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アキのエッセイNo.50ー引きこもりの家族に対する支援②クラフト療法をやって

こんにちは、アキです。

No.5の記事で、「引きこもる家族に対し出来ること」というタイトルで

引きこもりニートの兄への接し方や、必要な支援について書きましたが

今回は、その第2弾を書いていこうと思います。


1.クラフト療法を実施してみて感じた違和感

とある、引きこもりの方やその家族の支援機関を頼り

「クラフト療法」というものを実施することに決め

今日、その第3回目のセッションを行ったのですが


ちなみにクラフト療法というのは

もともとはアルコール依存症の方とその家族・知人を対象に扱ったアプローチなのですが

それを「引きこもりの方」のアプローチへと応用したものでして

当事者ではなく、主に「家族や知人」を対象に

「当事者の方への理解を深め、接し方を学ぶ」というアプローチ方法となっています。


今日で第3回を終えたのですが

正直な感想を申しまして

全然しっくりときません!


第2回あたりから

何だかよく分からない違和感を覚え始め

その理由が今日になって分かりました。


その違和感の正体を以下に挙げます。

①マニュアルをただ述べて押しつけている。

→兄の特性や症状、性格に合致したアプローチを提示していない

②課題やアプローチの目標(ゴール)が設定されていない。

→どのような状態を目標にしてやればいいか具体的なイメージがない


2.クラフト療法、やるの難しい!

今回のセッションは

「ポジティブなコミュニケーションの実際」というもので

当事者の適応行動(好ましい行動)を引き出すためのアプローチを実際にやってみようというものでしたが

このクラフト療法、やるの難しい!!


第2回のセッションで「食器洗い」を課題に設定しましたが

まず、当人の意欲と同意がないため

促してもダメ、部分的に手伝ってくれるようお願いしてもダメ

これはダメだ

物を取る、電気を消すなどの小さな行動であれば行います

食器洗いなど「一連の動作」だと

促してもやりません。拒否します。

出来ないわけではなく(現に、ほんのたまにですが食器洗いをします)

「やる意志がない」ため

やりたくなるようにアプローチをかけたいですが

なぜやらないか?というところに焦点を当てると

「面倒くさい」

「家族がどうせやってくれる」

という心情が読み取れますし

そして

ねこに対し「甘えれば全て許されるんだ」とかよく言っているところから

その潜在意識を読み取ると

つまり「甘えたい」という欲求があると見られます。

その家族への甘えはどうして生じるのか?

本人の意志の弱さ

と、断定づけたら終わりです。

それもあるのかもしれませんが

「お前等(猫)は俺が好きすぎて仕方ないんだ」

「俺がいなくて寂しくて探しに来たんだ」

など、猫に対する発言から

一番は「愛情への飢え」が見られ

その原因として「母親からの愛情不足」が

考えられます


3.母親からの愛情を充足させなければ役割行動はほぼ不可能

ですから

一番は「母親が面と向かって兄と話して

愛情の充足を図らなければならない」と思われます。

しかし

母はワーカーホリックで仕事と趣味に没頭する日々を送り

兄には「仕事してくれたら安心できる」としか言いません。

母は兄と向き合う気はさらさらないのです。

兄が愛情に飢えていることも分かっていません。

そのため

母親からの愛情の充足や承認欲求を満たさなければ

家事などの一連の作業への意欲を持たせるなど

ほぼ不可能に近いと私は考えています。


話はそれましたが

上記の理由から

食器洗いという課題は取りやめ

「家族と一緒に食事を取る」という

時折出来ているけれど完全には出来ていないことを課題に挙げ

頻度を増やす方向に切り替えました。


「家族と一緒に食事を取る」という課題は

「食事前にマッサージ(リハビリ練習の被検体)をやる」という強化子(強化子というのは、適応行動を促すための報酬となるもの)を行ない

それでも動かなければ

「雑談」により気持を和ませ、適度に食事を促して

かれこれ15分~30分かけて食事に誘うという方法で

なんとかやっていきました。


これがやっとです。

正直申し上げて

「兄には役割行動はほぼ無理である」と思います。


4.やる気を持たせるのは、出来ないことを出来るように教えていくことよりも難しい

物を取る、電気を消すなどの小さな頼み事は引き受けますが

「家事」などの役割行動を頼むと

いつも拒否します。

出来ないわけではありません。

実際、大学院時代は一人暮らしが出来ていました。

自炊もやろうとすれば出来ますし

食器洗いも出来ます。

分からないとしても

教えれば出来ると思います。

兄は作業スキル・知的水準共に高いです。

それでもやらないということは

「やる意志、意欲がない」ということです。


やる気を持たせるのは

出来ないことを出来るように教えていくよりも

難しい事だと思います。


強化子(マッサージや会話)を与えて「食事を家族と取る」までは出来ても

「食器を洗う」というところまでは

どうしても出来ませんでした。


そういう現状があるというのに


相談員の方

「家庭の変化(4月からの私の転職と父の退職)により、役割を与えれば動くかもしれない」とか言って
「役割をあえて残しておいて、やるまで根気強く待った方が良い」とか言うので


「はい、そうですか」と返答はしましたが

私は内心

「いやいや、だから、強化子を与えても動かないんだって。食事を一緒に取るのが限界なんだってば」
「祖母が全介助状態まで落ちても、自分から動いて何か手伝おうともしなかったのに、家庭の変化が起きて、役割を残しておけばやるようになるとかあり得ないから」

とか、色々つっこみ入れていました。


ちなみに、相談員さんとのやり取りは「電話」と「メール」のみです。

対面でのセッションは

今のこのご時世ですから禁止されているので

私から兄の様子を伝えてアドバイスを頂くというスタイルなのですが

正直限界を感じています。

兄と面識がないせいもあるのでしょうが

兄について深く知った上で

適切な対処を提示しているという感じがしないのですよね。

何というか

「一般的な引きこもりの方へのアプローチのマニュアルを提示している」感じがするのですよね。

また

いくらアプローチを考えて実践しても先が見えないというか、ゴールが定まっていないため、その不安感もあります。


リハビリについて学んできた私から見ても

クラフト療法が難しく感じます。

て言うか

私で難しく感じるなら

リハビリとか支援について知らない方だと尚更ですよね。


おそらく

クラフト療法を提示している相談員の方のやり方が

つまり

「下手だ」という事かもしれません。

多分、それ、間違いないと思います。


5.今後、どうすべきか?

今のところ

・家族とのコミュニケーションは良好

・家庭が安心して引きこもれる場所になっている

という点ではクリアしています。

その先の

「役割行動」の促しについては

本当は

母の協力が必須であり

母が兄に対し面と向き合って対話し

母が兄をきちんと認め、褒めて、承認するという行為がなければ

兄の心の穴を埋めることは出来ませんし

役割行動には結びつかないと思うのです。


おそらく

相談員さんはそこまで分析できていないと思います。

だから

マニュアル的な対処方法を提示するのみで

兄に適した対処が提示できないのだと私は考えてしまいます。


まず

母親を動かすのは無理だと思います。

私の力だけでは無理だということで

第3者の力を借りて、母親が兄と上手なコミュニケーションを取り、上手く愛情を充足させ、承認欲求を満たしてあげるなど、「家族全体のアプローチ」をしてくれる、そういった支援機関を探すのがベストだと私は考えます。

そもそも役割行動に執着しても意味がないですし

心に穴が空いて不健康な状態であるならば

放置せずに

きちんと心をケアすべきだと思うのです。

また

兄だけにアプローチをかけても意味がないと思います。

まず、母親からの愛情不足が原因だとしたら

母親を含め

「家族全体」がこの問題に対し考えて

きちんと向き合い、対処していかなければならないでしょう。


きちんと「当事者および家族全体」の行動や気持ちなどを把握し

マニュアルではなく

こちらに適した処置を考えてアプローチをかけてくれる


そういう支援機関を探したいと思います。

それまではクラフト療法はつなぎとしてやろうと思います。


ただ

支援機関を探してみても見つからないという現状がありまして

地域の引きこもり相談の団体に紹介されたのが

上記の支援機関でして

そこでもダメならば

もう打つ手がほぼないのですよね。


出来れば

当事者(兄)ならびに家族(特に母親)を包括的に見てきちんと対応してくれる

おそらく兄は動こうとしないため

家庭に訪問し、話を聞いてくれる

そういう支援機関があればと思っています。


どなたか

そのような支援機関を知っているのであれば

教えて頂けたらありがたいです。

ちなみに

私の居住区は関東です。


お読み下さり

ありがとうございました。


















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