水銀の海に浸る
・微かに鼻腔をくすぐる花の芳香は、私自らをそこに突き落とすのには十分すぎる要因であった
・秋風に安堵を覚えるのは、君が突き刺す殺意から逃げる術を見つけられなかったから
・死者の匂いを色濃く残すこの街には、葬列のように佇みながら何かを見つめる数多の眼だけがそこにあった
・薄くて柔らかな膜の中から核を見つけた その感触が忘れられなくて、今日もまたそれを殺そうと試みる 試みる、だけ
・僕の神様はカラオケボックスの中にいた 今はもういない神様 救いの言葉は吸い込まれて、誰にも届かない
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