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【南仏プロヴァンス暮らし】Le port / 港

港が好きだ。

山より海を好み、海よりさらに港に愛着と心の躍動を覚える。未知の到着と出発の場所だからだと思う。
同じ理由で空港も好きだが、空の旅の歴史は船のそれと比べればずっと短い。海の広大さと船出の悠久さが、ロマンを一層かき立てるのだと考える。

灯台は、大なる自然の海に人間が対峙し関与している確かな印で、私の港への愛着はそこから来ている。


地中海の小さな港町。
マルセイユ(Marseille)よりも、マルセイユ・プロヴァンス空港の所在するマルティーグ(Martigues)に近い。プロヴァンスに住んでいた頃、毎週末のように来ていた時期があった。

無人、春だけが港を賑わす。
ピンクのボートを「私の船」と呼んで、来るたびに探した。
歩けばすぐに、押し寄せる波打ち際。海の強い波と風は、人間の日常に甘えた肌をただす。
この、海に対面したアパルトマンに住みたいと思った。

「港町に住む」というのは小さい頃からの憧れの一つで、日本でも横浜港や神戸港のそばに暮らすことを幾度か考えた。

この夢は島国日本での方が叶えやすいのかもしれないが、とは言えフランスも国土線の約半分が海との境界(内陸側の国境線と、海に面している線の長さがほぼ半々)で、私が海の近くに住むのも実現可能な計画だ。
大西洋に面するフランスはまだ知らないのだけれど、たぶん、自分は地中海側を好むと思う。

まずは夏休みのひと月でもいいから、港町のアパルトマンか小さな家を借りて暮らしてみたいな。


そういえば、このプロヴァンスのお気に入りの港町にはごく小規模の魚市場があって、新鮮な鮪とムール貝を買って帰り料理したことがある。改めて、記事にしようと思っている。