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【Podcast書く人の気まぐれラヂオ】#38   海外詩スペシャル!

こんにちは。長尾早苗です。

今回は海外の詩を特集していって放送しました。

それでは、代表的な詩人を紹介していきましょう。


◆エミリ・ディキンソン

1830―1886 アメリカの女流詩人。マサチューセッツ州のボストンに近いアマーストに生まれる。17世紀の創設以来、ピューリタニズムの伝統に生きるアマーストにあって、彼女はついに正式な信仰告白をすることもなく、生涯を終える。しかし、生来宗教心は厚く、つねに彼女自身の神を求めていた。ディキンソンはアメリカ文学史上、ホイットマンと並び称される詩人として評価は高いが、生前発表した詩は数編にすぎず、彼女の1775編に及ぶ詩業の全貌(ぜんぼう)が明らかにされたのは三巻本の『全詩集』が刊行された1955年のことである。彼女の詩では、自然、愛、死、神などの主題が扱われている。その詩風は、歌う、あるいは語るホイットマンとは対照的で、知的、即物的、硬質でイメージが簡潔に凝縮している。現代詩に通ずるディキンソンの詩は、20世紀のイマジズム興隆と形而上派詩人(メタフィジカル・ポエット)再評価に伴い、改めて高く評価された。

日本大百科全書(ニッポニカ)より

エミリ・ディキンソンが詩人として幸福であったとはいいがたいのではないかとわたしは考えています。彼女はとても強い意志を持ち、攻撃的な性格でもあったことが伝えられています(エミリ・ディキンソンの評伝的な映画『静かなる情熱』を見ていただけるとわかると思います)彼女自身はある種「詩人」として破天荒に「ひきこもる」ことを自ら選択した女性でもありました。しかし、彼女が生前発表しなかった膨大な詩は、わたしたちに詩とはなにか、彼女が求めていた「神」という存在は何か、彼女がよりどころにしていた「信仰」は何かを伝えてくれるようにも考えられます。

放送では「わたしは誰でもない」を朗読しています。

◆T.S.エリオット

1888~1965 英国の詩人・劇作家・批評家。米国生まれ。革新的な技法と宗教性の深い作品により英文壇を代表した。1948年、ノーベル文学賞受賞。詩「荒地」、詩劇「カクテルパーティー」、批評集「神聖の森」など。

デジタル大辞泉より

T.S.エリオットはその奥深い知識ゆえに、気難しいと解されることも多かった詩人です。以前取り上げた西脇順三郎もそうですが、いくつもの宗教書であったり、深い知識を持って詩を作り上げています。
代表的なものは難解ですが、ミュージカル『キャッツ』の原作となった「キャッツ」というナンセンス詩もあり、人一倍魅力的な詩人です。

放送では『荒地』より「死人の埋葬」を朗読しています。


◆イエーツ

1865~1939 アイルランドの詩人・劇作家。アイルランド文芸復興運動、独立運動に参加。詩集「アシーンの放浪とその他の詩」「塔」、戯曲「砂時計」「鷹の井戸」など。1923年ノーベル文学賞受賞。イェイツ。

精選版 日本国語大辞典より

イエーツの中では、自我と魂、心との対話が常にあるように思います。いつでも自分との葛藤があったりします。詩人の中ではいつでも葛藤があるように考えるのです。その葛藤がイエーツの中にあるからこそ、よい詩が書けるようにも思うし、イエーツは本当の幸福とは何なのかをいつも考える詩人だと考えます。

悲しさ、死とは対極に、生の歓び、この世をもっとよくしていこうと「ことば」で考えようとしていた詩人。イエーツはそのような詩人だったのではないかとも思います。

放送では「彼は天の布を求める」を読んでいます。

◆ランボー

1854-91フランスの詩人。早熟の天才で感覚の惑乱の中から未知のものを見るという方法にめざめ、現実への反逆にみちた独自の詩風をきずいた。詩集「イリュミナシオン」「地獄の季節」など。

デジタル大辞泉より

詩人にとって「美」というものを求め続けると、その世界の醜さや汚らわしさゆえに自分の求めていたものとは違う、という思いを抱くのは時代を経ても変わらないかもしれません。ランボーは幼い時からの彼の才能ゆえに、その早熟さによって「ことば」の本質的な「美」、そして「音楽的な美」を追い求め、追い切れずに詩も、人生も捨ててしまった詩人です。

彼が詩人として幸せだったとはいいがたいです。早熟の天才は夭折しやすいと言われがちですが、ランボーが長生きしたら彼は彼なりに狂っていたかもしれません。美しく韻を踏んだ詩語のひとつひとつから、彼が手探りで、「永遠に美しい」ものをなにものか探していたことがうかがえます。

放送では「永遠」を読んでいます。

◆ハーディ

1840~1928 英国の小説家・詩人。故郷ウェセックス地方を背景に、運命に押し流される人間の姿を写実的に描いた。小説「テス」、叙事詩劇「覇王」など。

デジタル大辞泉より

小説家としても名高いハーディ。彼の詩には「恋」であったり「美」であったり、「死」であったりが非常に豊富な語彙で描かれています。
「彼女」と呼ばれる女性は一人に限定できるわけではありませんが、ある特別な女性に対して様々な思いを描いているようにも思ったのです。

運命とは何なのか。日常というものは平凡で平穏なことの積み重ねですが、その中で峠だったり別離だったりがあります。喜びも悲しみも、それぞれが「ことば」による輝きを放っているようにも思います。

放送では「フィーナを思って」を朗読しています。

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