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【詩人の読書記録日記】栞の代わりに 12月26日〜1月1日

はじめに

2021年もしめくくり、こんにちは。長尾早苗です。なんとなくずぼらな年末年始を迎えそうなので、しゃっきりsとしなおします。

12月26日
ご、ごろごろとしていました……それでも4時には起きてラジオ体操ののち川や峠に行ったり、昨日のことばを紡ぐなど。昨日はすごく刺激的だったなあ。夕方までウォーキングが終わるとぼうっとしてしまいました。新作一編。明日からはまた少し違う趣味も!どきどき。

12月27日

家族に九ポ堂さんの「ガラスペンでなぞるツキアカリ商店街」を買ってもらっていたのでした!

九ポ堂さんのツキアカリ商店街!
クリスマスプレゼント、その3。
ガラスペンでなぞるとこんな感じ。
わたしのリアルの文字を知っている人はびっくりするんじゃないかな。昔から字が下手でした。


これは一番思い入れが深かった文字です。



よく眠れたので、朝から作業が捗りました。
書くということに対して、かなりアナログだと思っています。もちろんデジタルもiPhoneでメモ書きすることも便利ですが、良いところどりをしていこうと思いました。
字が前々から下手だったのですが、なぞり書きにはハマります。
何回も繰り返していたら、手が覚えてくれそう!
少しずつ進めていきます。

12月28日

なぞり書きをとことん楽しんでいました!そのうち写経とかしてしまうかも……昨日、あまりにもいまのわたしにど直球な映画を見てしまい、スカッとしたのと余韻が抜けず、詩作の時苦しんでいましたが、今まで集めてきたことばたちに助けられました。今日も図書館まで歩く作業と思考をまとめる作業。

渋谷のポエラジでお便りが読まれたので、
宮尾節子さんからカードが届きました!!

・リリーフランキー『ボロボロになった人へ』幻冬社

リリーフランキーさんの励まし方って不思議です。すごくぼろぼろになるのを励ますのに、ものすごく際どいというか、絶望の果てにある人々を描く。そしてその人たちの絶望の中ででの希望を描く。ストレートにダイレクトにがんばれー!というわたしと違う書き方だなと思います。ある種の諦観もあると思いますし、ある種の達観もあると思います。この人たちがみんな幸せにいつか本当の意味でなってほしい。幸せは絶望のからを破り出したところにあるんだよ。

・群ようこ『しない。』集英社

これは再読になるかな?心を軽くしたいと思ったらまず群さんの最近のエッセイを読みます。なんていうんだろ。わたし自身が悩んでいること、苦しんでいること、そういったものを全て許してくれていることのありがたさ。そして、わたしたちのような若手の世代を見ている目がとても冷徹に捉えてくれているところも好きです。ある種の突き放した優しさというか。めんどくさいことはしなくていいわよーという当たり前のようで当たり前にできないことを言ってもらっているように感じました。

・堀江敏幸『その姿の消し方』新潮社

20世紀初頭を生きる異国の詩人と現代に生きる語り手。その二人をなぜかリアルタイムでつなぐものは十行の詩が書かれた手紙でした。堀江敏幸さんの手紙でのコミュニケーションの描き方、とても好きなんです。以前この媒体で紹介した小川洋子さんとの共著でもその手紙文調や語り口の静けさ、静謐さは紹介してきましたが、これはすごいなぁと思いました。年代を超えて伝えられていくもの。そういったものを思います。

・銀色夏生『黄昏国』河出書房新社

銀色夏生さんは好きすぎて語るのが難しいんですが、詩はその一編が詩だとみんな思っているのかもしれないけれど、実は一行一行が、うーん、詩だと思わせる力量が実は必要だったりします。それを銀色夏生さんは全てにおいてこなしていて、書体やインクの色の違いなどにおいて、詩というもの、わたしたちの心にダイレクトに問いかけてくるように思いました。ある種、詩人の中には恋愛というジャンルを詩にすることを嫌う傾向があるのですが、それでも言葉が結晶化されている銀色夏生さんの恋愛の詩は好きです。

12月29日

丘の上から。雲がかかってる!
森へ。静かな朝の時間。

今日はいらなくなった書類を整理。そして見たもの、感じたことを言語化して書いていきました。ロディアのノートを使い切り、書類の中にあったリフィルを発見!書類整理が大変だったのでとても嬉しい。寒すぎて体調を崩し気味でしたが、ヒートテックで乗り越えます……。今日はちょっと後味が悪いものを書いたので、明日は希望を描きたい。

・楊逸『金魚生活』文藝春秋

芥川賞作家の楊逸さん、中国と日本の関係を描いた作品が印象的です。今回は中国の文化と日本語、日本語話者に対する中国からの目をきちんと一人の金魚を育てる仕事をしている女性の目から描いていてよかったです。日本に娘が住んでいるという設定ですが、みんな中国のことを何も知らない。なんだか、読んでいて恥ずかしくなりました。わたしは、中国のことを何も知らない。もしかしたら日本語をしゃべっているのに日本のことも知らないかもしれない。その上で、やっぱり勉強をしたり、違う文化にたくさん触れて、違う視点をたくさん手に入れて、表現していきたいと思いました。

・ミハイル・シーシキン 奈倉有里訳『手紙』

すごい小説を読んでしまいました……。恋人同士の往復書簡だけで綴られていく物語なのですが、男性は時代を遡ってロシアから中国の戦地に赴き、恋人の女性の方は現代のロシアを生きている。そういった時間の隔たりの中で、普通に彼女たちは手紙をやりとりしているのです。また、面白いのは男性が戦死したのちも、手紙は続いているということ。死してなお伝えたかったこと、愛しているということ、それが異空間を離れた上で手紙として届きます。これも、女性の空想癖のなせる技なのかもしれませんが、ここまでくると圧巻です。難解なのだけどストーリーラインは読みやすく、そして不思議な物語でした。

・もりき萌『M子』短歌研究社

人が病にかかるということ。もりきさんは乳がんやその他の病気から入院中にこの歌集を編んでいました。この本が出る時にはわたしはこの世にいないかもしれない。その後書きがとても印象深くて……死の淵に立たされているということ。誰にも悪者にすることができないという病気であるということ、いずれ死んでしまうという理不尽。それでも遺したいことがあるから、ひとはうたをうたいつづけるのだと思います。わたしも詩を書き出したのは手術後の病棟からだったので、ほんのり涙して読んでしまいました。

12月30日

30日チャレンジと称して、日々ノートに制作メモと詩日記のような1日一編チャレンジが終わりました!!使ったノートは制作用3冊、詩作用1冊。これからはリフィルに制作メモを書いていきます。ちょうどいいバインダーも買っていました。
日々の日記は万年筆、所感や日々の雑記はフリクション、詩や詩のことばはガラスペンで書いていきます。

12月はじめあたりからお世話になったノートたち。
これからはリフィルに書いていきます。

家族からのプレゼントのおかげで、字が前より読みやすくなっているのを実感!どんどん書くことの楽しみを覚えていっています。楽しい!!

・エリエット・アベカシス 齋藤可津子訳『30年目の待ち合わせ』早川書房

20歳のパリのカップル、男性の方は愛とは何かを模索し続け、2人が再開するのは10年後、2人とも家庭を築いてからでした。愛なしでは人は生きられるのか。妻を愛すること、夫を愛すること、それでも恋に落ちてしまうこと。わたし自身はとてもいい恋愛を夫にさせてもらったし、今までの恋人との苦い経験もあったので、愛することの本質を教えてもらったのは家族である夫じゃないかなと未だに思っています。だから、本当に一生離れないと誓った相手を本当の意味で愛するって、その人に全てを毎日毎秒受け渡すつもりで愛することなのかなあと日々感じていました。

・マーガレット・ドラブル 武藤浩史訳『昏い水』新潮社

悩みはたくさんあるけれど、元気いっぱいのおばあちゃんの女性。彼女は福祉関係の仕事でてんやわんや、車を飛ばして走り続けます。次々とおとずれる友人の訃報、そして介護、自分の老いというものに目を背けられなくなっていきます。そして何より問題だったのが、息子との信頼関係。それってみんな、お母さんだと思うところはあると思います。そんな彼女が、ゲイの恋人たちの家に通うようになって……。いいなあこんなおばあちゃんになりたいなあと思う理想像の一方で、彼女は悩みを多く抱えて、それでも仕事に奔走し続けていきます。うん、わたしもがんばろう。

・トンミ・キンヌネン 古市真由美訳『四人の交差点』新潮社

今年最後の読書は、いつか行ってみたい国、フィンランドの物語にしました。
雪国の中で祖母、母、娘、父が作る一軒家。それは、3代にわたって紡がれてきた人生という名の歴史そのものでもありました。この家には誰もが幸せそうに見えるけれど、戦争の過去や未だに消えない思い出をみんなが秘密として持っています。そんな中で、互いに分かり合えないことを承知の上で家族という営みを毎日繰り返していく。
素敵な小説でした。本当に、この流行病が落ち着いたら行ってみたい国ナンバーワンなのです。


12月31日

大晦日になりましたね……いろいろもろもろありましたが、結局書いていました。書くことが本当に楽しくてたのしくて仕方なくて……。新作五編。
来月には七月堂さんのWeb Shopも再開します!!
ぜひ、みなさんのお好きな詩集を手に取ってみてくださいね。
それでは、よいお年を~♪

1月1日

新年おめでとうございます。
今年は初日の出を隣町との境界に家族と見にいき、それから神社巡りを徒歩でして帰ってきて、お互い仕事をしていました。
いつもよりは少しゆっくりできたかな笑
今年こそは字をきれいにしたいです、がんばります!
穏やかな心で、平和に平凡な一年をみなさんが心地よく暮らせますように。

日の出と鉄塔がいい感じ。
初日の出!
かきぞめ、笑

お知らせ

新年早々、読んでくださったみなさまありがとうございました。
実は、来週は移動図書館が公園に来ないことが発覚し……
この記録は読書記録日記なので、色々迷いましたが、来週はこの日記もお休みをいただきます。また再来週、お会いしましょう!長尾早苗でした!

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