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ミシャの一番の功績は、サポーターのマインドを変えたこと

これは「北海道コンサドーレ札幌 Advent Calendar 2021」企画の記事だ。

本来は新しく記事を書きたいところだったが、ネタが思いつかず、時間も刻一刻と過ぎていったので、過去に書いた記事をリライトする形で載せることにする。

コンサドーレサポには負け犬根性がしみついていた

北海道コンサドーレ札幌の現監督であるミハイロ・ペトロヴィッチ(通称ミシャ)は、就任してから北海道に多くのものをもたらした。北の大地で発揮された能力や、残した功績は今後深く振り返られることだろう。

ミシャが北海道にもたらした一番の功績はなんだろう。そう考えたとき、記事のタイトルに行き着いた。

ミシャの一番の功績は、「サポーターのマインドを変えたこと」だ。

ミシャが就任するまで、J1を戦うコンサドーレサポには負け犬根性がしみついていた。当時サポ自身には自覚はなかったかもしれない。僕にもなかった。しかし、今になって振り返るとそう思うのだ。

例えば1点差で勝っている状態で前半を終えたとき、サポーターは何を考えていただろうか。当時のコンササポの傾向として「一点だけなら追いつかれる」と不安になることが多かった。勝っている喜びよりも、未来の引き分けや負けに対する不安のほうが強まってしまうのだ。

1点差で負けているときはもう絶望だ。「追いつけないかもしれない」という気持ちが先行してしまう。点を取れるという発想に行き着かない。マインドが総じて後ろ向きなのだ

しかし、これは無理もないことである。当時のコンサドーレは「エレベータークラブ」と揶揄されるほど、J1とJ2を行ったり来たりするクラブだった。しかもJ1ではいつも最下位で降格していた。2017年に晴れてJ1残留を果たせましたが、チームやサポにまとまりはあったものの、そのシーズン通してマインドは後ろ向きだったように感じた。

「取られても取り返せる」というマインド

ところがミシャが2018シーズンから指揮を取り始めてから、その負け犬根性が確実に払拭されている。

クラブが「超攻撃的サッカー」を標榜していたこともあり、「点を取られても取り返す」マインドがチームに浸透していった。

思い出されるのは2018シーズン第2節のアウェイ・セレッソ大阪戦だ。

僕は現地で観戦していたが、前半0-2でリードされて終えたときには「これは追いつけない……。今季はダメか……。」と後ろ向きな気持ちになっていまた。ところが試合を終えてみるとスコアは3-3の同点だ。追加点は取られたものの、見事同点に追いつくまで点を取り返したのである。

この試合はサポにとって「今季は何かが違うぞ」と思わせるきっかけになったと思う。

その後2018シーズンは多くの勝ち星を積み重ね、4位という好成績で終えまた。この過程でコンササポは多くの成功体験を積み重ねることができた。成功体験と合わせて、ミシャが常にポジティブな発信をメディアを通じてサポにしていたことも非常に大きかった。

その結果、1-0で勝っていたら「もっと取れる」、0-2で負けていても「きっと取り返せる」というマインドが身についていったと僕は感じる。

何でもかんでも前向きなメンタリティが素晴らしいとは思わない。しかし、コンササポにとってミシャ就任後にもたらされたマインドはとても良いものだった。少なくとも僕はコンサドーレの試合を見るのが今までより少し楽しくなった。

このマインドは、いつの日かくるミシャ退任後も成功体験としてある程度は引き継がれていくだろう。いや、引き継がれてほしいものだ。