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極東から極西に行くことにした14:カミーノ準備編・旅行保険加入。タイムスケジュールを詰める


前回の粗筋
洗濯やお風呂について考えてみた。



・退職と保険

 
 8月末をもって、退職。
 挨拶したかった人達大体に会えたと思う。きっと1週間もすれば、……いや、きっともっと短い日数で……私がいない事は患者さんにもスタッフにも当たり前になって、職場は普通に回っていくのだろう。忙しい現場なんてそんなもんだし、それでいいのだ。
 制服や保険証などをすっかり返却すると、晴れてただの無職の人になった。免許があっても、使う場所に居なければその職業名では呼ばれない。専門職ってきっとそう言うものなんだろうなあ。や、専門職じゃなくてもそうか。
 働く場所にいなければただの無職の人(戒め。大事なことなので2回言う)。
 また免許を使えるようになれるのかは、巡礼後の自分の頑張り次第。


 制服を返したついでに、少し車を走らせ、航空券を取ったHISのカウンターに寄ることにした。メールアドレスの不備が原因で情報が届かなかったのだ。そのトラブルの解消と、いい加減海外保険に入る為に、うだる暑さの中のんびりドライブする。
 メールについては、アドレスを紙に書いてカウンターのお姉さんに渡したのがいけなかったのだろう。私の書くnとhは似ているのだ。

 ピアソラの「ブエノスアイレスの四季」を聴きながらよく知った道を走る。ピアソラはアルゼンチンタンゴの作曲家。チェロ奏者のヨーヨー・マや葉加瀬太郎の「リベルタンゴ」なんかが有名だしカッコいい。私は「ブエノスアイレスの冬」の、パッヘルベルのカノンに似たフレーズのところが好きで、何回か繰り返し聴く癖がある。この時も四季を通して聴いた後、また冬に戻り(ピアソラが演奏した順が、冬夏秋春だったそう)繰り返し聴いていた。
 そんなこんなで、何回目かの冬で街のモールに着いた。HISのカウンターが混んでいたらアポだけ取って、同じ施設内の本屋に行くつもりでいた。

 少し待ったけれど、割合すぐにカウンターへ(できれば予約が望ましいので、私みたいに思いつきで突撃する前に、皆さんは電話して下さいね)。
 今、保険はネットから申し込むそうで、QRコードの読み取りから支払いまで、丁寧に案内してもらえた。よく見比べて、長期旅行の保険に約3万ちょいで入っておいた。治療は無制限。万が一死亡した際のお金もそこそこおりる。安くはないけれど、安心は欲しいし周囲に迷惑をかけないためにも必須だろう。

保険のプラン表


 例えば車やらチャリンコやら馬やら牛やらに轢かれたり、犬に噛まれたり、強盗にあったりした時に無制限でないと色々怖い。絶対に轢かれない噛まれない刺されないと言う保証は無い。うっかりは、あり得るのだ。

「2名様で渡航ですね。お連れ様はどうしますか?」
「あ、メール、Sさんにも送って頂けますか?」
「了解しました」

 Sさんにも保険のアドレスを送ってもらっておいた。もう保険に入っていたらそれはそれで良し。
 カウンターの男性に、怪しいメールでない事を一報入れておいて下さいと言われ、早速SさんにLINEしておいた。


こんな感じでHISの保険をLINE登録すると、何かあった時にすぐに相談できるらしい。心強い。


 にしても、端末一つで色々手続きが済んでしまうのはとても便利。今回の保険もそうだし、外貨取引も一回口座に預けてしまえば、スマホをタップするだけで完了する。逆に言えばスマホを無くしたら完全に詰みなので、恐ろしくもある。

 再び「ブエノスアイレスの冬」を聴きながら帰路につく。

 保険加入ミッション完了。
 後は、週明けを待って国保やら何やらの手続きに行けば、より心残りなく安心して渡航できる。



・SJPPまでのタイムスケジュールを作成する


 夕飯を作った後、タイムスケジュールを作ることにした。
 つい先日SJPPの宿を予約して、スタート地点までの諸々の時間がやっと出揃った。時間の厳しそうなところは詳しく調べて臨む。


この通りに行く気がしないので、目安。


 メインは勿論スペインだけれど、折角パリを経由するので、Sさんが観てみたいと言っていたサントシャペルに行く予定。マリー・アントワネットが処刑までの日を過ごしたコンシェルジュリーもついでに見学する。モンパルナス→シテ島→モンパルナスの往復を余裕を持って行わなければならない。
 時間を無駄にしないため、Tiqetsというアプリで事前に両方の施設の予約を取っておいた。


こちらで取れる。当日券もあるそうだけれど、サントシャペルは時間指定のチケットを取った方がスムーズに入れそう。
コンシェルジュリーはガイド端末付きらしい。
こんな感じで取ったチケットがアプリに保存される。


 次に余裕が無さそうなのは、SJPPで荷物を送る時。以前調べた時はexpress bourricotは午後からだった気がしたのだが、念の為公式HPを見てみることにした。


英語版を選んで読んでみる。
bourricot(ブリコ)はフランス語でロバのこと。


隠れてしまっているが、3月14から10月21日まで毎日営業。
午前7:00から9:00
午後4:00から8:00ただし日曜は7:00まで
スーツケース20kgまで70€でサンティアゴ・デ・コンポステーラまで運んでくれる。
ホテルに保管され、そこに泊まるなら宿泊費は15%オフらしい。


  場所は巡礼事務所のそば。
 時間も夜も朝もある為、荷物を預けるのは14日でも15日でも良さそうだ。良かった〜!

 決まっていないのはフランスの朝ごはんとお昼。そしてSJPPでの夕ご飯と朝ごはん。
 つまりご飯のみなのだけれど、ここら辺はSさんの方がセンスが良さそうなので検索を頼んでもらうことにする。


・退職して出来たささやかなこと

 
 夜勤の後や、日勤が続いて泥のように疲れた日なんかは、横になっていると脈がおかしくなったり眩暈が止まらなくなったりする事が度々あった。
 両親共に心臓があまり良くない。何かあっても遺伝かな、と思うのだけれど、あまり気持ちの良いものではなかった。

 でも最近、有給を貰って体調が大分良くなった。眩暈は無いし、不整脈も出なくなった。ちゃんと食べて寝るのは、本当に大事なことなんだと実感した。


ライムシロップ。
材料:砂糖大さじ1.5杯 水大さじ5杯 ライム(レモンでも)半分の搾り汁。
水と砂糖を合わせ、砂糖が溶けるまで火にかけて、ライムを入れたら火を落とす。粗熱を取って冷蔵庫で冷やして完成。


牛乳かん。
材料:牛乳350mlと粉ゼラチン5g 砂糖35g
牛乳と砂糖を火にかけ、大体50から80℃(雑)でゼラチンを振り入れる。溶けたら粗熱を取って冷やして、ライムシロップとお好みでみかん乗せて完成。


 退職した結果時間ができて、今日は夕飯+簡単なデザートを作ることができた。
 上の牛乳カンは、柔らかめのレシピで好きなのだけれど最近全然作っていなかった。因みに杏仁霜が手に入るなら、もう一工夫すると美味しい杏仁豆腐にする事ができる。

 多分、デザートを作る余裕なんて長く続くものではないのだと思う。でも仕事を辞めた直後くらいは、こんなささやかな幸せを楽しんでも良いのではないだろうか。
 
 ミカンを食みながらそんなことを考えた、退職日当日の夜だった。



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