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サッカーを聴いてみよう!~ラジオとサッカーの幸福な関係~

サッカーの情報を収集する手段にどんなものがあるだろうか。

DAZNやYoutubeで配信されている試合を見る。Twitterでサッカー関連のツイートを眺める。サッカー雑誌やサッカー本を読む。Youtubeやテレビ、DAZNでサッカー番組を見る。もちろん実際にサッカーを観に行くこともその一つだ。

今回の記事を読んでもらい、僕はその中に是非ラジオを入れて欲しいと思う。ラジオとサッカーの関係を追うことで、サッカー好きにラジオを聞いてみたいと思ってもらえたら幸いだ。

PK戦はテレビよりもラジオで聴け!?

2021年の天皇杯は、浦和レッズの優勝で終わった。大分トリニータとの決勝戦も激闘だったが、その前の準決勝も素晴らしい試合だった。特に大分トリニータと川崎フロンターレの準決勝は、PK戦にまでもつれ込む激戦だった。

僕はそのPK戦をOWLのメンバーと西葛西出版で「聴いていた」。試合をテレビで見るのではなく、ラジオで聴いていたのだ。

スポーツを聴いたのはいつ以来だったろうか。幼い頃、父親の車の中でたまたま流れていた野球中継を聴いたのが最後だったかもしれない。

僕のイメージでラジオで聴くスポーツというのは、野球と競馬だ。サッカーはそこに入っていない。野球も競馬も情景が浮かびやすい。それは主役のいる舞台が固定的だからだ。野球はピッチャーとバッターの関係に収斂されるし、競馬は突き詰めれば周回競争だ。ラジオはそのスポーツに興味がない人もたまたま流れているから聞くこともある。そう考えたときに、情景が簡単に浮かぶスポーツは強い。

比較すると、サッカーは情景が浮かびにくいスポーツだと思う。主役のいる舞台が流動的だからだ。ある程度のポジションは決まっているが、必ずしも選手がそのポジションを守っているわけではない。ボールの位置によって、主役のいる舞台は大きく変わる。それを逐一実況していくアナウンサーの方は本当にすごいと思うが、どんなに丁寧に描写しても聴き手が頭をぐるぐる回さなくてはいけないことには変わらない。

ところがPK戦はキッカーとキーパーの関係しかないので、主役のいる舞台が固定的だ。情景は浮かびやすい。蹴るか止めるかだからだ。その意味では、野球のピッチャーとバッターの関係性に近いだろう。

実況者の描写から情景を想像しなければならないということは、映像で受け取るよりも頭を使う。びっくりしたのだが、映像を見るより聴くほうがPK戦でははるかに臨場感が感じられたのだ。映像が俯瞰的にPK戦を見ているとすると、ラジオはゴールの真後ろでPK戦を肌で感じている感覚だ。

どうして臨場感が感じられるか。その秘密は音にある。映像がない分、僕らの耳はありとあらゆる音を拾うことに敏感になる。
そこで聴こえてくるのが、

「ボカッ」

「シュッ」

とボールを蹴る音や、

「ファサ」

とボールがネットに当たってゴールする音、

「カーン」

とボールがポストに当たる音だ。

そのとき僕らはまるで自分がキーパーとして立っているような感覚に陥るのだ。

年末年始には高校サッカー選手権がある。ラジオでも中継がある。是非機会があればPK戦だけはラジオで聴いてみてほしい。テレビで俯瞰的にみるのとはまた違う臨場感が味わえるはずだ。

さあ、ラジオを聴いてみよう

「ラジオで聴いてみてほしい」と書いたものの、巷ではラジオってどうやって聴けばいいかわからない人も少なくはないと聞いた。

ラジオを聴く手段としては、携帯ラジオや車のラジオ、死語かもしれないがラジカセで聴く手段もある。だが、僕がすすめたいのはスマホやPCで聴くことだ。そう、今の時代ラジオはスマホで聴けるのだ。

radikoというアプリをインストールしてほしい。このアプリで自分が住んでいるエリアのラジオ番組は無料で聴くことができる。動画視聴と比べると、ギガ数がさほど減らないのもうれしいところだ。

もちろんPCやスマホのブラウザからでも聴くことができる。

radikoの素晴らしい機能に「タイムフリー機能」「エリアフリー機能」がある。順番に説明していく。

「タイムフリー機能」は、過去1週間の放送を1番組3時間限定で聴き返すことができる機能だ。例えば、僕は深夜ラジオが好きでいくつか聴いているが、いずれもリアルタイムで聴くことはめったにない。起きていられないし、明日の行動に支障がでるからだ。この機能を使えば、自分の都合のいい時間帯に聴きたい番組を聴くことができる。

「エリアフリー機能」は、月額385円のプレミアム会員になると使える。この機能では、自分の住んでいる地域以外のラジオ番組を聴くことができる。例えば、北海道に住んでいる方が東京や大阪のラジオ番組を聴ける。反対に東京に住んでいる人が地方で評判になっている番組や自分の故郷の番組を聴くことができるのだ。僕もプレミアム会員になり、地元北海道のラジオ番組などを聴いている。

radikoをインストールしたサッカー好きのあなたに早速この年末年始に聴いて欲しい番組がある。

TBSラジオで12/30(木)の22時から23時放送される「アルコ&ピース酒井健太と日向坂46影山優佳のあなたの地域にゲーゲンプレス!!」だ。なんとJリーグ各クラブの地域密着活動にフォーカスを当てた特番だ。

パーソナリティは、ラジオの世界ではカリスマ的人気を持ち、静岡県では「国王」の異名を持つアルコ&ピースの酒井健太さんと、今サッカー好き男子の心を鷲掴みにしている日向坂46の影山優佳さんだ。

酒井さんは学生時代サッカー部で、川崎フロンターレの試合にもゲスト出演していた。影山さんはサッカー好きという側面がフューチャーされがちだが、頭の回転が速くトークスキルも持ち合わせている。この2人が組むなら面白くなること間違いなしだ。

北海道ほどサッカーラジオに恵まれた土地はない

ためしにradikoで「サッカー」と検索してほしい。全国各地の様々なラジオ番組が検索に引っかかるはずだ。

ラジオのサッカー番組で最も多いのは、その土地のサッカークラブの応援番組だ。

ここからは、有料公開にさせていただきます。
旅とサッカーを紡ぐWebマガジン・OWL magazineでは毎月700円(税込)で個性あふれる執筆陣による記事を毎日読むことができます。
執筆陣には、OWL magzine代表の中村慎太郎、ノンフィクションライターの宇都宮徹壱さんの他、川崎フロンターレや鹿島アントラーズ、北海道コンサドーレ札幌、ヴァンフォーレ甲府、V・ファーレン長崎、東京武蔵野ユナイテッドFCなどなど全国各地のサポーターが勢ぞろいです。

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