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試練は時として訪れる…

久し振りに記事を書いてみます。

今回は久し振りに福祉ネタです。

今福祉の現場で起きていることで、感動的な場面に遭遇、ほろっとくる一言や、入居者などを介護することで感謝され仕事をやっていて良かったなーと、モチベアップ的なことを記事にすると
”福祉の世界は大変そうだけど、そんなこともあるのねー”と思っていただけるのかと思います。

今回はそんなほっこりする内容ではないです。

はじめにお断りしますが、この記事を通して福祉業界について
”やっぱり厳しい世界だ!”とか
”こんな世界で絶対働きたくない”と思うかもしれないので、
気分を悪くされるかもしれない。ダークネスな現場のリアルレポとして書きます。なので、興味ある方だけお読み下さい
なお、登場人物等について、事実に基づきますが話としてはフィクションです。

なんなんだー!?

この話は老健の一般棟にての話。

対象者をAとします。

Aはフェイスシートより、年齢は60歳かつて工事現場で作業中に転落し首から下が動かない状態。
老健に来たのは、手術後急性期の病院から慢性期の病床に転院して、また若いことも有って療養病床より退院勧告を受ける。
年齢から介護保険申請を受けて要介護5の決定。

療養生活よりは施設生活が相当として特養申請をする。その間の受け入れ先として、私の勤める老健に入所してきた。

はじめは感じのいい人。下半身が麻痺していると言え記憶力や認知力などに問題は無く、会話は成立し愛想よくスタッフや他の入所者と気さくに話す。
しかし、これは表の顔でした。

入所してから約半月後、突如豹変する…

きっかけは他愛ない会話だったか、介助中に本人が気に入らない何かをしたかは定かではないが、突如態度が一変する。

それは決まって他のスタッフがいない夜勤中。

いつも通り挨拶するが、その日はいつもの挨拶が返ってこない。
”あれ?”って思ったが、機嫌や体調が悪いか若しくは聞こえなかったか?
Aは定時になると体位交換(寝返りを行う)をする人。

このような方は全介助者(いわゆる寝たきり状態の方)に行う介助で、同時に排泄介助も行う。

夕食後、口腔ケアなどを済ましてTVを観て就寝時間まで過ごしている。
それがいつものAの夜間の様子。

ただ今日はいつもと違う…
A以外にも入所者はいるため、体交後は足早に次の方の元に行く。

体交は2時間ごとに行う。
時刻は就寝時間の21時になり、全館消灯になりAの部屋はTV以外の灯は消された。年齢からして21時に寝入る訳も無く、相部屋のためTVを消す旨を伝えるといきなり
「今見ているベー消すな!!」と乱暴な口調で言い返される。
びっくりしてAを見ると怒りの表情。
「もう消灯時間ですので消しますよ」とAに伝えるが怒鳴り
「消すなー!!」と一点張り。

幸い音はイヤホンより聞こえないため、何だか怒っているのでそのままにして退室する。


夜勤は職員2人で対応する。一般棟の入所者は50名。それを2分割し夜間対応する。先程のAの言動についてもう一人の夜勤者に報告すると
「そんなこと言うの初めてねー何かしたの?」
「いや消灯時間になったので、TVを消そうとしたら怒鳴れた」と伝える。

もう一人の夜勤者は些か信じがたいと言わんばかり返答。しかし、現状は認識しこの夜勤では、Aが寝るまでTVは付けておくことに。

この夜の夜勤後より、Aの態度が変わり出す。


エスカレートする中で

通常日勤帯では、さほど変化はないが他の職員がいない夜勤になると決まって、命令調な言動や高圧的な態度が目立ち、上司に相談するが
”なしのつぶて”
それだけではなく、私がAに対して不適切な対応しているのではと逆に言われる始末に…。

何が有ったのか?原因は皆目見当つかず、上司に相談しても取り合ってくれず、次第に夜勤が怖くなる。
他の同僚に相談しても、共感してくれる人は少なく、やはり私の対応が悪いのではと言われる始末。

こんな状態が1ヶ月2カ月過ぎる頃には、すっかりノイローゼ気味に。

”こんな職場辞めてやるー”と何度も思ったが、私も若かった。
Aのせいで仕事を辞めるなんて、まるで”尻尾を巻いて逃げ出す”ようで
悔しくて、かろうじて辞めることは思いとどまっていた。

しかし、体は正直でストレスから不眠 食欲不振 下痢 頭痛 吐き気
出勤前に苛まれる。
妻にこのAのことはいつも話しており、Aは他の職員にはこのような言動を出したことが無いため、私の話を信用してくれない。

妻の助言より
”Aの実際のやり取りなどの話を直接、上司などに聞かせたらどうか?”
当時の私は既にこのような助言すら考えることが出来ない位精神的にやられていた…

ある日、私は家電量販店に来ていた。そこでは迷わずボイスレコーダーを手に取り購入。

Aが入所して3カ月が経過していた。もはや限界だった。
Aの言動を他のスタッフに知らせる。
もはや、この一択のみにまで相当追い詰められていた。


それはあっけない幕引き

ある夜勤日、意を決してボイスレコーダーを持参を考える。それまで何度も録音のテストを行い、制服のズボンのポケットへどこに入れたら良く録音出来るか?など繰り返してはこの夜勤に臨む。

自宅を出掛け際妻より
「気を付けてね…」
と言葉が今でも脳裏に残っている。
思い詰めた表情から察しての言葉。

職場への足取りは重く、いろんなことが脳裏を過る。

”(盗聴)こんなことをしていいのか?”
”いやもう限界だー証拠を突き付けて、出るところに出てやる!!”

などと頭の中でぐるぐる巡る。

職場へ出勤すると
上司からAの特養入所が決まり、退所したことを告げられる。
丁度夜勤前は連休につき私が知らない間に決まったようで…

”へーっ!”
と思わず声がでた。

その瞬間全身の力が抜けた…

Aの居室はもぬけの殻。

あれだけ耐えて、相談しても助けは無く孤立無援、八方塞がりな状態。
いよいよ追い詰められ、盗聴の果ての抗議をするつもりが、Aが居なくなり
ゲームセット…



その後…

その後はまるで何事も無く時間は過ぎていく。

ただ、あの時感じたこの職場は私を守ってくれないのだという確信だけが残ることに。

このことは今問題視されている
”介護ハラスメント”
に繋がる。

介護者が虐待することとは反対の現象。


介護現場では、この介護ハラスメントは沢山あり、
介護者からの日常的なセクハラ
上司や同僚からのパワハラ
介護家族より受けるモラハラ
など多々あります。

今回のAが私に対する憎悪は如何にして起きたか、原因は分からずじまい。
私も経験が浅い時期であり、どのように対応したら良かったのか当時は考えられなかった。

いや違う!
考えていたが、周りが聞き入れない状況下だと適切な判断力が無くなる。
本当に辛い体験でした。

それから数ヶ月後、私は老健からデイサービスへ異動となり、その後の職場の環境が劇的に改善していく。まるでこの数ヶ月が嘘のように何もなかったように…

これは
”この業界で仕事する上での試練か!”
などと今でも時折思い出される記憶…

いずれにしても、そんな法人で働いて19年。
その当時の職員はほとんど居なくなり、今でもあのようなハラスメントが有るか無いかは分からない。
ただ、この業界はこのようなことも潜んでいる、ブラックな業界でも有ります。

だけど、何故辞めずに続けているか…?
と考えますね普通は。

確かに今でもトラウマになっていることは事実。
だけど、その後辞めずにいられたのは、その後出会う利用者達や職員が良かったからでした。

”場所や環境が変われば、状況は好転する可能性がある”


辞めずにいたのはただの偶然。
しかし、この偶然は私が福祉業界で働くために用意されていたものか!?
そんなこと考えても仕方ないけど、今はそんなことが有ったねーと
思い出すところまで昇華したようです。

今回のことは、ひょっとしたら様々な業種で起こっていることかもと思います。
ここで思うのは、私は何とか乗り切っただけで、あれが続いていたら
(Aとの対峙)きっと違う結末になっていたでしょう。

”ラッキーだけ”だったのかと思います…。



今回はこれまでの福祉記事とは違った福祉の現状を綴りました。


ひょっとして私以上に辛い対応で働いている方がいるかもしれません。
そんな時は、誰かに相談して助けてもらえればいいのですが、
孤立無援な時は、どうぞ自分を大切にしてください

これは声を大にして言います。

”悪いのは全部自分のせい”と考えないで下さい。
大切なのはあなたです。
究極職場はあなたを守ってくれません!!

これに対して異論ある方いらっしゃると思いますが、私はこの考えです。
悲しいけど、この一件以来周りに期待しなくなりました。
相手方に期待しても、裏切られますので期待はせずに、本当に信じられ相談できる家族、友達がいることを願います。

私には家族がいてこれで救われました。

改めて繰り返します

”今辛い状況下に置かれている方へ”

問題発生後、あれこれ試行錯誤して、自分でやれることが無くなり他者に相談しても解決せずに、いたずらに時間を費やし万策尽きたら、迷うことは無いです、そこから逃げましょう!!
敢えて戦う選択肢も有りますが…
自分の人生、残された時間などを考えて、無益なことに時間を費やすのは勿体ないです。

今回はここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございます

それでは次の記事で会いましょう。



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