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SNS・UGC全盛時代の創作活動とは? 「やれたかも委員会」作者・吉田貴司に聞く漫画家ライフ〜後編〜※笹塚高校コスメ部!! 第1巻第1話も掲載

創作活動を行うクリエイターがどうやってインディペンデントに活動していくのか? 創作と生活を両立させていくのか? というのは大きな関心事だと思います。

そんなクリエイターの自立した生き方について、人気漫画『やれたかも委員会』の作者・吉田貴司さんにインタビューさせていただきました。

吉田さんは、自作『やれたかも委員会』などの版権を自ら管理して創作を行うなど、それまで一般的だった商業出版での連載と単行本化で活動する漫画家さんとは一線を画した活動を行なっています。

前回のインタビュー前編では、自作の版権を管理して創作活動を展開していることや日常生活なども伺わせていただきました。
後編では、新作「中高一貫!! 笹塚高校コスメ部!!」の創作裏話やコンテンツのグローバル展開などについても伺いました!

今回のインタビューは、吉田さんがnoteで投稿していたこちらの企画に自分が応募することで実現しました。
※インタビューは、僕の質問に吉田さんから返信いただくメール対談の形で行いました。

人生、なんでもやってみるもんですね(笑)

SNS・UGC全盛、IP化時代の創作スタイルとは?

中高一貫!! 笹塚高校コスメ部!!第1巻
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ー質問
「中高一貫!笹塚高校コスメ部」の台詞やコマ割りなどは、インスタやTikTokでの10代女子高生などのUGC(ユーザーによって創られたコンテンツ)投稿を意識して作られましたか? 
また、あえてギャグテイストを盛り込んでいるのは、SNSなどで投稿ハードルを下げるためなどの意図がありますか?

吉田さん
全く考えていません。面白いと思うものを面白いと思うままに描いています。なので結構面白いと自分では思います。

最近は広めようとする努力より「できるだけ人の役に立つようなものが描きたい。どうやったら人に必要とされるか。」と考えています。

「ーコスメ部」には、随所に決めセリフや決めポーズなどが登場。
烏丸さつこ活躍回。実写化して欲しいページ・カットがてんこ盛りです!

ー質問2
「ーコスメ部」は、IP(知的財産)ビジネス化を意識した作品作りをされているとも感じました。 「やれたかも委員会」の実写ドラマ化やLINEスタンプ販売、オリジナルグッズ販売などのIP化から得たノウハウなどはありますか?

吉田さん
IPビジネス化って何でしょうか? 意味が全然わからないのですが、全然そういうことは考えていません。完全に原稿料が欲しくて描きました。

「やれたかも委員会」は個人でLINEスタンプをやったり、ドラマ化の契約を結んだりしましたが、それについてのノウハウは特に「ーコスメ部」では使われてないですね。

NFTやメタバースへの興味は?

ー質問
昨年に一気に広がったNFTやメタバースなどは、取り組んでみたいと思われていますか?  
また、インディペンデントなクリエイターへの影響はどう考えていますか?

吉田さん
NFTについてはよく知らないんですよね。データは複製できるというのが、1番の強みなので、それに価値を与えるってどういうことなんだろうな、と思います。
興味はあります。(と言っておいた方がかっこいい気がする。)

ー質問
グローバル展開について聞かせてください。「やれたかも委員会」は英語翻訳版も出版していました。「やれたかも委員会」で感じたグローバルに向けた作品づくりの難しさや手応え、「ーコスメ部」での展開などは?

吉田さん
「やれたかも委員会」は、結構お金をかけて英語版と中国語版を作りました。しかし、やって正解だったなとはあまり思っていません。経験としてすごく勉強にはなりましたが、外国の読者が増えたとは感じません。

僕はDMM英会話で英語の勉強をしているのですが、フィリピン人の先生に自分がどんな漫画を描いているのか紹介する時に役立つくらいです。

「ーコスメ部」もグローバル化について特に考えていません。「やれたかも委員会」で色々やってみましたが、結論としては「外国人が読みたければ勝手に訳すだろう。」ということです。

そんなことよりも個人の心に刺さるものをたくさん描くのが大事だと思います。

40代を迎えて感じる漫画に向き合う姿勢の変化

ー質問
「ーコスメ部」は、女子高生が主役の恋愛もの、しかもコスメ知識なども必要なテーマですが、アラフォー男性である吉田さんのZ世代に対するアプローチ方法を教えてください。

吉田さん
編集者さんが「Z世代に送る」みたいなことを書いていますが、僕としては「Z世代って何?」と思っているので、よくわかっていません。

でも、若い世代に読んでほしいと思っています。僕にとって若い世代というのは「自分の娘」です。彼女に向けて描いている部分はちょっとあります。

「ーコスメ部」には、コスメ知識や決めポーズが多数登場!

ー質問
40代を迎えたこと、父親であることなどが漫画家として作品に与える影響はどういうものがありますか?

吉田さん
「Z世代」とか「最近の若い子の動向がどうの」とか漫画家として確かに若い人の意見って気になるんですが、だからって無理矢理合わせていくことは僕はしません。それは娘がいるからだと思います。

世の中で言われている「若い子の間での流行り」よりも自分の娘の方が若いので、「こっちの方がさらに最新だよ」と思えます。彼女と話しているのが一番の取材です。ヨワネハキだって歌えます。

ー質問
パパや夫としての家庭人としての顔とクリエイターとしての両立は、どうされていますか?

吉田さん
「やれたかも委員会」だけ描いていた時はその辺りも楽でした。締め切りがないので結構子供と遊べます。子育てを優先してよかったと思います。

子どもって同じ瞬間が二度とないので、漫画より大事だなと、最近子どもが大きくなってきてさらによく思います。もう大きくなったら遊んでくれません。

そのことを考えるとたまらなく悲しくなります。だからギリギリまで子供と遊んでいます。

ー質問
これからのクリエイターが自力で食べていくためは、どのようなスキルが必要だと考えていますか?

吉田さん
お金を使いすぎないことです。足し算と引き算が最も重要なスキルです。


インタビューさせていただいて

吉田さんのインタビュー前後編は、いかがだったでしょうか?

こちらの質問に対して、あるものには真摯に長文でしっかりと回答し、あるものには、「人生色々あるもんだよ。そんなに難しいこと考えずに好きなことを愚直にやっていこうよ」とでも言いたげな吉田さんの回答に作品にも通じる人柄を感じたのは僕だけですかね。

インタビューを通して、ますます吉田さんの作品のファンになりました。(笑)

自分が「やれたかも委員会」を読んで感じる「喪失したもの・戻れない過去への慈しみとこれからの人生への希望」のようなものを、作品に興味を持って感じていただけると嬉しいです。

ぜひ吉田さんの作品の感想をいっしょに語り合いましょう!

吉田さんの最新作「中高一貫!! 笹塚高校コスメ部!!」第1巻、「やれたかも委員会」第4・5巻は、絶賛発売中です!
書店などで手にとってみてください!!

中高一貫!! 笹塚高校コスメ部!! 第1巻第1話



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