

最近、リグレットガールとかいうバンドのアルバム「my」(2017)をずっと聴いている。ずっと。本当にずっと。

高校生の頃から、気になった曲は死ぬほどリピートして聴く癖がある。
朝の支度中も、移動中も、お風呂でも、ハマったらもう1ヶ月くらい余裕で聴いている。たぶん1日のうちに最低12回は再生しているから、1ヶ月で360回以上再生していることになる。1曲4分として、1440分。24時間。1ヶ月のうち丸1日は同じ曲を聴いている計算。我ながら少々狂気を感じる。
1曲だけならそれくらいで飽きてくるけれど、アルバムで聴こうものなら延々と、ほぼ3ヶ月くらいはリピートしている。

延々と同じ曲を聴きながら、歌詞やメロディーを覚えるのはもちろん、ふと頭に入ってきたフレーズの意味を考えたり、歌ってる人の癖みたいなもの発見したり。そういうのが楽しい。
何百回と聴いて もう新しい発見が無さそうだなと思い始めたら、やっと次のターゲットを探し始める。

そうやって時間をかけて満足するまで聴かないと次に進めないタチだから、流行りの曲はさっぱりわからない。時代についていけない。私のところにブームが来る頃には、もう飽きられて忘れ去られていたりする。
たまに あまり親しくない人との会話のネタに困り、最近この曲が好きだとかうっかり告白すると、大抵苦笑いされて ちょっと前に流行りましたよねとか言われる。

ちなみに 3年ほど前、「何度も同じ曲をリピートして聴くタイプの人は依存体質」とかいう感じのネットコラムを読んだことがある。
その時はとてもショックを受けたけれど、確かにその通りかもしれないと思っている。ここ1年間 自分を省みてきた結果やっと自覚したけれど、私は結構重い女だ。
でも私の恋愛の全てを知っている友人から言わせると、え?そこスルーしちゃうの?っていうところでスーパードライを発揮するらしい。へぇ、って感じですが。


リグレットガールは大阪のスリーピースロックバンドらしい。バンド名の通り、自分を振った女の子を後悔させてやるという心意気で頑張っているらしい。
ちょろっと調べたネットからの情報だけれど、そんなこと検索しなくてもわかる。歌詞が女々しい。というか、失恋のぐちゃぐちゃ感をよくもまぁ上手いことわかりやすい言葉に表現できたねってくらいリアル。どの曲も失恋がテーマで、ほぼほぼ同じようなことしか歌っていない。未練の塊をアルバムにした感じ。聴いてるこっちが恥ずかしいくらい。
別に批判したいわけじゃない。好きだから聴いているんですよっと。

今日も今日とて 1曲目のホワイトアウトを大音量で聴きながら通勤したのだけれど、赤信号で止まったときにふと思った。
後悔させてやる!って気持ちが原点とはいえ こんなに女々しい歌を歌う元カレ、よく考えたらちょっと気持ち悪くないか…?

いや、いいんですよ。素晴らしい曲だと思いますし多少共感もしますし。
でも、バンド名の由来が本当なのであれば 曲を書く上でモデルとなった「元カノ」は実在しているわけで、その女性の立場になった時、例えこのバンドが将来めちゃくちゃ売れて国民的ロックバンドとか呼ばれるようになったとして、果たして あの時振ったことを後悔するだろうか。

まず、元カノを後悔させてやろうという思いからめちゃくちゃ頑張るのは良いことだと思います。素晴らしい。拍手。がんばれバンドマン。
で、その経験とか苦い想いとか諸々を歌に昇華します。素晴らしい。拍手。それでこそバンドマン。
で、その曲がとても良い仕上がりで人気が出ます。素晴らしい。拍手。やったねバンドマン。
で、その噂が元カノの耳に入ります。素晴らしい。拍手。目標まであと一歩だバンドマン。

さて、問題はここからである。
このバンドマンの元カノは、本当に後悔するだろうか。

元カノの立場になって考えた時、私が付き合ってた人ってこんなに女々しかったんだ…とか、歌詞の全部が全部事実ではないにしても 私とのエピソードこんな感じで歌っちゃうんだ…とか、それを歌にしてお金稼いできたんだな…とか、いい歳してまだ続けてたのか…とか。
とても複雑な気持ちになるだろうなと思われる。

でも何より、自分にとってはすっかり過去の思い出になったものを『頭の隅に置いておいて、(おそらく)定期的に思い返しては 思い出に溺れて胸を痛めつつ歌に昇華しています感』を醸し出す過去の恋人って、ちょっと気持ち悪いと思う。
自分の中や ごく親しい友人に話を聞いてもらうくらいで留めておくのではなく、具体的なエピソードや言葉を纏わせて世間に発信しちゃう感じが気持ち悪い。
後味の悪い別れ方をしたけど綺麗さっぱり忘れて良い想い出になったなーって頃に 突如連絡してきた元カレから急にプロポーズされるのと同じくらい気持ち悪い。あれ、今この胸のムカつきをもっと的確に伝えたいのに、もう語彙力が無い。

ただ、いくら気持ち悪かったとしても過去にその彼を好きだった事には変わりない。きっとバンドをやってる彼のことを心から応援していただろうし、彼のことが大好きで仕方がなかった時期なんかは彼の音楽にも惚れ込んでいたかもしれない。なんなら音楽ありきで彼を好きになったのかもしれない。
そういうことも考えると、自分が彼を振ったことでこの曲が出来て、人気が出て、彼は陽の目を見ることができているわけで。その成功自体は、とてもとても喜ばしいことなわけで。

で、結局。
私が元カノだったら、あの時この人を振っておいて本当に良かったと心の底から思うだろう。


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