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ソシオダイナミック・カウンセリングのヴァンス・ピーヴィーについて考える

 この方もサビカスやコクランと同様、構成主義に基づくキャリアカウンセリングを行う方です。1929年にコロラドで生まれ、オレゴン大学で博士号を取得、1967年にカナダに移住しビクトリア大学で教えていました(カナダのカウンセリング分野の重鎮だったようです)。2002年に亡くなっています。

  ピーヴィーは、スーパーの弟子のサビカスよりもスーパーの研究に影響を受けているように思えます。ピーヴィーは①複数のライフ・ストーリー(仕事や家族・家の中での役割などの物語)をそれぞれ傾聴し、②それぞれのライフロール(例えば大学研究者であれば執筆者としての役割、講師(教育者)としての役割、家庭の中での夫の役割など)をマッピングし、③人生の章にそれぞれ名前を付け、④特徴やポジティブな特性等を明確化し、最後に⑤ライフ・スペース・マッピングを行うという流れで進みます。

 ライフロールは役割が重なる部分は重ねて書き、時間やコストを掛けているライフロールは大きく描きます。これにより一目でどこに力が入っていてどこに力が入っていないか確認できます。クライエントが「もっと仕事を控えめにして、家庭にエネルギーを注がないと」など、それぞれのライフロールにかけている時間やコストが一目で見えるようになるのです。

 またライフ・スペース・マッピングでは「現在の自分と環境」を比喩的に図示してもらいます。ピーヴィーの書籍に載っている例では、17歳の女子学生が海外で平和活動をしたいのに両親に反対されて悲しみや心配、不安、怒りを覚え、先に家を出た姉に親近感を抱いているというクライエントが描いた図が示され、マッピングの後にカウンセラーと共に(1)周囲に助けを求める、(2)(姉と同様に)家を出る、(3)(将来の)目標を変えるという3つの選択肢を考えたことが示されています。

 こうした「ライフロールを図示する」「現状を図示する(ライフスペースマッピング)」(あるいはマインドマッピングでも)のような図や絵で示す技法は、クライエントにとってもカウンセラーにとってもクライエントの内面が目に見えて分かるようになり、カウンセリングの進行に便利であるように感じています。システム理論のマリー・マクマホンやデザイン思考のバーネットとエヴァンスもこうした図示を積極的に活用しており、近年のキャリアカウンセリングの流行というか傾向と言えるのではないかと思います。

【実践家向け】PEAVYのソシオダイナミックカウンセリング - YouTube

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