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グループを活用する、他人のアイデアを参考にさせる

 例えば学生に個人ワークで自己分析をさせていても、いつまでも「やりたいことが分からない」と言い続ける学生がいます。「尊敬する人が思いつかない」とか「昔が思い出せない」という学生も(特に男子で)少なくない。学生同士でグループワークをさせて、他の学生の「自分はこういうきっかけでこういう仕事を目指したいと思うようになった」「こんな人を尊敬している」「こんなことをして遊んだ」というのを聞かせることで「そういうきっかけを作ればいいのか」「ああそういえば自分も」に気づくことがあります。また例えば親など「働いている(た)大人にインタビューしてくる」という課題を与えることで「(インタビューした)大人はそういうきっかけ(理由)で仕事を選んだのか」が見えてくる場合があります。
 上司と部下、教員と学生のような上下関係だと正直に話しにくくても、学生同士のような横の関係だと正直に話もしやすいし、参考にもしやすいということもあります。

 集団精神療法の権威アーヴィン・ヤーロムは、グループには1対1のセラピーにはない効果があるとして普遍性(他のメンバーも自分と同様の感情、考え、問題を持っていると認識すること)、愛他主義(他のメンバーを援助することを通して自己概念を高めること)、希望(他のメンバーの成功によって自身の改善を楽観視できると認識すること)、ソーシャルスキルの発達、模倣行動、カタルシスなどの効果を上げます。
 一方でグループ体験は「始まりはほとんどの場合、不安を引き起こす体験」となりますので、ファシリテーターは初期のうちは構造を明確化し、メンバー同士の信頼関係が作れるような介入をしていく必要があります。

 簡単に言うと、グループワークの指導は慣れないとちょっと面倒ですが、個人ワークにはない効果が期待できますので、私の講義ではバンバン取り入れています。

https://www.youtube.com/watch?v=mc8PMckUa5k

 


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