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勝負の仕方。片腕のハスラー

根岸です。こんにちは。

プールバー(ビリヤードがあるパブ)で、勝負ってこうやってやるんだ!!と実感したお話。

本題に早速いくために、背景をさっくり書くと…
・海外逃亡した。
・渡航3日目に複雑骨折。人生初手術。全身麻酔。すーっ。
・やることなくて飲みまくり。テキーラってあんなに飲めるんだね。
・残金10万円になり、10万円の車を買ってみる。
・ガソリン代がないことに気づく。気づくの遅っ。
・そもそも生活費もない

骨折しているのでギプスにスリングの状態。バイトとして雇ってくれるところはない。甲殻類の殻剝きという地下室バイトもNG。そもそも英語が分からないし。

そこで目に着けたのがパブ。オーストラリアのパブは、だいたいがプールバー。生活をかけた勝負の場所に選んだ。

ビリヤードで対戦相手と賭けをすればいいと思ったのだ。オーストラリアのプールに対する慣習は日本と違う。日本は、グループで1台を借り切り、仲間内で愉しむスタイルだが、オーストラリアは知らない人との対戦方式。勝ち抜き戦だ。チャレンジャーが場代の2ドルを払っていき、ゲームはある意味エンドレスに続いていく。つまり、勝ち続ければタダで遊びまくれるのだ。僕はこのシステムに目をつけた。

勝ち抜き型対戦方式のシステムを利用して、「負けたほうがメシをご馳走する、というのはどうだ?」と対戦相手に交渉した。予め言っておくけど、僕はビリヤードのプロでもなければ、巧くもない。ましてや左手は落書きだらけのギプス。ギプスの上にお手製ブリッジをつくりキューを置く、という不安定なプレイヤーである。

それでも勝算はあった。相手はほろ酔い気分でレジャーとしてのプールを楽しんでいるタイプ。一方、僕は冗談抜きで餓死するか否かを問う、決死の戦い。気持ちで勝負する、とはよく言ったものだが、まさにそのとおり。それに、ギプス野郎が賭けを挑んできたら、普通は余裕で勝てると思うはず。だから、勝負を嫌がる人もそんなにいないんじゃないか、と。本気度に歴然の差があること、相手に油断が生まれることから、僕は勝てると踏んでいた。そして、第一戦目を開始した。

最初の対戦相手は現地のオーストラリア人だった。敵であるオージーは、30歳くらい。180cm以上はある男だった。僕の左手を見て「おー、マジか。俺まあまあ巧いよ。しかも、ギプスしてんじゃねぇか。そんなんでよくもまぁ、賭けようなんて言ってくるな」とでも言いたそうな顔で、にやけている。

でも、僕はカチンとこないよ。万一、「ハンデをやるよ」なんて言ってきたらしめたもの。見下されていたほうが勝率があがりそうだからね。楽しむ必要はなく必勝がノルマだった僕は、バカにされる屈辱よりも、お腹と背中がくっつきそうな腹を満たすほうが大事だった。相手に確かめたわけではないから確証はないが、明らかに僕のほうが真剣だった。

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僕はエイトボールをポケットに沈めた。ギプスをブリッジ代わりにした変則的なスタイルで、僕は勝負に勝った。やはり、気持ちは大切だ。どんな戦いでもそうだが、気持ちが強いほうが勝つのだ。特に1発勝負は、実力と相反する結果になる可能性も少なくない。

「相手は酔っ払っている。真剣にやれば、下手でも勝てるはずだ」という僕の仮説は実証された。目的を果たすためにはまず相手を知ること。その重要性を体感した瞬間だった。片腕のハスラーとして食っていく日々が、ここから始まった。

仕事に活きている学び
何より本気度。強いものが勝つんじゃない。勝ったものが強いんだ。

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