瀬尾まいこ『夜明けのすべて』を読んで
休日にこの本を図書館の館長さんのおすすめ本として紹介されました。
私も瀬尾まいこさん大好きで、館長さんも「昨日買ってきて読んで面白かったから寄贈本にしちゃった!」とにこにこでした。
瀬尾さんの文体、本当に繊細でやさしいんですよね……。
PMSを抱える藤澤美紗は28歳。毎月周期前になるとイライラが止まらず、職場であたりちらしてしまい、今の職場が2度目だ。同じ中小企業で働く山添孝俊はパニック障害を抱える25歳。困りごとの多い二人は次第に距離を縮めていく。
本当に、なければこんなに苦労しないよな、と私も美紗の気持ちを読んでいてわかります。山添君もすごく色々困りごとを抱えていて、でも二人とも、困りごととつきあう、解放していく、という点では一緒です。
私も美紗と同じく、PMSを抱えています。結構女子には多いのだけど、隠さなければならなかったり、理解されなかったりで非常につらいです。病気、とも言えないかもしれない。PMSにもいろいろあって、美紗のようにあたりちらしてしまうイライラ系と、私のようにイライラの矢印が自分に行くめそめそ系、他にも無気力になったり、本当に色々です。
美紗の場合血栓症が怖くてピルを飲めない体だと、もう本当につらいよなあ……と共感。私もピルが体にあっていたからこそ平穏な今があるわけですが、やっぱり周期前はめちゃめちゃ大変です。
山添君も山添君で大変な思いをしていて、例えば仕事中にガムを噛んでいるのも、パニックや情報から気分を紛らわせるためなのですが、これも「鈍感」とか「緩慢」と呼ばれてしまうことがあり、大変だろうなあ……と思います。
ただ、PMSもパニック障害もみんな「病気」とひとくくりにくくれなくて。中には「名前を持たない病気かもだけどなんだかしんどい」という状態の人だっています。困りごとは誰にでもあって、でもそれをきちんと周りに説明することの大事さ、そして人の多様さを想った本でした。
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