見出し画像

寺地はるな『水を縫う』を読んで

普通っていったい何!?

と時々怒りたくなることって、ありませんか?

私は結構あって、「普通の人になりなさい」なんていうドラマのセリフを思い返したりするごとに、ちょっとだけ負の感情を抱いたりします。

この物語では、そんな「普通」の定義と「普通」ではない家族のあたたかな物語。

刺繡が大好きな男の子の清澄、可愛いものが苦手な姉の水青、愛情豊かな母親に憧れつつなれなかったさつ子、まっとうな父親として家族をひっぱっていけない全、「いいお嫁さん」の教育を受けた祖母の文枝。みんなが教育された「普通」の中でもがき、それからはみ出す自分たち家族を受け入れていく物語。

はみ出していてもいいし、自分は自分、とても大切で、かけがえのない存在です。

あたたかなことばを受け入れられない、窮地に立っている人もいるかもしれません。それでも、普通って何? という疑問はだれしも持って当然なように思えます。

自分で自分を、他の人と比較せずに受け入れていくこと。

大事なことで、それでいて難しいことでもあります。少しずつ、この物語の登場人物たちのように、「はみ出す自分」を受け入れてあげたいですね。

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,568件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?