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辻村深月『嚙み合わない会話と、ある過去について』を読んで

背筋がぞくぞくする短編集でした!

嫉妬深すぎる同級生のお嫁さんの顛末の「ナベちゃんのヨメ」など、結構人の「情」に寄り添って書かれた短編集です。

辻村さんはミステリーも好きなのだけど、こういうふうに「ひと」を書けるのがうまくてすごいなあとただただ思います。

私が一番印象に残ったのは「パッとしない子」。有名になった教え子のことを「大人しくて真面目でいい子でパッとしない子」と表現してしまってから起こる、教え子からの逆襲が先生目線で描かれています。

テレビや映像という媒体は怖いし、すぐに拡散されます。その時に自分の保身のために当たり障りのないことを言おうとすると、逆にその子の立場になれば傷つくことだってある、と学びました。

他にもモンスターペアレントを描いた「ママ・はは」など、ちょっと怖い・だけど読んでしまう短編小説集です。

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