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音楽を語ることへの恐怖

「音楽を語ること」って怖くないですか?
音楽について語ろうとする時、ものすごい心的障壁があるんですよね。ハイレゾと普通の音源の違いもわからないし、音質の違いも聞き取れない。コードもわからないし、パートごとの聞き分けができるわけでもない。家にレコードもなければかける機械もない。クラシックも知らないし、洋楽もほとんど聞かない。J-POPだって極々一部しか知らない。そんな人間が音楽について語っていいのかと。

世の中には音楽に詳しい方がいっぱいいらっしゃいます。作曲をしている人など音楽を仕事にしている人はもちろん、普段からさまざま音楽を聴き、音楽に造詣が深かったり、音楽業界の歴史も把握していたり、家にはたくさんのレコードがあり、そのどれもが洋楽で、聞いたこともないような高名なミュージシャンの名盤を何枚も持っているような音楽ファンの方とか。洋楽に限らず邦楽も、長い間聴き続け、歴史に詳しく、どのアーティストがどのアーティストに影響を受けているだとか、このジャンルはこのジャンルから派生しているだとかそういうことがわかっている……そういう人でないと音楽を語ってはいけないんじゃ無いかと。

音楽素人が音楽について語ると、「的外れなことを言っている」「全然違う」「にわかだな」などの批判が飛んでくるのではないか、なんていう架空の敵を作って勝手に怯えてしまうというか。

少々、自分語りをさせてください。

自分が音楽に触れるようになったのは中学一年生。それはあまり一般的な触れ方ではありませんでした。その頃の自分は音楽番組も見なければ、CDを買ったこともなく、音楽を聞く趣味なんてのは陽キャの嗜み、と音楽については穿った見方をしていました。そんなネギマ少年が初めて音楽に触れたのはゲームセンターでした。

「Beatmania」
音楽シミュレーションゲーム。
流れてくるオブジェに合わせてボタンを押したりスクラッチを回すと音楽を演奏でき、正確にプレイすることでゲージが溜まり、一定以上ゲージが貯まればクリア、というゲーム。

音楽については捻くれていたにもかかわらず、なぜか中学一年生のネギマ少年はその黒くてデカくてごついゲーム筐体の存在を知って、無性に「やってみたい……!!」となり、不良の存在にビビりながら、普段入ることもないゲームセンターに足を踏み入れました。(この当時、ゲームセンターは今のような開かれた雰囲気ではなく、薄暗く、タバコの匂いが充満し、たまーにカツアゲにあった被害の話を噂で聞くような、そんな治安でした。幸い、ネギマ少年はそう言った被害に遭うことはありませんでしたが)

そこで初めて、クラブミュージックという存在にふれました。きっと生粋の方からしたら、そんなのはクラブミュージックとは呼ばないと言われるかもしれません。でも私にとってはそれが初めて触れたクラブミュージックでした。そのゲームでは曲を選択する際に、曲名よりも大きくその曲のジャンル名が書いてありました。そこで初めて私は「音楽にはジャンルというものがある」ということを知りました。それすら知らなかったのです。

そこからはあっという間でした。ハウスを知り、テクノを知り、アンビエントを知り、四つ打ちという概念を知り、ブレイクビーツを知り、ハードコアを知り、トランスというジャンルを「めちゃくちゃ音数が多い曲」とちょっと間違えて覚え、DanceDanceRevolutionが稼働し、ダンスミュージックを知り、洋楽を知り、Smile.dkを知り、キャプテンジャックを知り、E-ROTICを知り、ダンスマニアシリーズを知り、リミックスという概念を知り、インターネットで音楽を漁り、ナードコアを知り、自分が好きな音楽ジャンルをなんとなく認識をし、生まれて初めてクラブに行き、おどる楽しさを知り、ダンスにもジャンルがあると知り、少しだけダンスを齧り、音楽編集ソフトでMIXを作りDJの真似事をし、クラブイベントに出演し、やっとここらでJ-POPを知り、椎名林檎を知り、電気グルーヴを知り、YMOを知り、色々と拗らせ、ボーカロイドにもハマり、同人音楽を聴き、拗らせを解消し、音楽番組も見るようになり、好きな曲を好きなように聴き、音楽は楽しいと知りました。

それでも。

音楽を語るのに抵抗を感じます。
「お前が音楽の何を知っているのか」と。

でも最近気づきました。
「じゃあ、どこからなら音楽を語っていいんだ」と。
いや、そんな基準ないじゃん、と。

これだけ音楽聴いてもハイレゾと普通の音源の違いもわからないし、音質の違いも聞き取れない。コードもわからないし、パートごとの聞き分けができるわけでもない。クラシックも知らないし、洋楽も邦楽もごく一部しか知らない。

でも「この曲が好きかどうか」は分かる。
それだけでいいんじゃないかな、と最近やっと思えるようになりました。

そんなわけで、今後はたまに音楽についての記事を書きたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

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