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私が『またね』を絶対使うと決めている瞬間

特別な先輩と1日デートしてきた。
「好きな」先輩も「憧れの」先輩もしっくりこなかったので、彼のことは「特別な」先輩と記すことにした。

本当に楽しかった。
最高の一日だった。
私は最後の一日にするつもりだった。

曲がりなりにも片想い歴、約9年目。
合間合間に別の人を好きになって、そのたびに先輩は「憧れ」だと言い聞かせてきた。
彼女のいる先輩にアプローチできるほど自分に勇気はないと思ってた。

だけど、それは間違いで。
”彼女がいるから”ではなくて、”今の居心地の良い関係を壊してまで”が正しい。

出会って9年、LINEもたくさんした。ご飯にも行った。飲みにも行った。ドライブもした。そして今日、1日デートした。
少し期待したのに。可愛い後輩ではなく、少しでも眼中にあるかもしれないと淡い期待を抱いていた。

そんな期待もたった二言であり得ないものに変わった。

『中学からの仲でそういう関係になれる自信はないなー』
『そこそこ仲のいい後輩の子に好意を抱かれて、好きっていう気持ちがあるがために仲のいい友達ですら居られなくなるのは悲しかった』

そうなの。私はどっちもドンピシャに当てはまる。
この言葉を聞いた後に告白をできる度胸なんてなかった。

私の信念としては人との関係は友達だろうが、恋人だろうがいつかは終わるんだから、友達のままいずれ誰かに取られてしまうよりは、当たって砕けてしまったほうがまだ立ち直りようがある。
だからこれまでも好きになったらちゃんとアプローチしてきた。

彼には、彼にだけはこの信念を通せなかった。
それくらい特別なんだ。関係が壊れてしまうのが心から怖いんだ。

さらに追い打ちのように、先輩は
「俺は男女の友情はありと思うんだよ」
と言った。

あ、私は男女の友情が成立させられているんだと思った。

ありがたいことに彼とは物理的な距離がとても遠い。
きっと今日を最後に数か月は会う機会が存在しない。

私は彼を『特別』だと思ったまま会い続けられない。
きっといつか想いを伝えてしまいたくなる。

きっとそれは本当の本当に最後になる。
だから、私はもう会わないと決めた相手に送る言葉を最後に伝えた。

『またね』

ちなみに次に会う人にも使わなくもない。
ただその場合は「じゃあね」も「バイバイ」もある。

もう会わないと一方的に、相手にも告げずに誓っているときは
『またね』
を必ず使う。

理由は簡単。相手は「次があるんだ」と少しは期待してくれるかもしれないから。
性格は悪いが、少しでも相手に忘れられたくないから。
そううまくはいかないのだけれど、少しでも仕返しになればの気持ちを込めて、私は好きだったよの気持ちも込めて、
『またね』
と告げてしまった。

あー、特別だったな。

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