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「働きながら世界一周する社員」のメンバーマネジメントTips


世界地図帳がお酒のサカナになる根岸です。

一緒に仕事をしているチームのメンバーが、2019年12月、世界一周の旅に出発しました。

会社員だって世界一周できるはずだ、のエントリーはこちら↓

旅をしながら働く側の気づきは、上記の他にも、本人から発信があると思うので、良かったら下記フォローしてみてください。旅についてだけでなく、旅で出逢った多様な人たちのライフストーリーも発信していて、オモシロイよ。(オモシロイのをアウトプットするよう、プレッシャーをかけてるのだw)

出発にあたり、本人もいろんな準備をしていたと思いますが、いわゆるマネジメント側の僕のほうでも、いくつか整理や共有をしていました。旅に出て2ヵ月経過し、今のところ当初準備していたことはやはり良さそうです。(もっと先で新たな気づきがあったら修正のうえシェアします)。

その中で、汎用性のあるTipsを再確認できました。「自部署のメンバーに、成果へのコミットは求めつつ、気持ちよく、楽しく、なにより自分らしく働いてほしい。ひいては、企業に広がり、社会の血流がサラサラになってほしい」。そんな方は良かったら一読ください。

Tips1. 管理をしない。その思考を持つ。

まず大前提の思考についてです。これがベースにないと始まりません。

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僕は、マネジメントを「活用」と意訳しています。いわゆる一般的な翻訳は「管理」ですが、「管理」をすると大失敗します。人間は言語で思考するので、マネジメントを「管理」と脳内変換している限り、次のようなことが起こります。

・管理者として、メンバーがいつどこで何をしているのか、を把握しなくては? →もはや、管理どころか監視です。(秘儀:記録ミスをする監視カメラマン)

・管理者として、何かあったときの責任を取らなくては?→何かあったときに、自分はすべきことはしていましが・・・というだけです。(秘儀:秘書のせいにする政治家さん)

管理者として、メンバーを育成しなくては?→人材のレア化が求められる時代に、自分の言う通りに育てたら、マネジメント側の自己満足でコピーができるだけです。(秘儀:仲間殺し&ついでに自分殺し。※コピーロボットができるので双方の個性消滅w)

「マネジメント=管理」という思考を捨てる。これを少し言い方を変えると、「作業に落としてから仕事を渡す、を捨てる」です。一見、面倒見が良い上司のようにみえるのがミソ。本質的には、メンバーの自発的成長機会を奪取していて、マネジメント側にとって、管理・監視がラクなだけで、メンバーの自己利用でしかありません。悪意がない悪だからややこしいのですが「お前、できるようになったな!」ってメンバーに対して感じたときは、だいたいこれ。自分ができる範囲内のことでしか、そう思わないから。何しているか分からないときのほうが、ぐいぐいその人らしく伸びちゃってる。

今回のテーマは「旅する正社員のマネジメント」ですが、管理をしている限り、旅という変数の多い働き方をするメンバーどころか、隣の席にいるメンバーすら、実はマネージできていないかもしれません。

管理・監視でないことは明白ですが、本当は、活用という言葉もあまりしっくりきていません。ややこしくなるから活用と意訳していますが。

本当のマネジメントは「放牧」で、マネージャーは「羊使い」だと考えていますが、話がそれるので割愛します。

この前提があったうえでのその他のTipsを以降に記します。

Tips2. タスク指示を出さない。ミッションを渡す。

前述と重なる部分がありますが、「作業に落としてから仕事を渡す」はご法度です。そこまで分解できている作業は、短時間でできる状態まで進捗しているものです。短時間でできるものは、「今日何時までに」「明日中に」となります。

旅と時間管理の相性は最悪です。電車が定刻通りに来るのがアタリマエの日本においては問題ないかもしれませんが、時間どおりに行動なんてできないのが海外。時間通りに行動できていたら、旅じゃなくて出張ですし、そもそも時間に対する価値観も全然違います。(移動という変数が増す旅ほどではありませんが、リモートワークも近しい要素があります)

一方で、アクションすべきことが曖昧なのもご法度です。ふんわりしていると、仕事っぽいことをしている風な有給休暇でしかありません。明確にしないと、その本人はいずれ肩身が狭くなりますし、組織としては「この働き方は失敗」というミスリードの認識をしてしまいます。やり方が良くなかっただけで、働き方がよくないわけではないのに。

だからこそ、以下のような定義でしっかりと話し合い、決めておくことが必要です。

メンバーとの握り
・タスクではなくミッションを渡す。ミッションは言語化する。
・今日、明日、今週がゴールではなく、3ヶ月程度先のゴールを渡す
・WHYとWHATをしっかり合意し、HOWは一任し、ヘルプのみ手を出す。

上記を明確にしておくと「いまこの瞬間何やってるの?」「今日の仕事は終わったのか?」など、マネジメント側が小手先を気にしなくてよくなりますし、「いまやらなきゃ!」「今日の分が終わってない!」など、メンバー側は切迫する必要もなくなります。
※連絡をとらないという意味ではありません。
※ミッション逆引きで今日やったほうがいいことは当然やります。

Tips3. 上司こそ、できる部下になる。 

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上司とか部下とか、そういうの苦手なんですが。まぁそれはさておき。

さきほど、

・WHYとWHATをしっかり合意し、HOWは一任し、ヘルプのみ手を出す。

と記載しましたが、ヘルプとはつまり、ミッションドリブンのメンバーのもと、上司がタスクを実行することも含みます。どうしても物理的・時間的に制約があるけど必要な作業は誰かがやらないといけません。ミッションドリブンなら、上下はなくフラットですし。

そもそも「良い組織は逆三角形だ」と言われます。通常の三角形はお腹がボコってなってるのに対して、逆三角形はまさに筋肉質だから、賛成多数なのはうなずけます。
世界一周中のメンバーがいるいないに関わらず、それを実行するだけなのです。

でも、それでもなかなか逆三角形にならない。それはなぜか?

あくまで僕個人の意見だが、上司が実は作業をできる能力を持っていないからだと。概念はわかっていても、具体的に実行できない。立場上指示を出すが、自分でやれと言われるとできない事象は世の中に転がりまくっています。当然、それは逆三角形にはなりません。だって、逆三角形にしたら実行できないんだもん。

冒頭でお伝えした「「自部署のメンバーに、成果へのコミットは求めつつ、気持ちよく、楽しく、なにより自分らしく働いてほしい」のならば、いざというときに、自分でやれる人になっておくことは、思った以上に大事です。その上で、手を動かさないのは問題ありませんし、むしろ機能するならスーパーすごいことです。

余談ですが、すごく古い画像をみつけました。「自分らしく働ける社会をつくる」と掲げてるどこかの会社の社長が言ってることそのものです。どこかの社長、何年も前からそういってるな。どこの社長なのかなー

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Tips4. たった一人だとしても、少数派にしない。

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とても大事ですが、抜け落ちやすい視点です。

例えば、4人で会議をするとしましょう。旅する社員のみ遠隔で、3名は会議室にいます。1人だけ画面越しになります。

遠隔側の理解や体験がある場合とそうでない場合で、3名側のやり方が大きく変わります。
マイクの置き方や画面共有のやり方などのツール。話すときの位置や声のサイズなどの配慮。YES/NOなどの意思表示が伝わる形での徹底。などなど。

些末なことのようにみえますが、実は会議の内容そのものよりも圧倒的に重視したほうがいい。

会議の内容は、会議中以外でも伝える方法はいくらでもあります。会議という場によって、信頼関係を棄損するほうがリスクです。

Wifi環境の問題などどうしようもないケースは別として、相手の状況を理解せずに「聞こえなかったら仕方ない。あとで議事録みてね」は優しさではありません。配慮じゃなくて遠慮の始まりです。
リモート側には「迷惑かけてごめんなさい、という排除感」を与え、リアル側は「やっぱこの働き方は難しいんじゃね?誰かにしわ寄せがいくんじゃね?感」をじわじわ植え付けます。いきなり発症しないのでわかりづらいのですが、チーム内に、遠慮という悪玉菌が登場します。菌は見えないサイズで始まりますが、じわじわと着実に広がり、気づいたころには、遠慮の悪玉菌は「一緒に仕事したくない菌」に昇華してしまい、治せるか分からないデッドオアアライブの大手術が必要になってしまいます。
当然、チームのミッション達成に向けたエグゼキューションも停滞します。

どんなに素晴らしいアジェンダの会議だったとしても、相互理解不足のほころびから、エグゼキューションがグラつきます。

でも、抜け落ちやすい視点なだけで、回避はカンタンです。

・全員テレカン。→隣の席にいる人も各自、zoomやハングアウトから会議に参加する。全員がテレカンの状態に身を置く。
・まぁまぁ良いマイクは用意する。→近くで同時にzoomなどに入ると、音声が混線します。マイクを接続している一人以外をミュートにすればOKです
・議事録はgoogleにする。→同時編集ができればよいです。誰が何をしているかがみえればいいだけです。

記載のとおり、やることは大した事じゃないんです。一人ぼっち感を味合わせないことが、その人にとっても、リアルにいるメンバーにとっても良い。会議内容も大切ですが、それ以前に、相互理解が不可欠なだけなんです。

※相互理解が大事なだけなので、チーム全体が慣れてきたら、ムリに各自テレカンにログインする必要はなくなります。お作法が浸透しているので。

Tips+α. 想像力を身に着ける。

これは特殊事項なので、プラスアルファ扱いです。

旅を知っておくことです。さきほど相互理解が大切と言いましたが、旅する社員をはじめ、リモート社員も、それそのものを理解しておくことが大切です。知っていると、表面的なことだけでなく、インサイトみたいなものも想像することができます。想像できれば創造できます。

一番カンタンな方法は、上司が旅に出てみる。上司がリモートワークしてみる。それだけですね。僕はたまたま旅好きだから、旅がどんなものかまぁまぁ分かってるほう、というアドバンテージはあったかもしれません。

まとめ

タイトルでは「世界一周をしながら正社員」のマネジメント、と言ってますが、これは、「世界一周していない正社員」のマネジメントにも通じるものでしかないと思っています。wifi環境などのハード的インフラの影響以外、世界一周していようがしていまいが、あまり関係ありません。

メンバーが、旅に出て2ヵ月ちょっと。

・管理しない
・タスクを渡さない
・自分ができる部下になる
・少数派にしない
→相互理解という信頼関係をつくる

以上を再認識できたことが学びでした。自分で書いていてなんですが、超普通のことだった。。。Tipsなんてタイトルをつけたのが、ちょっと恥ずかしいのですが、そのままにします。

最後に

価値観が多様化し続ける今、そしてこれから。会社と個人の関係は違うものになっていきます。
現状、多くの深層認識として、いまだ「会社≧個人」ですが、今後は「個人≧会社」に間違いなく逆転します。フラットな方向を目指さない組織は、時代の波にのまれるかもしれません。

「個人≧会社」は何をもたらすか。いろんな変化をもたらすと思いますが、価値観からくる仕組みのシフトは大きいと思います。一方で、単独個人よりも集合体のほうができることは広いのも事実です。

その両立をするにはどうするか?

個人を軸とした ”新型の組織” を組み立てていく必要があると考えてます。

この、イチカワエーコさんには、自分がやりたいこと(旅)をしながら、既存の仕事をするだけでなく、そのミッションも渡しています。もちろんHOWは問わないし、時間管理も、当然監視もしません。そのためのタスクを僕はやることももちろんあります。日本にいるときも、僕はパシリ扱いだったから、変わらないけどね!

新しい気づきはどうすれば得られるか。
・時間の使い方を変える
・住む場所を変える
・会う人を変える

これを確率論的に最速で実行できるのが世界一周です。本質的に重要なのは、受信力と想像力だが、世界中のいろんな個人と接触することで、気づきを得まくってきてくれると思うし、1on1してても、すでにいろんな気づきを得ている。

化学反応をモデル化する = 個人を軸とした ”新型の組織”

をプロトタイプでいいから再現できる作り方を、みつけてくれるんだろうなー。そしたら、なんかいろんなことを社会としてバージョンアップできたりするんじゃないかなーと、勝手に思ってます。

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