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高知の八彩帖(ヤイロチョウ)17・「バブル」

 かつてとある会社のサイトに連載していたショートエッセイです。高知のあれこれを書いています。

 今回のテーマは「バブル」。私は氷河期世代なので、バブルの恩恵には預かりませんでした。それでも日本の景気が良かったのは、なんとな〜く覚えています。そんな思い出話を書いてみました。

 昭和後期から平成初期にかけて、日本はバブル景気に沸いていた。嘘かまことか、一万円札をヒラヒラさせてタクシーを捕まえたとか、「ザギン」で「デルモ」と「シースー」三昧だったとか。私ゃコドモだったから、せいぜいジュリアナのお立ち台ごっこをしてたくらいだ(アホな小学生)。

 東京ではバブルフィーバーだったかもしれないが、高知にはついぞバブルの波は訪れなかったと親から聞いた。何でも数年遅れるどころか、流行が素通りするのが高知の悲しいところである。

 ところで。私の叔父は、追手筋にある某Sビルでバーを経営している。高知では知る人ぞ知る老舗のバーらしい。大物アーティストの誰それが来たとか、テレビで見る有名人がひいきにしているとか、小耳に挟んだことがある。

 それとバブルと何の関係があるかというと。昔はよく酔っ払いが小銭を落としていた。しかも500円玉を!もれなく私たち姉弟のお小遣いになったのは、時効時効♪

 しかし。やがてその500円が100円や10円になり、ついにはビタ一文落ちなくなってしまった。そういや前は道端にもよく小銭が落ちていたが、今はさっぱり見かけませんね。嗚呼、こんな所で感じる不景気よ。

 今、山道を走っていると、バブルの遺構らしき箱モノ跡に出くわすことがある。「国民休暇県高知」なんて書かれた古〜い看板を見ると、なんとも言えない気持ちになる。そういや1億円かけて金のカツオを作った自治体もあったっけ。つくづく思う。お金は人心を惑わせると。

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