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わけあり魔法少女さんじゅうななさい【前編】【オリジナル小説】

こんばんは。今日もお疲れさまです。

今日はもう、正直すべてのやる気を無くして、ほぼ寝て終わりそうだったのですが、夕方突然書きたくなって欲望の赴くままに書いていたら流石に収集つかなくなって中途半端になってしまいました。


ぷりっきゅあぁ~!!!

ひっくり返るような女性の怒鳴り声みたいな爆音が響いて驚て目を覚ます。
「おはようマコちゃん。就活、遅刻するよ? 五條真由美様の美声を指して怒鳴り声とか言わないでよ。」
 姪っ子のミコが私の古いラジカセを片手に立っていた。ラジカセからは「ぶっちゃけありえない」と美声が流れている。それな。
「いや、そうだった。やばい。こんな時間?! 嘘もう、目覚ましどうして、あぁ、ミコちゃん起こしくれてありがとう。でも、もう、どうしよう、あぁ、どうすれば」
「はいはい。落ち着いてマコちゃん。マコちゃんは落ち着けば大丈夫な子だから。はい、眼鏡」
 慌てふためく私とは対照的に落ち着きまくっている姪のミコは若干10歳の少女である。私と精神年齢が逆転しているとしか思えない。
「ねぇ、今プリキュアシリーズ制覇頑張ってるんだけど、フレプリシリーズまで見終わるとどうしても無印からまた見直したくなってそこから進めなくなるのよ。懐古厨ってやつ?」
 なんだこの10歳児。精神年齢が迷走しているとしか思えない。
「ミコちゃんごめん。今マスカラ塗ってるから笑わせないで」
「大変だね。大人の女は。魔法少女みたいに一瞬で化粧できたら楽なのにね」
「ちっとも楽じゃないよ、魔法少女なんて」
「ん? マコちゃんなんて?」
「よし! これでいいやもう、じゃぁ、行ってきま……うぐぅ……」
 カバン持って勢いよく立ち上がろうとしたら前太ももにつったような痛みが走る。これ、筋肉痛。多分3日前のやつ。今頃来るの? しかもこんなにパワーアップして……
「どうしたのマコちゃんお腹痛いの? 今日は就活やめておけば?」
「いやいや全然平気。行ってきます。ミコちゃん戸締りお願ね」
 私は心配するミコと、容赦ない筋肉痛を振り切って出かけた。今日こそ内定を掴み取るんだ。真っ当な、堅気の仕事に就いてやるんだから。お姉ちゃんにも認めてもらえるような立派な仕事に就くんだから。

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【一週間前】
 ハローワークの相談窓口担当者は私の履歴書と私の顔を交互に見ては今にも溜息をつきそうな顔をしていた。
「いや、お若いですねぇ。僕正直驚いちゃいましたよ。ハハ」
「はぁ」
そう言う見え透いたお世辞が一番人を傷つけるって事実をこの若造はまだ知らないらしい。
「いいんです。わかってます。正直難しいですよね。私この年齢だし。何のスキルも無いし」
「いや、あの、そうですね。法川さんがという意味ではなく、ほら、あの、このご時世的な? 背景みたいな影響もある可能性が無いとは言えなくて、正直その、すぐにご希望に添うご提案ができるかと言うと正直そうとは申し上げ兼ねる状況にございまして」
気を遣い過ぎて日本語がおかしくなっている。
「分かりました。それじゃぁ、何か職業訓練とかって今すぐ始められるものありますか? 例え有料でも将来的スキルが身につくのなら構わないので」
「スキルですか…… そうですね、法川さんに向いてそうな…… あれ、法川さん、あの、失礼なんですけど、法川さんってもしかして魔法使えたりとかしますか?」
冗談やめて下さい失礼しますと立ち上がろうとしたけれど、遅かった。相談員が指を鳴らすと現実と魔界の狭間の世界に切り替わる。

人は魂になり、魔物はその正体を現す。ただし、普通の人間には変わらぬ日常にしか見えていないはずだ。
「やっぱりそうじゃないですか! あなた法川マコさんでしょう?メイクアップシスターズの! たしか27年前に彗星の如く現れて17年前に姿を消した。嬉しいな。僕ファンだったんですよ。どちらかと言うとお姉さんのアコさん推しでしたけど」
 耳が異様に発達して尖った姿に変わった相談員が勢いよく話す。こいつ、エルフなの? てっきり若造かと思ったら100年以上生きてる種族じゃない。
「いや、しかし最初は全然気づきませんでしたよ。まさか時間がちょっと経過したとは言えこんな地味な素顔だとは。あ、でもだから魔法のメイクアップで魔力が増大するトリガーなんですね!」
 黙って聞いているとどんどん失礼になるわね。この若造…… いや、ジジイか。違和感あるけど。
「そうですけど。もう、子どもの頃の話は忘れたので。今日は現実の仕事をお願いしに来たんです。結界を元に戻して下さい」
「なぜですか? 勿体ないですよ! あなた程の才能を持った人が。あなたならこの世界を救えるのにどうしてその力を活かさないんですか? あなたは天才です。年齢だって私たちの種族から見たら子どもと変わりませんし。やりましょうよ、また魔法少……」
「やめて下さい! 嫌いなんです。天才とか才能とか。私は普通に生きたい」
「馬鹿にすんなよぉ! いい加減にしろよお前!!」
 大声に驚いて振り返るとさっきまで穏やかに相談しているように見えた後ろのおじさんが立ち上がってナイフを取り出すところだった。まずい、魂から変容して
「魔物になりかけていますね。あの男、ここは僕が」
「待って」
左手に魔力を込め始めた相談員を制して私は急いで魔物に変わってしまおうとしているおじさんの元へ寄り添い肩をポンと叩く。一気に魔物の姿に膨らみ始めていたおじさんがしぼんでいき、元の魂の姿に戻った。その隙におじさんの手からナイフをさっと外した。おじさんは小さくなり泣き出した。
「俺だってよぅ、もう。苦しくてどうすりゃいいのか分かんねぇんだよ……」
よかった。もう大丈夫。
「マコさん、あなた今肩を叩いただけであの魔物を鎮めたんですか? 凄い。凄すぎる。あなたやっぱり本物だ」
 魔法少女なんてみんな偽物よ。さらに馴れ馴れしくなった気がする相談員を無視して私は帰り支度をする。
「待って下さい! あなたも本当は気づいているんでしょう? 今の現実の状況を。この世は豊かになっているのに格差のせいで心を病み魔物化していく人間か過去最高に増加しているこの状況」
 私は自分で指を鳴らして結界を解く。早く現実に帰らなきゃ。
「お願いです。マコさん、今ほら、少子高齢化でもあるし、実際の少女にあまりその、ひらひらの恰好をさせるのは児童ポルノ法に触れるとか言い出す輩もいまして、今魔界だって複雑なんですよ!」
 あまりに切実すぎて流石に後ろ髪引かれる思いもあったけれど私はそのまま黙って家に帰った。
                             ≪つづく≫

明日朝から私リアルに就活なのですが、こんな幼児返りした脳みそで大丈夫かしら。あと、昼寝しすぎて夜眠れる気がしない。

そうしたら夜の間にこれの続きを書けばいいか。(良くない)

今夜書けなくても来週には簡潔まで一応書くつもりです。

引き続きよろしく、私。

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