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【読書メモ】新版日本国紀(上)・(下)/百田尚樹

本書の内容や本書で主張されていることの是非については分かりませんが、
普通に読み物として面白く、
日本の歴史に対する考え方の幅を広げる意味でも、
日本人みんなが読んで損はない作品だと思いました。

1.本書の読み方

日本の歴史をもう一度学び直したい、という人は多いと思われます。
もちろん、その目的で本書を読んでも、ある程度の収穫はあるとは思います。
しかし、その目的で本書を読むのは、本書の面白さが減ってしまうように個人的に思います。

著者が日本の歴史や歴史的出来事を通じて何を感じ、
どのような考え・解釈等を持っているのか、
その辺を楽しむための読み物のように感じました。

2.「歴史」という科目とどう向き合えばよいか

学校で学ぶ「歴史」という科目は、
とにかく年号や人名、出来事の名前を覚えていく、
所謂暗記科目と捉えがちだと思われます。
確かに、受験競争を勝ち抜くには、そうなってしまうのも仕方がない部分もあります。
ただ、それだけでは歴史を学ぶのが苦痛に感じるうえ、
実社会のうえで実践的に学んだ内容を使えません。

歴史的出来事等を通して、何を感じるか、
それが起きた原因は?背景には何があったか?
本当にそうだったのか?もし…だったらその出来事はどう変わっていただろうか、
などいろいろなことが考えられると思います。
それらをどんどん挙げていって、議論して、深めていく。

過去の歴史が積み重なった上に今の自分たちがある。
歴史について考えることで思考力を強化するのはもちろん、
歴史に対しての理解を深めることで、
自分のルーツを理解して自分を知る、
過去の出来事から自分はどのような行動を取れば良いのか判断力を高める。

著者の主張の是非はとにかく、
歴史とは本書で展開されているように向き合うべきだと思いました。
歴史はもっと考えるべき科目・学問だと思います。

3.日本の弱点 → 外交

日本の通史について述べた本については、
本書以外にも何冊か読みましたが、
本書も含めてそれらから感じたことは、
日本は総じて「外交」が下手くそな国だな、と思いました。
(沖縄返還等、例外もありますが。)

本書でも「外交は騙し合いのようなもの」と述べられていて、
日本人の性格的な部分もあるのかと思いますが、
歴史を見ていくとそれも仕方がないことかと思われます。

日本は四方が海に囲まれた国で、
かつ江戸時代は約200年以上鎖国をしていて、
そこまでは日本を脅かす外交的な重い判断を下す機会はあまりなかったのではと考えられます。

しかし、黒船の来航。
ほぼ初めてのことなのでどうすればいいのか分からない。
そこからバタバタし、そして今に至る、といった印象を受けます。

4.日本にとっての大東亜戦争をどう捉えるか

現代の日本を語るうえで、
大東亜戦争
(第二次世界大戦、太平洋戦争。
本書の意向に従って、本記事でも大東亜戦争と表記させていただきます。)と
その敗戦による影響は無視できない。

現代の日本では「大東亜戦争は侵略戦争」との認識が広いかと思われます。
しかし、私的にはただ侵略戦争だったと片付けて反省することに違和感を感じます。

また、世間には「憲法9条を守ろう、戦争反対」と
しきりに主張している人たちがいますが、
私はその人たちの言動に対して違和感を感じる人間です。

もちろん、私は戦争を肯定するつもりは全くありません。
ただ、どんなに戦争反対と唱えようとも、
極端に言えば国の兵力を全て放棄したとしても、
「戦争(国どうしの喧嘩)は起きてしまうもの」だと私は考えています。

本書と他の日本史通史の本から、
大東亜戦争は、そこに至るまでの日本の外交や軍事行動の間違いが
つもりに積もって必然的に生じてしまったものと認識しています。

大事なのは「戦争が起こらないためにはどうすればよいか」を正しく理解すること。
状況を理解したうえで、国としてどう振る舞うか、
他国とどう付き合っていくか。
そのためにはまず、日本人が大東亜戦争とその前後について正しく認識することが必要だと思います。

5.結論

以上、本書を読んでの感想として、
日本という国は良いところもあり悪いところもあり、
成功もあり失敗もあり、
それらを全部ひっくるめて、
もっと自分の国である日本のことを好きになって誇ってよいのでは、
と思いました。

それでは。

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