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その世界の住人。

色々なところで投稿しているので「また同じ話か!」と思われてしまうかもしれませんが、ちょっと語りたくなった事があるので、お時間のある方はお付き合い下さいませ。まぁ、私のnoteは僻地なようなもので、長らくお付き合い下さっている酔狂な方しか読んでいないのでは?と思っているので、今日も懲りずに読んで下さい。(笑)今日のnoteは長文です。

私は、30半ばにして自主映画の世界に飛び込んだ訳でして……と言っても自ら飛び込んだ覚えはなく、今はマネジメントとしても関わっている、脚本家・監督・俳優のなかやまえりか

うっかり引きずり込まれた

というのが正しい表現に思えるのですが(!)、好きな映画や監督はあれど、ここに至るまで映画制作というものに具体的な興味を抱いた事はありませんでした。今でも自分のアイデンティティは「音楽の人」だと思っていますし、この先もそう在る気がしています。

そんな状態なので、映画制作の右も左も分からぬまま、自主映画のプロデューサーという仕事や立場がどんなものなのか全く知らぬまま、手探りで映画を作り始めました。恐ろしい事です。知らないからこそ出来るものもありましたが、途中で迷子になりながら途方に暮れる日を何度も迎えながら、準備期間から丸々1年をかけて、ようやく1本の短編作品を作り上げたのでした。

プロデューサー1作目と監督2作目のタッグ……もはや悪い予感しかしないじゃないですか。(笑)実際のところ、かなりのヨチヨチ歩きで、2人とも文字通りの満身創痍となりました。周りのメンバーには本当に何から何まで助けて頂きましたし、たくさんの方々にお力添えを頂きました。ご迷惑やご不便をおかけした事もたくさんあった思います。反省すべき事や、これから改善すべき事も山のように見つかりました。

しかし、そんな中で仕上がった短編映画『Veils』は、国内外で立て続けに上映の機会を頂く事になりました。本当に、本当にありがたい事です。まさか自分の関わった映画が映画館で観られるだなんて思いもしませんでしたし、そもそもこんなにノミネートするだなんて思ってもみませんでした。

【国内】
埼玉「第2回SAITAMAなんとか映画祭」準グランプリ
東京「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア 2022」Ladies for Cinema Project
佐賀<第2回演屋祭>ノミネート
東京「レインボーマリッジ・フィルムフェスティバル」奨励賞

【海外】
Prague International Indie Film Festival OFFICIAL SELECTION&BEST DIRECTOR
The 20th Gwanghwamun International Short Film Festivalコンペティション部門 招待作品
Asian Film Festival of Dallas WOMEN’S FILM SHOWCASE選出作品

※以下OFFICIAL SELECTION
13th LGBT+ Film Festival in Poland
2022 Reel Out Charlotte film festival
New York Istanbul Short Film Festival
4th Dimension Independent Film Festival
Out Film CT (Connecticut LGBTQ Film Festival 2022)
12th Pune Short Film Festival 2022
Golden Bridge İstanbul Short Film Festival
Korea Queer Film Festival 2022
Festival Internacional De Cine LGBTQ+ De Mexico (¡Goya Queer!)
Iconic Images Film Festival
Lesflicks Cinema at LFEST
FilmPride - Brighton & Hove Pride's Official Queer Film Festival
Out & Loud - Pune International Queer Film Festival 2022
Mabig Film Festival
Louisiana Rainbow - LGBT+ Film Festival 

7月30日現在、国内外併せて22ヶ所の映画祭でノミネートしております。

中でも、今年3月に開催された「SAITAMAなんとか映画祭」は、初めてのノミネート。自分自身が映画祭へ足を運ぶ事そのものも初めての経験でした。まさか初めての映画祭参加が、お客さんとしての立場でなく、舞台に登壇する立場になるとは思いもしなかったけれど。(笑)

「SAITAMAなんとか映画祭」のノミネート作品は全10作品。『Veils』は前半5作のうちのラストに上映されました。確かちょうどお昼休憩の前で、上映直後に迎えたお昼休みでは、チーム・Veilsの面々はなんだか胸がいっぱいになっていて、ご飯が喉を通っていなかった気がします。そして誤解を恐れずに言うなら、プロデューサーの身としては

(こんなにもクオリティーが高い作品の中に、自分たちの作品が入ってしまった......どうしよう……

という気持ちになっていたのも正直なところ。「良い作品が出来た!」という自信も確かにあったけれど、他の作品を見ながら緩やかに血の気が引いていったり、ぎゅっと心を掴まれたりしながら、どんどん冷静な気持ちになっていました。

それでも結果は、準グランプリ

発表時の様子が、監督のツイートに残されています。

ノミネート作品へのご褒美(?)として、7月に池袋シネマ・ロサさんでの上映がある事も発表されました。その時はまだ夢現で、フワフワした心持ちでいたような気がします。その後、国内でも上映や登壇の機会を頂いたり、海外でもノミネートが立て続いたりするうちに、あっという間に7月末を迎えました。『Veils』の上映は4日間。上映日のスケジュールを全て調整し、監督と共に連日劇場へと通いました。映画館で改めて他のノミネート作品を見て思わず

「準グランプリ、よく獲れたな……

と呟いてしまいました。自分たちの作品を卑下しているのではなく、本当にどの作品もハイレベルなものばかり。しかし、映画館で観る『Veils』に抱いたのは、これまた誤解を恐れずに言うならば

ウチの子が1番かわいい!!!


という親バカのような気持ち(笑)と、

あぁ、良い作品だなぁ


という自信でした。

こんなにも素晴らしい機会を与えて下さった「SAITAMAなんとか映画祭」実行委員会の皆様に、心より感謝いたします。本当にありがとうございました。

しかし恐ろしい事に、私は映画の世界のことを未だによく分かっていないのです。これは後ろめたさや薄暗い気持ちではなく、疎外感を覚えているのでもなく、様々な場所で様々な「映画の人」に出会う度に、良くも悪くも私自身は「映画の人」ではないのだなぁと感じる事が多々あるのです。知らない事や分からない事がたくさんありすぎて、今は「何を分かっていないのか分からない」という状態なのだろう、と。

ただ、「映画の人」ではないと自覚する反面、右も左も分からずとも、完成した作品が広く届くように力を尽くす事はプロデューサーの使命だと感じています。真摯に誠実にチーム一丸となって制作に取り組んだ作品が評価されるというのは、こんなにも嬉しく、こんなにも報われた気持ちになるのだなぁと、今は純粋に喜んでいるので、この仕事は向いているのだろうなぁとも思います。

それはきっと、かつてミュージシャンとして音楽を作り、広く届くように力を尽くしていた過去の自分自身が教えてくれたものだろう、と。もちろん、完成した作品からもたくさんの事を教わりました。地続きの人生です。

あとはもう、徹底して、ずっとインディーズ。一貫してインディペンデントですね。そこだけは確実に変わりません。ずっと山を開拓してる感覚。なんで毎回こんなにしんどいんだろう?って思いながら、でももう進んじゃったし戻るのも大変だし……って。(笑)遠く向こうの方に舗装された道も見えるし、結構近いところに歩きやすい山道もありそうなんだけど、

まぁ、とりあえず、このあたり切り拓いてみます?
(なんか面白そうだし)

というスタンスになってしまう不思議。カッコの中に私の人生が凝縮されている気がしてなりませんが、願わくば、よくある素敵な話で、異業種からやってきた人が革新的なことに取り組んで風穴を開ける……みたいな感覚でいられたら最高だなぁと、ぼんやり思っています。ぼんやりと。

さて、最後に大切な事を。作品として、あえて強く言及していないのですが、『Veils』は女性カップルのお話です。この作品が届いた先の、作品を受け取って下さった皆様がたくさんの感想や意見をもって議論を重ねたり、問題の解決方法を考えたり、小さくても弱くても少しずつでも、新しい道を切り拓いていくような作品で在ってほしい、と心から願っています。

そしてもうひとつ。これは映画制作の現場としては非常に珍しいと言われるのですが、『Veils』の制作チームは、9割が女性スタッフでした。女性カップルの話だから、という訳でもなく、スタッフィングをした私が「性別によって人選をした」のではなく「この人の事をとても信頼しているし、なんだか楽しく仕事が出来るなぁ…」と感じる人を集めてみたら、結果的に同性が多かった、というものです。さらに「映画の人」ではない人が多いのも特徴です。何故なら私自身の周りに「映画の人」が限りなく少ないから、です。

今後の制作スケジュールが決まっている訳ではありませんが、この先、なかやまえりか組に加わって頂ける「映画の人」をこれから探していきたいと思っています。

・助監督
・録音部
・制作部

の方で「一緒に仕事をしたら楽しそうだなぁ」と感じる方がいらしたら、是非一度お話ししたいです。ご連絡下さい。

私は、小さくても弱くても少しずつでも切り拓いていくタイプで、「音楽の人」なんですが、どうにも楽しそうな事が好きなので、自主映画を作っています。

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