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【読書記録・日記】めんどくさがり屋、羽を休める。
こんにちは。長尾早苗です。
休養中は自宅にいることが多いので、自宅でできる執筆活動をしています。そんな今週のふりかえり。
*今週の読書
橘しのぶ『水栽培の猫』思潮社
どうしてだろう。この詩集の中の語り手はすべて小学校高学年から中学生にかけての少女のように思える。 無垢な視点で見つめた先には、説明のできない、説明のいらない世界が広がっている。 純粋さと、その向こう側にある景色。
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恩田陸『大きな引き出し』小六キッズ文庫
小学生の頃から本をよく読んだ。受験勉強の合間に3年間かけて300冊の本を読んだのだけど、他の人よりよく眠る子どもだった。 そんな自分を常野の人々に重ね、自分にも引き出しが多くあって、自分の中に記憶が残ると思うと救われた気持ちになる。
この『常野物語』には、常野と呼ばれる不思議な能力を持った人々が同じ村に住んでいる設定です。「大きな引き出し」には他の人の記憶や記録をすべて頭の中に入れられる一族が出てきます。
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西尾勝彦『なんだか眠いのです』七月堂
無為で無欲な、穏やかな日々。 無為で無欲であるから、鹿のようにおだやか。やすらいでいる。きっとそれはあきらめではなく、古来からの考え方で未来的な考え方なのかもしれない。 これからもにんまり、のほほんと暮らしていこうと思えた作品集。
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藍銅ツバメ『鯉姫婚姻譚』新潮社
ひとの性(さが)とは一体なんであるのか。何かを愛したいと思う気持ちはどこから生まれてくるのか。
種族を超えても愛し続けるさだめ、ひとの業。夫婦のきずなとはなんであるのか。
最後まで鯉姫であるおたつがかわいくてわがままでとてもよかったです。
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おーなり由子『天使のみつけかた』新潮文庫
表紙の汚れが目立つほど読み込んだ本。
小さなころから、天使のようなものが自分の近くにいると疑わなかった。ゆるくおとなしい天使たちがそばにいる。だから、なにがあっても大丈夫。
そのことを確かめるためにずっと、読んでいる。
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*めんどくさがり屋、羽休めをする。
集中力は半端ない。
朝起きるのが四時ちょっと前です。夜は八時に寝てしまう。
半年に一回は文芸創作ほしのたねという同人誌に寄稿するために発表予定の小説を書いています。
前作の短編小説『ささやかな永遠』では、浮気をしてしまった女性がただただひたすら考える小説だったのですが、今回は「何も起こらない」……。
何も起こらない小説が小説と呼べるかどうかとても疑問に思えたのですが、過去にいろいろあった登場人物たちを登場させています。
場所がなくなったとしても記憶と人は残るということを前提として考えると、彼ら彼女たちの記憶の方がだいじなように思えました。
「何も起こらない」小説を書いているせいか、わたしの毎日にも何も起こらない。
恋愛・結婚・老いによる別れ・病気・入院といろいろあって、もう何も起こらなくてもいいくらいいろいろな体験をしてきました。それは諦めではなく、充足だとわたしは思っています。
妊娠・出産もしていない。でも、今それがただちに必要なものであるとは思えないし、もっとゆっくり考えて行けばいいのだと思う。
すべてのことがすべて選択したからといって、いい方向に向かうとはとても思えないのです。だから、今は「何も起こらない」。
*ならならのひととならならな毎日
奈良という地名の場所に住んで五年が経ちました。
関東の奈良です。でも、関西の奈良のようにみんなおとなしくて優しい人々。
わたしは奈良のひとをならならのひとと呼んでいます。
ならならのひとは少し変わっているけれど、ならならの人々同士で充足しているコミュニティができている。
言ってしまえば、とてもシンプルな暮らし。
モノを持つことを豊かさと捉えず、単純なわかりやすい考え方。
寝て起きて食べて飲んで眠る。ただそれだけ。
どうして奈良や関西にゆかりがあったり奈良や関西に住んでいる作家の本ばかりが好きなのか、モノを持つことを豊かさと捉えないのか、自分で問い返してみて思いました。
わたしも、ならならのひとで、ならならとした毎日を送っているんだ。
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地域の書店さんとならならの毎日は密接。
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*連詩Blue in Green
フェリス女学院時代の先生、石田瑞穂さんがプランナーを務めるポエイーシスサイト、crossing lines。
連詩にお誘いいただき、誠に僭越ですが発詩をつとめました。
ご一緒したのは、石田瑞穂さん・渡辺めぐみさん・二宮豊さん。
1巡目はこちらから!
*私家版詩集が各書店さんでお取り扱い開始
私家版詩集、ありがたいことに毎日のように注文が入っています。
このたび、機械書房さんでお取り扱い開始になりました。
数に限りがございます。すべてサイン本です。どうぞよろしくお願いいたします。
お店あけました。
— 機械書房/MACHINE BOOKS (@kishinami8) June 10, 2024
長尾早苗さんの新詩集『暦の中を吹く風と』入荷しました。
本日諸事情により、14時〜15時の間中抜けします。
12 時〜14時。15時〜19時の営業になります。
よろしくお願いいたします。 pic.twitter.com/TXEk4rjV8P
*近況のようなもの
あれどこやったっけ?
と書斎をうろつくのですが一向に出てこない探し物……
詩人の毎日はとても散文的です。散文的に生きられた時、初めて詩人は詩人になれるような気もしています。
よい詩を書く人ほど、日常が地味な人が多いと思う。
それで本人がよい詩を書けたらそれでいいのではないでしょうか。
今はSNSに書く必要のあるきらきらとした日常を追い求め続けてつかれてしまうことも多いと聞きます。
実際にわたしが三十代に入る前、とても苦しかった。
自分がとても若いとは言えない。でも、若いということは確か。
絵日記に書けないこと・ことばで成立しないものを魅せることが詩だと思います。
ちょっと老けてしまったのかもしれませんが、きっとよい詩をわたしはずっと書き続けていくのでしょう。
お風呂にはまりました。
ぬるめのお湯に長めに使ったり、入浴剤を試したり、中で動画を見たり、自分なりにエンジョイしています。
ラジオ体操のコミュニティのおばあちゃん・おじいちゃんの輪の中に入ることもできてうれしい。
どんな場所でもその人があるがままでいれば、きっと大丈夫な気がします。
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