【詩】 海気泡

境界のない
海を漂っていた
月夜に跳ねた
魚の群れを
遠くから眺める

緑に光った夜光虫は
淡い記憶の中で
青春を歌っている

聞き馴染みのある声は
いつからか物語の中に
架空のそれは
読み覚えがある

流された波音が
海面に映った
月夜と
共鳴している

なかなか掴めない
今この時よ
すり抜けていった
あの時よ
胸の高鳴りを
届けるために
駆け上がった空よ
夜の中に
溶かし込んで
滲んだ輝きよ

儚く消える気泡の中に
凝縮しても
それらはまだ
静かに微笑んでいた


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