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質的キャリアアセスメントについて考える

 どうも日本のキャリアコンサルティングの教科書では質的キャリアアセスメントについては本当にちょっとしか書いていない(ほとんど書いていない)ように思うのです。便利なのに。労働政策研究・研修機構の下村英雄先生も、最近のキャリア・ガイダンス論の問題関心は人と職業のマッチングをいかに支援するかよりも人がキャリアを作り上げることを支援する方向に変わってきているので、客観的テストで適職や適性の診断を下すよりも本人の主観的なストーリーを引き出して自分なりのキャリアを作り上げていけるように協力するアプローチが望ましいとして、「量的アセスメントから質的アセスメントへの転換」が必要と言っています。

 質的キャリアアセスメントにもいろいろあるのですが、有名なところでは
・ 職業カードソートなど提示された刺激(職業名や仕事観など)から興味のあるもの・自分にマッチしていると思うものを選ばせるもの
・ コクランでも用いられているライフラインやTree of Lifeなど、これまでの人生を比喩的に記述・描写させた上で、具体的に「これまでの人生の評価」や「理想の未来」「未来への資源」を考えさせるもの
・ サビカスやコクランなどが行っているように、初期記憶やよく見たテレビや雑誌など人生観・仕事観に影響を与えそうなテーマについて質問するもの
などのほか、あまり採り上げられないものとして
・ 「未来の1日」「未来の授賞式」「私の墓標」など、具体的に理想の未来を考えさせる誘導イメージ法
・ 成功体験のリスト化や好きだった仕事・勉強・余暇のリスト化、アイデアルデイ(典型的な1日)、ライフロールの図示など、自分は何を成功と考えるかを明らかにしたり現在それぞれのライフロールにかけているエネルギーや時間を見える化するもの
などもあります。「やりたい仕事」「楽しい仕事」などの単語からマインドマッピングするなどの技法もあります。私は「自分の中のアリとキリギリス」で学生に考えさせてみたこともあります(結構いい自己分析になります)。
 もっと情報共有されたり情報・意見交換されたりしてもいい分野だと思うのですが、なかなかそういう場がないのですよね。

【実践家向け】質的キャリア・アセスメント - YouTube
はじめてシリーズNo.7人生を客観視する 〜絵や線で描き、把握する - YouTube

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