映画・本・漫画・アニメのレビューや感想
無意味だと思った日々を振り返る無意味な時間ばかりいとしい うしなったことだけわかる唇がちいさな音を立てて乾いた 砂時計何度も何度も反対にしたかったのに 好きだったのに じゃんけんぽん(きみは優しい)あいこでしょ(ぱーを出したら笑ってくれる) 花束をふたりでほどく 運命も奇跡も恋も色褪せていく 2021/1 映画『花束みたいな恋をした』 ***** 『花束みたいな恋をした』を観て短歌を作った。 この映画、「すごくよかった」っていう感想と同時に、「でも結局さ」とい
映画『花束みたいな恋をした』を観ました。 観ている途中から、「あ、この映画はわたしの中で記憶に残る作品になる」という確信があった。 観終わってすぐのこのホヤホヤの感情を忘れたくないので、感想と銘打ちながらただただ思いの丈を綴らせていただきます。 がっつりネタバレもしているので、まだ観ていない人はお気をつけて。 終電を逃したことがきっかけで知り合った、絹ちゃん(有村架純)と麦くん(菅田将暉)。この映画は、そんなふたりの甘く切ない花束みたいな恋をした5年間を描く、純度100
どこで引き返せば、どこまで巻き戻れば悲劇をふせぐことができたんだろう。 「もしも」の展開を考えても考えても、けっきょくあの結末からは逃れられなかった気がする。 映画『パラサイト 半地下の家族』を観た。 予告編 主人公のキム・ギウは、父、母、妹と半地下で暮らしている浪人生。家族仲は良いけれど全員失業中で、生活は苦しい。 そんなある日、ギウは大学に通う友人からの紹介で上流家庭パク一家の娘の家庭教師をすることになった。身分を偽り、パク一家に入りこむギウ。ギウは、もともと働いて
家賃とカードの支払いを済ませたら、給料がすっからかんになってしまった。 雀だってもう少し泣いたでしょ、と思いながら通帳をにらむ。ウーーム。バイト探そうかなあ。夏だし。 --- すこし前、「100万円と苦虫女」を観た。 予告編 前科持ちの主人公鈴子が、人や土地と長く関わりを持たないために「100万円貯まったら次の町へゆく」という決まりをつくって生活していく話。終始余白のある物語だと思った。流れるテンポが心地よくて、いっしょに旅をしている気持ちになる。身ひとつで転々とする
ネネネのエッセイ、ネッセーです
すこし時間を巻き戻すね。 ... ランが死んでちょうど3ヶ月になる。 嘘みたいだけど、今日、ランの夢を見た。 夢の中でランがいるのは当たり前のことで、当たり前のように一緒にごろごろして(いつもどおり途中ですこし嫌がられて)散歩に行く。 家のまわりのいつもの散歩道を通っていたはずなのに、気がついたら知らない町だった。その町は崩壊のときを迎える寸前で、抜け出すための方法はだれも知らない。 今思い返すとなんだそれは、という感じだけど、夢の中なのでわたしは簡単に状況を受け入
会社を辞めた。 プシュ〜ウ、と音を立てて閉まる電車のドアがひとつの区切りのように思えて、なんでもそうやって物語にしたがる自分の脳みそに「ばぁか」と言いたくなる。ばぁか。うん、ばかだよな。 でも、今までのように毎日この駅に降り立つことはなくなるのだ。すこしくらい感傷にひたってみてもいいのかもしれない。 ***** 辞めることは1月末から決まっていて、今日は最終出社日だった。 朝、出社してすぐに東京バナナをばらまいて社員の人たちにお礼を言ってまわった。前の席のYさんは自宅作業
小さい頃に見た夢を今でも覚えている。 なぜかわたしはモグラで、ひたすら土の中を車で走っていた。かなり長い間走ったあと、途中で崖から外に飛び出して落下。飛び出した先には海があって、車体から放り出されてゆっくり背中から海へ落ちた。空を見上げる姿勢になったとき、崖の上に父と母が立っていたことに気がついたけれど、伸ばした手は届かなかった。視界がスローモーションになって、両親の姿はどんどん離れていく。わたしはモグラの姿のまま落ちていく。これは夢だと、夢の中で気がついたのはそのときがは
去年『BANANA FISH』にはまり、先日とうとう舞台であるニューヨークまで行ってきました。4泊6日でもじゅうぶんに聖地巡りと観光を楽しめるんだな〜と大満足。(トータルで見るとなかなかに波乱万丈な旅になったような気もするけれど……) そんな聖地巡礼&観光の旅行記をまとめたので、よかったら読んでみてください。おそろしく長いので時間があるときにでも。 それにしても最高でした。つぎはどこに行こう〜! #旅行 #BANANAFISH #聖地巡礼
ネネネの短歌まとめ
正解がわからないから間違っているのかどうかもわからないまま 恋人になれないひとがあったかい ばかってちゃんと怒ってよ、ばか 唇が変な角度でくっついて、それが最初のキスの思い出 矢印が曲がりくねった標識の柱にあった落書きのこと 透明な音にのまれるひとしきり溺れたあとで抱きしめられる イヤフォンが壊れたみたい好きだった歌の続きがノイズに変わる 眼球のピントがずれてまばたきの速度が増して、たぶん泣いてた 大切にされたかったの 雨の夜一緒に濡れてくれてありがとう 20
目がくらむ夜のはじまり いつだって君は神様みたいに笑う 「すき」「きらい」「いやだよ」「酔ってる?」ルーレット回し終えたらキスしていいよ ゆっくりとだめになったりぼんやりと息ができなくなったりしたい 心臓に余分な穴が空いていてさみしいことに気づけなかった ばかみたいだけどわたしはともだちで何にもなかったふりも得意で ハンカチが黒でよかった口紅が赤でよかった君がよかった 楽園を目指して歩く ああ腹が減ったな君はやっぱりいないな 2017/2 #tanka #連作
酢醤油が絶妙だった それだけでたぶん理由はじゅうぶんだった コンビニがひかって見える時間帯魔法にかかったふりするごっこ コーヒーの温度は82℃がいい舌が痺れる感覚が好き オンビキを伸ばし棒ってきみは言う いや、ちがうな、「のばしぼー」だな 潜水が上手な子どもだったこと海を見るたび思い出す ほら これ以上奪われないですむように笑えるくらい深い深爪 窓のない部屋のまんなか ばかでかいベッドだろうと端っこで寝る まだ夢の続きみたいでこわくなる 喉がふるえて、生きてるん
フィクションとノンフィクション
彼女と出会った日のことはよく覚えている。16年前の今日、14時15分。天気は快晴だった。小さくて、触ったら壊れてしまいそうな彼女を抱えたひとは、僕に言った。 「この子はお前のためにつくられたロボットだよ。大切に大切に、育てておくれ」 僕は彼女から目を離せなかった。大切に、育てる。必死に頷いた。 それから月日は過ぎた。しあわせな日々だったと思う。彼女の笑顔を見ると心があたたかくなったし、彼女が泣いているとなんとかしてやりたいと思った。 彼女は、欠陥品だった。もともとひとつ、頭