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青春のお守り

14歳で出会ったザ・ブルーハーツはもはや血肉です。
その後の人生を決定づける出会いでした。
ヒロトくんが14歳でマンフレッドマンに出会ったように。

高校1年生。
初めての体育祭は縦割り応援団がありました。
そこで仲良くなったのが3年生のA先輩。
メガネをかけていて、真面目で、可愛らしくて。
好きでした。

文化祭が終わって、その打ち上げ。
応援団みんなでカラオケに行きました。
そこで初めて、人前で歌を歌った気がします。
選んだのはザ・ブルーハーツ。

A先輩とはそのあとも(当時は携帯なんてなかったので!)
家の電話で連絡を取り合っていました。あぁ。
受験生の先輩と会うことはなかなか叶わずにいたのですが、ある時、「合格祈願にいこう」となりました。

二人で、電車に乗って、神社へ。
お参りを終えたあと、
「あ、忘れ物したかも。ちょっと見てくる」
なんて嘘をついて、お守りを買いに戻ったピュアな私。

帰りに池袋で明石焼きを食べ、ちょっと時間があるからとカラオケへ。
受験の息抜きで歌うA先輩の緩やかな表情の可愛らしいこと!
いよいよ終盤、もうすぐ解散だねというタイミングで私の番。
入れた曲は

ザ・ブルーハーツ「キスしてほしい」

きゃー!
ピュアです。私、100%ピュアです。
もちろんキスなんてしませんでしたが、その時間、空間の完璧さたるや。
帰り際に件のお守りも渡して、余韻の中、歩いて帰る。
その景色の明るかったこと!

さて、A先輩との顛末。
その後、A先輩の友だちE先輩から家に電話が入りました。

「ねぇ、5000円もするピアスあげたって本当?」
「それって、本気ってやつだよ?君にそのつもりあるの?」

なんて2つ上の先輩から言われてモゴモゴする私。
しかも、なんせ、家の電話ですから。
横で母親が聞いているわけです。絶対、聞いているわけです。
いろいろと恥ずかしくなって

「知らないよ!」

なんて言ってしまったもので、いや、そのせいではないのかもしれないけれど、先輩は受験休みに入って学校に来なくなってしまって、会えなくなりました。
あの完璧な景色だけを残して、すっかり遠く去っていきました。
何年か後に、一度だけ年賀状をやりとりしたA先輩は結婚されていました。
今は、何をしているのかな。また会いたいなぁ。

と、思い出したのはテレビで「鬼レンチャン」を見たからです。
カラオケに行きたくなりますね!

時間が本当に もう本当に
止まればいいのにな
二人だけで 青空のベンチで
最高潮のときに

と、ヒロトくんはその10年後に歌います。
ザ・ハイロウズ「青春」です。痺れます。

音瑚ひらり


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