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アドリアン・ヴィラール・ロハス

アドリアン・ヴィラール・ロハス

本作品は、フランスのフォンダシオン・ルイ・ヴィトンのコミッション作品である。

一度しか行っていないが、フランク・ゲーリー設計のガラスの船のような外観と、見応えのある現代アートのコレクションが大変面白い美術館であった。パリ市内から少し離れているが、現代アートのファンであれば、ぜひ訪れてほしい美術館である。

今回の作品は、そんな美術館のテラスのような場所にある巨大な作品だ。

Where the

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ニコラ・ド・ランジリエール / 手からあふれる個性

ニコラ・ド・ランジリエール / 手からあふれる個性

久しぶりに作品の紹介をしたいと思う。

比較的、近現代の作品ばかりを紹介してきたが、今回はロココ絵画からである。

Study for hands (1715)

タイトルのStudy forは、美術作品では「習作」つまりは練習のために作られた作品である。なので、この作品は「手を練習ふるために作った作品」ということである。

赤い花を取り囲むように老若男女の手が立体的に描かれ、習作といえどらかなり

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Chim↑Pom / 都会のネズミと渋谷

Chim↑Pom / 都会のネズミと渋谷

私は動物が好きだ。大人になってからも一人で動物園に行くし、ふれあいコーナーで子どもに混じってヤギを撫でたりしている。

剥製をみると、最初に可愛いと思ってしまう。でも、それは死んだ動物の死骸でできていて、それにも関わらず、まるで生きているかのようなポーズをとらされている、というとかなりグロテスクである。

今回、紹介する作品は、Chim↑Pomのスーパーラット。Chim↑Pomの展覧会には色んなパ

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大岩オスカール

大岩オスカール

今回も過去に鑑賞した作品の紹介だ。

2年前に金沢21世紀美術館に行った際に開催していた、大岩オスカールの個展からである。

ブラジル出身の大岩は、美大ではなく建築学科を卒業している。どこか構築的に感じる構図は、その影響があるのかもしれない。

個展のタイトルは「光を目指す旅」。大岩は、サンパウロから、東京、ニューヨークと拠点をうつし、旅人生を歩んでいる。

「電波に包まれるニューヨークで生活して

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現代アートの現状

現代アートの現状

小崎哲哉氏の「現代アートを殺さないために」を拝読した。炎上していた、あいちトリエンナーレの「表現の不自由展」を始め、近年の現代アートと、その問題に関して取り上げた本で、一介のアートラバーとしては、現状を知るうえでなかなか読み応えがあった。

できる限り本の内容を記したくはないので、詳細は省くが、私としてはアート側とアートが分からないという人たちと、もう少し緩やかな対話をしていく必要があるのでは、と

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ジョゼッペ・ペノーネ / 穏やかな死の香り

ジョゼッペ・ペノーネ / 穏やかな死の香り

今回も過去に鑑賞した作品に関して、私なりのまとめだ。

こちらも、数年前にパリのポンピドゥーセンターで鑑賞したインスタレーションだ。

Respirare l'ombra, 1999〜2000

遠目から見たとき、石あるいは石に見える素材で壁が覆われ、同系色のサンダルが壁に取り付けられているように見えた。だが、近づくと石のように見えたものは網でつくられた枠の中に、月桂樹の葉がぎっちり詰まっているも

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ヴィクトル・ブローネル / 悪夢を感じるシュルレアリズム

ヴィクトル・ブローネル / 悪夢を感じるシュルレアリズム

noteを始めた理由の一つに、iCloudの整理のために、美術館や博物館でメモとして撮影した作品や解説・後日調べたことをまとめよう、と思ったことも一つのきっかけだ。

というわけで、初めはヴィクトル・ブローネルだ。数年前にパリのポンピドゥーセンターで鑑賞した。

Endotête (1951)

ブローネルの作品が展示してある部屋に入って、まず感じたのは、なんとも言えないグロテスク感だ。

目に飛

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