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なつみかん(恋愛小説)

ナツとアキの甘酸っぱい恋。
早く伝えなきゃ…誰かにとられてしまうかも…。???

        なつみかん



「お前ってさ…好きなやつとかいるの?」
(君だよ!)
そんなこと言えるわけないよ…
君と私は世界が違いすぎる。君は私のことなんか見ちゃいない…

「いるよ」
「ふーん…どんな奴?」
「案外近くにいるかもね」
「…」

なんかいつもより…元気ないのかな?
そうだ、こんな時は!

「みかん食べたい!」
「急にどうした!?ほい、やるよ!」
アキは、少し不思議そうな顔でナツにみかんを渡した。
「んー、なんか甘酸っぱいもの食べたくなったからかな」
「なんで?」
「初恋の味っ!みたいな?」
「なんじゃそりゃw」
アキはクスりと笑った。


☆☆
『アキ』
なんか調子狂うんだよな…
「あんな笑顔反則だろ…」

初恋かぁ…どんな味だ?
んー、俺にはわからん。食べたことないし!
ナツの好きな人か…。「案外近くにいるかもね」それは誰ことなんだろ…ナツって意外と男友達多いからな…。

知りたいような、知りたくないような…

そういえば、ナツのことばっか考えてる気がする。なんだろ…このモヤモヤして霧ががかかったような感じ。

ああー、もー!
なんかモヤモヤして嫌だ!俺はもう寝るかんな!!
宣言通りすぐに寝てしまったアキだった。

☆☆
また授業中に寝てる!
斜め前のアキのことを目で追ってしまう自分がいる。
はぁ…私なにやってんだろ…。

「おーい!ナツ!聞いてるのか」
「は、はい!?」

ビックリして声が裏返ったのをみて、周りがクスりと笑う。
嫌だな…こういうの。

「先生、その問題解けるので俺がやります」
「おう。じゃあアキよろしく!」

アキいつの間に…起きてたの!?しかも、余裕で正解してるし…。
私を助けてくれたとか?だとしたら、アキは私の王子様なんじゃないか!?
なわけないか。

そしたら、たまたま目が合ってその笑顔…。ズルいなぁ…もっと好きになっちゃうじゃんか…。
頭の中では、アキがキラキラ輝いてる王子様みたいだ。と冗談ではなく本気で思ってる。

これが私の甘酸っぱい初恋。


☆☆
はぁ…。叶うわけないか…
アキには幼なじみがいる。
そう私のライバル!

「アキ、これなんだけど!どっちがいいかな?」
「ユキの好きな方でいいんじゃないか?」
「そうだなぁ〜、じゃあこっち!」
「おう!それでいいじゃん!」

アクセサリーかな?広告を見て楽しいそうにユキと話してるアキがいる。
周りから見ても付き合ってると言われても、おかしくはないだろう。
時々、ユキとアキの家族でバーベキューなどをやってるらしい…

ユキちゃんは、私から見ても可愛いし、性格もいいからなぁ…。
私なんかが…勝てる相手じゃないや。
おもわずため息をついていた私に、友達のハルが話しかけてきた。

「はぁ…」
「今日で世界が終わるみたいな顔してどうした~!?」
「あの2人が仲良いなぁーと。」
「あ〜ね。ユキがアキに文化祭で、告白するっていう話知ってる?」
「ホントに??え…あと3ヶ月しかないじゃん…」
「そうだよ!アキとられちゃうかもよ!?それでもナツは…イイの?」
「そんなのやだ。」
「よく言った!」
「ありがとね!私…もうちょっと頑張ってみる!」

☆☆

というわけで、ナツの自分との戦いが始まったのである。

昔から服だけは女子って言われるんだよね…
ほかも頑張らなきゃっ!

今まで伸ばしていた髪をバッサリと切ってボブにしてみた!
周りから髪切ったね!と声をかけられた。
似合っているかどうかは知らないけど…w

ネットで見つけたものも実践してみた。
なかでも、効果があったのは小顔と美脚になる為のリンパマッサージだ。

2ヵ月後ー

「なあ、ナツ…なんか痩せた?」
「そ、そうかな?」
「特に脚と顔!」
「ホントに?!やった~」
私は素直に嬉しかったので、はしゃいでいた。
「なんか子供みたい」
「なんでよっ!」

この笑顔をユキちゃんにも、見せてるのかな…と思うと胸が締め付けられる。
このままユキちゃんと付き合ってしまう前に、アキにちゃんと告白したい…。
そう思うようになった。


文化祭前日
アキが、私に話があると呼び出された。
「ナ、ナツ!」
「ん?」
「お前のことが……。」

そんな時、タイミングよくユキが走ってきた。しかし、2人の目の前で派手に転んだ。

アレ…?私にはわざと転んだように見えたんだけど……。

アキは大丈夫か?と言った後に、転んだユキに手を差し伸べる。
「ちょっと足をくじいちゃったみたい。」
「そっか、家まで送ってくわ。」
アキがそういうとユキは嬉しそうな笑顔を浮かべていた。

「ナツ、ごめん!また明日なっ!」

私は2人が帰って行く姿を、羨ましそうに眺めていることしかできなかった。

☆☆


文化祭ー
今日はアキに一緒に回ろう、と誘われていたので楽しみだった。

「ナツはどこ行きたい?」
「お化け屋敷!!」
「じゃあ、行こっかっ!」
そんなわけで、お化け屋敷に行ったのは良かったのだが、私は重要なことを忘れていたのだった。

「思ってたより真っ暗だったね!」
「…。」
アキが声をかけても返事がないので、振り返ってみるとナツが震えていた。

「どうした?」
「私…真っ暗な所苦手で…」
「じゃあ、こうしよう。」
アキは、震えている私の手を握ってくれた。

「これなら、少しは大丈夫?」
「うん…ありがと!」

怖かったのを忘れるぐらいの恥ずかしさと嬉しい気持ちがやってきて、ナツは上手く喋れなかった。
ぎこちない2人だったが、なんとかお化け屋敷を出ることが出来た。

何かを思い出したのか、アキは赤くなって握っていたナツの手をそっと離した。
その後も、出店を回って食べたりくだらないことを話したりしていた。

もう少しだけ一緒にいたかったけど、時間が来てしまったようだ。
「今日楽しかった?」
「うん!」
「良かった〜!!あとさ…」
「ん?」
「放課後時間あるかな?」
「あるけど…なんで?」
「ちょっと話したいことがあるから。」
「そ、そっか。じゃあ、またあとでね!」

その時のアキは真剣な顔つきをしていた。
なにを話してくれるんだろ…。
あと、言うタイミングなかったな…。
(私はアキが好きだってこと。)

☆☆


文化祭の片付けが終わったナツは、アキを探していた。そんな時、アキの声が聞こえた。
声をかけようとしたら…アキとユキが話しているのが聞こえた。

「アキのことが好きなの。」

遅かった…。間に合わなかったのだ。
気がついたら、その場から逃げ去るようにひたすら走っていた。
おかしいな…涙が急に溢れだしてきて止まらないや。

すると、突然なにか温かいものにぶつかった。
「ナツ…」
「アキっ!?な、なんでいるの!?」
「なんでって、なにが?」
「さっきの…」
「あぁ…聞いてたのか?」
「うん…。アキ、ユキちゃんと付き合ってるんでしょ…?」
「違うよ。断ってきた。好きな奴がいるからごめんって」
「え…?」

☆☆


アキは、泣いているナツをどう慰めればいいのか戸惑いながらも、たまたま持っていたみかんを取り出した。
「みかん、…やるわ!」
「え!?…うん。ありがとっ!」

そのみかんは甘酸っぱかったけど、なかなか美味しかった。

「甘酸っぱい初恋か…誰だか知らないけど…。好きな人がいたとしても、俺はナツが好きだから。」


Fin.


そんな恋の短編小説
pixivから貼ります。  https://www.pixiv.net/users/15960908
後で表紙描きます

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