【映画レビュー】確かに見たことないけど魅力的ではない?『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司』の感想!
結構、YouTubeの映画系チャンネルで酷評されまくってるみたい。
『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司』のざっくりとした感想
『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司』を観てきました。
今年のクレヨンしんちゃん映画は、春ではなく夏休み映画に!
シリーズでは初めてとなる3DCGアニメーション作品として『STAND BY MEドラえもん』の白組を招集!さらに監督・脚本には『バクマン!』や『モテキ』の大根仁さんを呼んで、超能力使いとなったしんちゃんの物語を描きます。あと、タイトル長過ぎる。
本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……
佳作。
酷評されるほど酷くはないものの、特筆した良さみたいなものはあまり生まれていない悩ましい一本でした。
以下、本編の内容やネタバレに踏み込んだもっと詳しい感想を書いていきます。
『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司』のもっと踏み込んだ感想
■それ自体は魅力じゃない?3Dのしんちゃん
まず根本的な話として、今回初めて3Dになったしんちゃんについて!
そのビジュアル自体は正直全然魅力的ではないよ、これ。
ゴリゴリの3Dから紆余曲折を経て現在の2.4次元ぐらいのセルルック3DCGになったみたいですが、予告編の時点で感じていたけど、ビジュアルとして魅力には感じられなかったです。
『STAND BY ME ドラえもん』はおなじみのキャラクターが立体的してリアルなデザインになった!みたいな部分が見応えになっていたのですが、今回のしんちゃんは割とそれほどのインパクトもなければ、デザインの変更も“原作漫画に若干寄せた”程度。
売り出すポイントになっている3Dがあんまり活きていないことも酷評受けている理由の一つかもしれないですね。
かといって3Dが全く活きてないわけではなく、終盤に割と“暴力”シーンがあるので、今回みたいに肉質が増してると余計に嫌〜な感じが増して、ある意味効果的でした。そういう狙いだったのかな?
あと細かいけど家具にシールがベタベタ貼ってあるとか、イスと机の高さを合わせるために子供達の座るイスにはクッションが敷いてある(しかもキャラ柄)みたいなディテールをおさえてくれてるのがすごく良い。ただ立体化しただけでひとつグレードを“リアル”にしたわけじゃないんやでって感じは好感が持てました。
■しんちゃんにマジ喧嘩をぶつけるという挑戦は評価したい!
今作の宿敵は社会に対して逆恨みをしている非理谷充(みつる)くんというキャラクターなので、そういった社会的な悪に対する話を展開していくのかなぁ…..と思いきや、意外にも話の終盤には充のルーツの話へと迫っていき、充が孤独な過去を持っていたことがそもそもの原因だと判明します。
そこで我らがしんちゃんが過去の充くんの友達となって、いじめられてる充くんをいじめっ子から守るべく一緒に戦うという展開に進んでいきます。
ここが、結構映画の評価が分かれるところになるのだと思うのだけど、個人的には結構好意的に受け止めました。
いつもは強気に出られるしんちゃんも、リアルな暴力的ないじめの前では苦戦を強いられる。だけど、それでも仲間のためなら諦めずにしんちゃんは立ち向かうというのは全然しんちゃんの解釈としても近くて、感動的でもありました。しんちゃんの強みは“個”でもブレないとこと再確認しました。
一方でいじめの根本的な原因にまで踏み込んでは“いない”とも思うのも事実。なんで充くんはいじめられたのか?とかいじめっ子たちは何が問題なのか?みたいな話に踏み込んでいないので、この映画を観て感動したキッズが、将来気づかぬうちに加害者側になっている……なんてケースもあるんじゃないでしょうか。
いじめを止められるぐらいの映画のパワーも求めたくなっちゃうのは欲張りですかね。
親ができることが、戦いに直接参戦することではなく、間接的な応戦と応援のみ、というのも、その通りだと思いました。「頑張れ」だけじゃなく、ひろしの靴下という物理的な応戦で解決に導かれるのは良かったです。
■エンドロールは至高!原作寄せも挑戦としてアリ!
あと忘れちゃいけないのがエンドロール!
エンドクレジットは最高でした。
今年のベストエンドロール賞候補。
エピローグを原作漫画風に展開していくスタイルは面白いだけでなく、これまでのアニメーションシリーズでは、あまりここまでダイレクトにフィーチャーされてこなかったことを改めて思い出す体験となりました。
TVアニメシリーズは「原作漫画のしんちゃんとは別物」という前提が思えば強かったのですが、それを3DCGというテイスト自体を変えるこのタイミングでちょっと寄せてみるという試みにも好意的に思っています。
漫画原作とか3DCGとか……しんちゃんの広げ方にこんな方向もあるんだと教えてくれる体験という意味でも今回の映画は作った意味はやっぱりありましたよ。
まとめ
という感じで、今年のしんちゃんは“惜しい”という気持ちは否めないけど、決して酷いとは思わないぐらいの悩ましいしんちゃん映画でした。
この映画の隣で『君たちはどう生きるか』みたいな重要作や『マイ・エレメント』みたいな大傑作が並んで流れていると思うと、あんまりおすすめしていけないのが残念です。
来年は2Dに戻るみたいですが「大好き」という気持ちになれる映画を期待してますよ。
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