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経験から考える

 フロイトが父親が亡くなったことを契機にエディプスコンプレックス論に至ったように、(フロイトが大人を対象にしたのに対し)児童への遊戯療法を行っていたメラニー・クラインがやがて対象関係論に至る母子二者関係を重視したように(クラインは姉や兄、父を亡くして精神分析にかかり、やがて息子も亡くしているほか、同じく精神分析家になった娘からは離反されているそうです)、その人の経験や体験が、過去・現在の理論の疑問点に気づかせてくれ、新しい理論を導くということはあると思います。
 クランボルツがそれまでのキャリア理論の「計画的な人生」よりも「偶然のチャンス」のほうが重要ではないかと考えたのも、自身の経験によるものでしょう。

 キャリアカウンセリングの実践家も、自分の経験から学ぶ、あるいはクライエントの経験から学ぶことが必要ではないかと思っています。信頼できる人に対して自らの疑問を言葉にし、信頼できる人のコメントをもらうことで、実践に幅が出てくるのではないかと思っています。
 まあそれが難しいのですけれども。

 

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