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【漫画家志望物語2】タイムリミットは2年

2020年4月、漫画家志望になった私は、親を説得することに成功したものの2つの条件が課されていた。
・大学をしっかり卒業すること。
・大学を卒業したら実家に帰ってきても良い。ただし卒業後の1年間のみ。
そう。実質2年間の漫画家志望である。
しかしこの時の私はもう何でもよかった。教育学部という流れるプールに浸かっていた私は、周りに流されるままに教員になると思っていたからだ。そんな私に、2年間の活動を公式(親)から許可が下りるなんて!
2年あれば何か起こせる。本気でそう信じていた私は、舞い上がっていたのだ。

さて、そんな私も結局何をしていいかわからないまま、描きたい絵を描いていた。結局持ち込むはずだった「わたしとナカムラ」は、ゲッサン(月刊少年サンデー)の新人賞に送ったが、6月に落選という結果と共に返却される。
しかしこのころ、何もしていないわけではなかった。大学の新学期開始は1か月ほど遅れ、4月いっぱいは巣ごもり生活。そんな中友人と通話をしていたところ、友人が大学の授業で書いた小説を漫画にしよう!という企画があがったのだ。つまりは自主的なコミカライズである。タイトルは「少年と鳥と夢」である。
少年と鳥と夢(武田かい) | インディーズ|LINE マンガ インディーズ
(↑作品のリンクです。)
出来上がった漫画は15Pほどの短編で、出来上がった漫画は武田かいのtwitterアカウントから投稿した。武田かいのアカウントは元々漫研メンバー時代に作ったものだったが、実際にちゃんと動かし始めたのは、ちょうどこのころである。


少年と鳥と夢

この作品で初めていいねやフォローをいただき、漫画の活動の喜びをとても感じたのを覚えている。

この作品を制作した後、LINEマンガインディーズという、誰でも投稿でき人気が出ればプロとして連載も出来る、という投稿サイトに活動をシフトする。このころの私は「2年間」という時間制約の中で、すぐにでも金を稼げるようにしなければいけないという焦りがあった。私は連載の構想をすぐに始め、原稿作業も始めていた。しかしなかなか仕上がらなかった。一人で漫画を描いている私には、何が面白いのか、どうすれば連載できるのか、何もかもがわからなかった。だから今描いている原稿も、わからなくなっていたのだ。

そうこうしているうちに、とてつもなく大きな転機が訪れたのだった。

7月頃。
友人Aから「mocriやろうよ!」とお誘いをうける。mocriとは、作業通話アプリのことで、twitterなどにリンクを貼ることでまったく知らない人とも通話できるものだ。このころ大学の授業は完全にオンラインに切り替わっていたので、一人暮らしの私にはひじょうに有難いアプリだった。友人と駄弁るために落としたアプリだったが、友人が「せっかく絵描いてるんだし、twitterとかから絵描きの人と繋がったら?」と言ってくれた。このころの私は、SNSで人と知り合うことなど一切したことが無かったので、怖いなーと思いつつも興味はあった。何度か知らない人の通話に入ろうとして、断念をしていた中で、twitterの私のアカウントに、「ぜひmocriしませんか?」というリプライが飛んできたのだ。そのままそのルームに入ると、絵描きが4人ほどいた。その中に、Y氏がいたのだ。Y氏は商業連載の経験があり、企業案件やアシスタントの経験もある漫画家さんだった。

私は初めて、漫画家と出遭ったのだ。この出会いが大きく運命を変えることとなる。

Y氏と仲良くなり、私はmocriをよくやるようになった。
自分の知らない漫画の世界の話をたくさん聞くことができた。私にはY氏がキラキラして見えた。漫画家になりたい私の話を、Y氏は親身に聞いてくれた。そしてY氏は私に、編集者への持ち込みを強く勧めた。その際にY氏は、「DM持ち込み」というものを教えてくれたのだ。
コロナ禍で出版社に直接持ち込むのが難しくなっていたが、twitterのDMから持ち込みを受け付けている編集さんがいたのだ。Y氏は私が志していた少年漫画編集の方のリンクをわざわざ送ってくれて、他にもおすすめの投稿先などを教えてくれた。

この時私はうんざりしていたのだ。いつまでたっても一人で漫画を描いている自分に。プロになるためには、ちゃんと人からアドバイスをもらわなくてはいけない。漫画をもっと上手く描けるようになりたい。

そう強く思っていた私は次の日、Y氏から送っていただいた編集さんのDMに、持ち込みをした。


※次回、持ち込み回となり、有料記事にする予定です。
有料記事の後にはかならず全体公開の記事を入れるようにして、有料記事を読まなくても流れを追えるようにします。

有料記事では、持ち込みの内容や実際に描いた漫画など、少し踏み込んだ内容にします。

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